プロスタグランジンF2αは春機発動前の未経産牛の排卵を促す
今日は興味深い文献を見つけましたので、紹介したいと思います。
「Prostaglandin F2α promotes ovulation in prepubertal heifers.」
C.E.P. Leonardi et al., Theriogenology 78 (2012)
【方法】
11日間隔で卵巣を超音波で観察し、黄体のないことを確認した春機発動前の未経産牛30頭を試験に供した。
これらを以下の試験区ごとに3群に分けた。
(1) PG群(N=14);自然に発生した卵胞ウェーブの5日後にPGF類似体(500μlのcloprostenol)を投与
(2) PPG群(N=12);腟内留置プロジェステロン除放剤(CIDR)の挿入、50mgのプロジェステロンおよび2mgの安息香酸エストラジオールを投与し、卵胞ウェーブの5日目(CIDR挿入から8.6±0.5日後)にCIDRの除去とPGFの投与
(3) 対照群(N=14);とくに処置なし
【結果】
卵胞ウェーブ発生から10日以内に排卵した割合はPPG群(10/12 ; 83.3%)およびPG群(11/14 ; 78.5%)で対照群(1/14 ; 7.1%; P<0.0001)より高くなりました。
【感想】
一般に繁殖の分野ではPGF2αを発情の誘起に用いており、その効果は黄体の退行を目的にしています。
しかし、この文献では、PGFが黄体退行だけではなく、実は排卵も誘起していることを証明しました
この実験のように発情を見せていない未経産牛に対して、PGFが新たな治療法として期待されますね。また、排卵を誘起するにはGnRH製剤を用いますが、一般にPGFはそれよりも安価なため経済性の面ではより優れています
今後この研究が進めば新たな治療法や発情の同期化方法が考案されるかもしれませんね
今回の文献はET研究所HPでも紹介していますので、興味がありましたらこちらもご覧になってみてください。
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