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研究 Feed

2021年1月 8日 (金)

標準化したゲノム育種価について

かなり前になってしまいますが、ゲノムプレミア卵の

総合育種価についてコメントでご質問がありましたので、

答えさせていただきます。

遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

リスト販売の書類では、

「枝肉重量、脂肪交雑、歩留基準値の標準化した

ゲノム育種価を1:2:1の割合で足し合わせたもの」

と記述しておりますが、確かに文章では伝わりにくいですね。。

今回はET研保有種雄牛を例に見ていきたいと思います!

Photo_2

まず枝肉重量について見てみますと標準化育種価は

1.87ですね。

例えば、±1σ(標準偏差)に収まる割合は

約68%です。

上位のみで考える場合、(100-68)/2=16%です。

つまり、標準化育種価が1だった場合は、

ET研供卵牛群(淘汰済み含む)と比較して上位16%

くらいの位置にいるということです。

枝肉重量の1.87は、正規分布表を見ると上位約3%、

脂肪交雑の1.29は約10%、

歩留基準値の1.38は約8%です。

こちらを1:2:1の総合育種価に変換すると

1.87+1.29×2+1.38=5.83

というように算出しております。

この値で順位を付け、ゲノムプレミア卵

を決定しています。

コメントをくださった方ありがとうございました。

今回の説明でご理解いただければ幸いです。

他にもご要望、ご質問等ございましたら、

コメントいただければと思います。

よろしくお願いいたします。

Z

2020年12月10日 (木)

受胎率は子宮の大きさで決まる??

 ホルスタインで人工授精時の子宮が大きいほど受胎率が低くなる、

という論文が3,4年前から何本か出ているようです。

今回は受胎率のみならずその原因やその後の妊娠が維持されるか

どうかまで調べた論文(まだ出たばかり)があったので紹介します。

Size and position of the reproductive tract impacts fertility outcomes and pregnancy losses in lactating dairy cows

A.M.L. Madureira et al., Theriogenology. 2020 Dec;158:66-74.

この論文によると、子宮が大きく位置も下がっているウシでは

受胎率が低く、また子宮の大きいウシの割合は経産牛の方が

高いようです(それはそうか)。

子宮が大きいほど受胎率が低いのは人工授精が難しくなる

からではないか?と最初は思ったのですが、どうやらそう

ではないらしく・・・理由はわかりませんが子宮が大きい

ウシでは無排卵の割合が高かったそうです。

さらに妊娠24日ぐらいから、発達してきた受精卵からでる

糖タンパク質が血中に移行するらしく、これを測定することで

その後妊娠が維持されるか予測できるそうなのですが、

子宮が大きかったウシではこの糖タンパク質の濃度が低く、

妊娠30日目から60日目の間に胎子が死んでしまう割合が高かったそうです。

この論文のように子宮の大きさからその後の受胎性が予測できると

すれば、牛群の管理・更新をするときに役立つかもしれませんね。

TKH

2020年11月23日 (月)

北海道における性選別精液の受胎率について

 現在ではその利用がかなりポピュラーになっている性選別精液ですが、やはり性選別の際のダメージから通常精液よりも受胎率が低いことが課題になっています。そこで今回は北海道でのホルスタインにおける通常精液と性選別精液の受胎率についてまとめた論文を紹介します。

Oikawa K et al

Effects of use of conventional and sexed semen on the conception rate
in heifers: A comparison study

Theriogenology Volume135, 1 September 2019, Pages 33-37

リンクはこちら

2012年から2016年までの未経産牛の初回授精に限ったデータですが、通常精液が受胎率56.9%に対して性選別精液では47.3%とやはり低い結果となりました。

また性選別精液は特に授精月による受胎率の差が大きく、最も高い1月で51.8%に対して最も低い7月で43.6%でした。

性選別精液は夏場の受胎率の落ち込みが激しいことから、通常精液と比べて授精時の高温にともなう母牛のストレスや排卵のタイミングのずれなどによりセンシティブなのかもしれません。

2020年11月19日 (木)

2020.11.17のリスト内の高育種価牛について

Photo_2 高育種価凍結卵リスト

先日掲載しました凍結卵リストの中で「北海道高育種価供卵牛凍結受精卵」が出品されていますが、

コレについて具体的な順位を教えて欲しい!とのお声をいただきました。

失礼いたしました。

 

今回出品した高育種価牛は脂肪交雑で道内「527位」(2020年7月公表)

道内には繁殖用の和牛雌牛が約9万頭!その中で527位!

