eCGの使い道:その④(最終回)

 さて、本日は4週にわたりお送りしてきた「eCG(ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン)」の使途についての紹介の最終回ですweep

 本日は、より臨床での応用が期待できる、「eCGの定時人工授精プロトコルへの適応」についての適応についてご紹介していきますeye

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

・GnRH、PGF2α、E2等のホルモン剤を使用して、定時人工授精(FTAI)が行われているが、栄養状態が制限された状況や、分娩後早期、低BCS、暑熱ストレス、無発情牛においては、FTAIの成績は安定しないことが多い。

・一方、eCGのLHおよびFSH双方の作用により、上記のネガティブファクターがある中で、FTAI成績が向上した報告がある。

・Souza et al. (2009)・・・低BCS牛で大幅に受胎率向上

1・Gracia-Ispierto et al. (2013)・・・無発情牛を対象に試験

2_2

*: 有意差あり

・一方、BCSが低い牛の割合が少ない牛群では、eCGを用いたプロトコルにより成績が向上しなかったという報告もある (Ferreira et al. 2013)

・eCG投与でにより双胎が増え、プロジェステロン除法剤の留置により増える傾向があるが、5日間留置の場合は9日留置の場合よりも双胎を減らすことができる。

→結論として、eCG投与を組み込んだプロトコルは無発情や低栄養状態において良好な成績を発揮しうる。

・・・以上、暫くの間お付き合いいただきましたが、お役に立てそうな情報はありましたでしょうか?

なかなか牛の状態が良くならず、繁殖でもお困りな状況にある方は、活用されるのも一つの手かと思いますsmile

コメント(2)