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2021年2月19日 (金)

X染色体上のマーカーを含めたゲノミック評価

ゲノミック評価において性染色体のマーカーは利用されないことが多いです。

これは、雄と雌で伝達様式が異なるなどの理由があります。

しかし、X染色体は、ゲノムの中で2番目に大きい染色体であり、

表現型に影響を及ぼす遺伝子が含まれていると考えられます。

本論文では、密度の異なるチップのSNPマーカーを用いて

片方のチップで無いマーカーを補完する(インピュテーション)

際の精度とX染色体上のマーカー使用の有無による

乳形質や繁殖形質、増体形質等様々な形質の

ゲノム育種価の予測精度を比較しております。

結果はX染色体のマーカー使用により、

ゲノミック評価の精度がわずか(0.3~0.5%)に向上しました。

また、X染色体を除いた際の予測精度の低下は、

同程度の大きさの常染色体マーカーを除いた時よりも

小さかったようです。

この理由については、X染色体のマーカー密度が

低いことと本試験でのデータ構造が影響していると

考察されています。

本論文では、X染色体のマーカーを加えることによる

信頼度の向上はわずかであるが、

マーカー利用のコストがかからないため、

使用を推奨しております。

ET研のデータには、X染色体のマーカー情報がない個体も

多数いるため、利用は難しいかもしれませんが、

一度分析してみたも良いかもしれません。

黒毛の枝肉形質では、ゲノムインプリンティングの影響も

示唆されてるので、次はこのあたりの論文を紹介したいと思います。

コメント

今回の比較された形質には脂肪交雑(BMS)は入っていないのですね?
海外ではあまり興味のない項目なのでしょうね。

記述された項目はほんの少ししか向上見込みがないのですね。でも、コストがほとんど変わらないのなら、ほんの少しの向上でも歓迎します。

ゲノミック評価は、良い評価を持っている種雄牛(例えば福之姫)と未評価の種雄牛(民間種雄牛の安福久、若百合、宮崎県の耕富士などはこれに当たるのでは?)で、持っている肥育牛成績が同程度の場合では、それぞれ子の評価はどうなるのでしょうか?
当然良い評価を持っている種雄牛の子の評価が高いと思いますが、ゲノミック評価を持っている種雄牛が一部の団体に偏っていると、それはそれで経過措置的とは言え問題ですね。(なんとなく九州の民間種雄牛はゲノミック評価受けていなさそう。北海道民間種雄牛は追いつけ追い越せで受けていそう)
あまりにもある牛の子の評価が高い(ネット上で私以外でも同じ牛の子の高評価をささやいている。ただし、その方の牛群全体がその傾向なのかは不明)ので、数値だけでの選抜は危険を感じています。

脱サラの牛飼い様
いつもブログを閲覧いただき、ありがとうございます。
今回のデータがホルスタイン種のため、脂肪交雑は分析対象外でした。黒毛和種の枝肉形質については、検証してみる価値はあるのかもしれません。
ゲノミック評価の部分については、未評価の種雄牛の産子の肥育成績が十分にあり、なおかつその産子がSNP情報を持っていれば、評価はある程度安定してくると思います。当然良い評価値を持っている種雄牛産子の方がいい評価値が出やすいです。
おっしゃる通り、ゲノミック評価値は訓練データに依存するので、全国である程度枝肉成績が出回る民間種雄牛はまだしも、特定の県でしかほとんど肥育されない県有種雄牛については、正確に評価することは難しいと考えています。
数値ももちろん大事ですが、母体にしたときの繁殖性やその他の形質については不明ですので、あくまで基準のひとつに留めておき、母体の血統はある程度バラエティーがあったほうが個人的には良いと思っています。

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