大したもんです!

ET研の供卵牛には脂肪交雑育種価だけでも2桁順位が数頭いるので、

そう考えるとすごいことですね…採卵する手が震えます笑

今後も高育種価牛受精卵は出てきますので、ご期待ください!

 

また、ET研の誇るゲノム受精卵!

今回の受精卵はET研供卵牛の中でも上位1%に入る「SSランク」になっています!

母牛の改良や肥育にどうでしょうか?

「勝早桜5-安福久」ドナーに「幸紀雄」を交配しています。

我ながらアツいですね!笑

 

なお、11/24(火)が申し込みの締め切りとなっておりますので、

何卒よろしくお願いいたします!

2020年11月 9日 (月)

楽々過排卵

採卵で受精卵がいっぱい手に入りますが、過剰排卵の処置って注射を何回も打つので大変ですよね。

この度、長期作用型のリコンビナントFSH製剤を使った採卵の報告があったので紹介します。

N.Sanderson and M.Martinez
A single administration of a long-acting recombinant ovine FSH (roFSH) for cattle superovulation
Theriogenology Volume 154, 15 2020, Pages 66-72

通常の8回投与とリコンビナントヒツジFSH(roFSH)の1回投与で比較しています。
結果は8回投与とroFSHの1回投与で回収(8.3 vs 13.7)ならびに移植可能卵数( 7.6 vs 10.3)に差はなし!
1回打つだけでいいなんて最高ですね。しかもリコンビナントなんでロット差とか気にしなくて良いでしょうし。(※正確にはhCGとかPGも投与してます)

きっと近いうちに商品化されるでしょうからその時は試してみたいですね。
ただ薬の承認がおりるのってすごい時間がかかるんですよね。
しばらくはアントリンR10とアントリンR10・Alのお世話になるしかなさそうです。

2020年11月 6日 (金)

受胎する卵としない卵の違い

受胎する卵としない卵の違いはなんだろう。
日々疑問に思うところですが、そこに切り込んだ論文が発表されました。
ついにやってくれた、と少々興奮気味です。
A.M. Zolini et al.,
Molecular fingerprint of female bovine embryos produced in vitro with high competence to establish and maintain pregnancy
Biology of Reproduction, 2020, 102(2), 292–305

何をしたかと言いますと、受精卵を真ん中で真っ二つにします。
一方をウシの子宮へ移植します。
そしてもう一方を使いまして、その受精卵から発現しているRNAの量を全て解析します。
その後、受胎したものとしなかったものでRNAに違いのあったところを比較するということをやっています。
簡単に書きましたが、RNAを全て調べるというのが技術、手前、機材、お金とたくさんのものが必要なので簡単にできるものではありません。これができるのはさすがアメリカ、さすがPJ Hansenです。

さて結果ですが、今回の解析により増えたもの、減ったもの含め617個の違いが見つかったそうです。
遺伝子1つ1つ比較してこれが影響する、すごいと言っていたものが600個です。
もちろん相関の強い因子もありますので、キーとなるものはもっと少ないですが間違いなく受精卵の品質評価は1歩前に進んだと思います。
ざっくり、しかもほんの一部ですが、trophoblastに関する因子が高い方が受胎しているようです。INFT、WBP1、TEAD4などを調べれば簡便な品質評価に使える可能性も出てきました。
あとはこれを基に影響する因子を増やす、減らす培養法を改善する取り組みも加速するでしょう。

今回の知見をもとに受精卵の品質がさらに高まる可能性は高いです。
この機に乗じて我々もさらなる高みを目指して頑張りたいですね!

2020年10月28日 (水)

交尾で卵子の素が作られる?

