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2021年3月 7日 (日)

ブラジリアン授精術

ブラジル発の論文が面白かったのでご紹介します。
(The effect of clitoral stimulation post artificial insemination on pregnancy rates of multiparous Bos indicus beef cows submitted to estradiol/progesterone-based estrus synchronization protocol)
この論文曰く、ブラジルの人工授精師はAI後に“clitoral stimulation”なる技を使うそうです。ウシの飼養頭数世界一のブラジルで一般的に行われているというこの技、気にならないわけがありません。
“clitoral stimulation”の意味はここで載せていいのかわからないので、各自辞書で調べてください。

さて、この論文ではAIの直後に3秒間の“clitoral stimulation”を行い、その後の受胎成績を調べています。
で、気になるその結果は…

なんと5%ほど受胎率が高い結果に!!

ただ有意差はありません。つまり結論は効果なしです…。

期待させといてなんだよ、と思いますが、筆者たちは真面目でして、過去の文献との比較を行ない効果の無かった理由をちゃんと検証しています。

“clitoral stimulation”の歴史は古く、1975年に米国にて最初?の報告が見られます。この時は6%ほどの受胎率向上を達成したそうです。
ほかに1994年の報告では12%の受胎率向上を記録しております。ちなみにこちらはメキシコ。

さて、今回の論文で効果の無かった理由として、定時AIであったことを挙げています。
そもそも“clitoral stimulation”の効果については、はっきりしないようで、言われている説としては神経系を介した子宮への効果が考えられているようです。ただ、今回の論文にあるようなホルモン剤を使用した定時AIでは、ホルモン剤の効果の方が高いため、その効果が出なかったと考察しています。
他にも3秒で良かったのか、文献によって5秒とか10秒とかもあるのでまだまだ検証の余地はあるかもしれません。

ちなみに12%の向上を記録したメキシコの文献では、技術者によって効果が異なったそうです。また乾季や雪の季節よりも雨季で効果が高いとのこと。特殊なテクニックが必要なのか、あとは湿度が影響しているのか…うーん、奥が深い。
神経系への作用から、神経質なウシを落ち着かせる効果もあるとの報告もあります。ただ今回の論文でも調査していたのですが、行動やウシの気質への効果は見られなかったようです。

有意差はありませんでしたが、5%受胎率が高かったことは事実ですし、有意差のあった報告も見られます。特にコストも必要ないのでブラジルに習って取り入れるしかないでしょう。
是非みなさんトライしてみてください。既にやっている方もいると思いますが。
それでもし受胎率向上したら手技含め是非教えてくださいね。

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