私、知りませんでした

ハエの話です

ハエは交尾後に生殖幹細胞が増えるらしいです

このプロセスが不明だったんですが、

卵巣へと伸びる神経で調整されていることが

今回明らかになったそうです

この神経はオクトパミン

と呼ばれる神経伝達物質を産生し、

卵巣に影響を及ぼします

オクトパミンは哺乳動物のノルアドレナリンに相当するらしく、

生物に共通した神経による幹細胞の制御メカニズムの解明に貢献するかもしれません

交尾刺激で増えるんですね、、

不受胎牛がマキ牛で結構妊娠すると聞くんで

牛の世界でも「交尾刺激」なるものが存在するかもしれませんね

話が飛びますが、

交尾刺激排卵動物(ネコ、ウサギ)も効率的な生き物です

多分、交尾のチャンスが少ないので

妊娠の確率が高まるよう進化?

したんでしょうね

交尾と言えば、

さらに話がぶっ飛びますが、

小学校低学年だったころ同級生と

犬を散歩させて遊んでました

友達の雌のワンちゃん、

かわいかったです

そこに、野良犬が寄ってきて、

上に乗ってカクカクしだしたんですね

友達と、

「なんばしよっとやろうか~」

と眺めてたんですが、

下のワンちゃんが鳴き出したんで、

飼い主(同級生)が

「やめろ~」

と引き離そうとしたんですね

で、二人で両側から引っ張ったんです

いつのまにか、それぞれの犬が上を向くように両サイドから引っ張り合ってました

しかし、一部だけ結合してるみたいな、、

もう必死で、

友達は「なんで、つながっとるとや! 抜けん、抜けん!」

と泣いてましたね

と、記憶はここまでで、

最後どうなったか覚えてないんです

抜けたのかな?

抜けたんでしょうね

ごめんなさい、痛かったでしょうね

知らなかったんです

犬の交尾結合、、、

本日は素晴らしいeLife(10.7554 /eLife.57101)の論文から

ワンちゃんの交尾結合まで幅広い内容でお届けしました

eLifeはフリーでご覧いただけます

引き続きET研ブログ、よろしくお願いします!

2020年10月 9日 (金)

ゲノム編集でどうなるの?その2

2年前くらいの記事で

「ゲノム編集でどうなるの?」

ってのがあったんですが、

この技術を使って

「角が生えない牛が作れるぜ!」

「暑さに強い牛が作れるぜ!」

「枝肉量が増えるぜ!」

「お腹がゴロゴロしない牛乳を生産できるぜ!」

「柔らかい牛肉を生産できるぜ!」

「いろいろな疾病にかかりにくい牛群が造成できるぜ!」

「雄しか生まれないようにできるぜ!」

「別の個体(動物)の生殖細胞が簡単に作れるようになるぜ!」

ということを紹介してました

この度、

このゲノム編集技術を開発された

アメリカUC BerkeleyのDoudna氏と

ドイツMax Planck InstituteのCharpentier氏

がノーベル化学賞を受賞されました

おめでとうございます

この技術、2012年に開発されたんですが、

その当時からノーベル賞は確実と言われていたので

2020年の受賞は「やっと」といったところでしょうか

何がすごいって、

むかーし、ET研でも牛の遺伝子をいじってたんですが、

遺伝子切って、loxP配列を入れて、飛ばして、ヘテロを確認して、

SCNTして細胞を胎仔化して、株化して、

再度、遺伝子切って、から同じことをおこなってホモを確認して、

SCNTして細胞樹立して、、、と

ノックアウト細胞を樹立するのに

最速でも1~2年位はかかってましたね

で、牛は妊娠期間が長いので

デザインしてから最終成果が出るまでに

とんでもなく長い時間を費やしてました

これが今回の発見で

ノックアウト細胞だけであれば

早ければ1~2か月程度

で作れるようになったんじゃないでしょうか

また、遺伝子の切った貼ったも専門知識をもつヒトしかできなかったんですが、

今回の方法は、非常に簡単なため、

誰もが遺伝子配列をコントロールできるようになったわけですね

農業・畜産分野だけでなく、

医療などかなり多くの分野での活躍が期待できる技術です

今、クリスパー(ゲノム編集)で研究しろと言われたら、

下痢しにくい子牛とか作ってみたいですね

2020年10月 6日 (火)

繁殖障害牛の治療

AIしても妊娠しない、

発情もこない、

経験上、

このような繁殖障害は

未経産牛でも、

1割程度は存在するように思います

本日、紹介するのは

Platelet Rich Plasma for Regenerative Medicine Treatment of Bovine Ovarian Hypofunction

Front Vet Sci. 2020, 7, 517. doi: 10.3389/fvets.2020.00517

で、いわゆる

多血小板血漿(Platelet Rich Plasma: PRP)治療を

牛でやってみましたよという内容です

PRP治療といえば、

血小板(さまざまな成長因子やたんぱく質が含まれる)で

傷んだ組織を元通りに治そうとする自己治癒力をサポートする方法です

スポーツ診療科などでよく使われているようですね

ネット検索すると

「アンチエージング」

という必殺キーワードも引っかかってくるんですが、

さすがに、

この辺は胡散臭さがグッと増します(笑)

生殖医療領域ではPRPを子宮内に注入することで

子宮内膜が厚くなったりという報告を聞いたことがあります

妊孕性が高まるんでしょうか

今回のご研究はPRPを

繁殖障害牛の卵巣に直接注入したらどうなると?

って試験です

450cc採血してPRPを回収し、

片側の卵巣に5mLのPRP、

血小板数でいうと、

50億個を片側に注入します

(対照区は血小板ではなく、生理食塩水を注入)

で、約2か月後にAIするそうです

生食区は6頭AIして 妊娠0頭

試験区は5頭AIして 妊娠4頭

まぁ、腔胎で出荷するより妊娠牛で出荷した方が売値が高くなるので、

繁殖障害牛、出荷前の最終手段として試してみる価値はあると思います

上士幌でトライしてみましょうかね

学術的に、あと、

血中のFSHやAMH濃度を測定したり、

卵胞波を経時的にエコーで観察したり、

できれば卵巣の切片で血管新生がなされているかなど調べれば

もっといい論文になったと思います

すごくライトな印象でした

2020年9月30日 (水)

バージンフラッシュってその後の受胎性に影響しないの?

福岡もだいぶ涼しくなり、

走りやすい季節になってきました

先週土日は久しぶりに完全に休むことができ、

時間があったというか

かなり暇だったので、

チャレンジしたのが

走った形跡(GPS)でお絵描きです

さて問題!

これはなんでしょう?

Gps

一筆書きです、なかなかの出来栄え!

わかった方はコメント欄に答えとメアドを入れてください(公開されません)

未定ですが、

先着で何かプレゼントを差し上げます

さて、本題に入りましょう

タイトル、どう思われますか?

農家さんから受ける質問でかなり上位にランクします

ちょうどよいご発表がありました

J Dairy Sci,2020, doi: 10.3168/jds.2020-18386.

Does previous superovulation affect fertility in dairy heifers?

というタイトルで

まさに

「バージンフラッシュってその後の受胎性に影響しないの?」

と訳します

ブラジルで乳牛1,783頭を用いておこなわれた検証です

試験では

「1回採卵してAI」区

「2回採卵してAI」区

「採卵なしでAI」区

と比較してどうか調査

結論ですが、

「1回採卵してAI」区は影響しない

「2回採卵してAI」区は初回AIの時期の遅れや

それに伴い分娩時期が少し伸びてしまうけど

その他は影響しない

ということでした

個人的な意見ですが、

将来、超有望選手から

2回の採卵で受精卵が合計10個以上取れるのであれば

少しの初回AIの遅れは仕方がないと思います

それより採卵後AIの受胎性の低下が見られずホッとしました

採卵の手技によっては何らかの影響が出る可能性もあり

100%大丈夫とは言い切れませんが、

概ね「問題なし」と考えてよい結果だと感じました

ゲノム育種価が高い牛や能力が期待できる牛は効率よく産子を取りたいですね