ウシの原始卵胞は?
ヒトの原始卵胞の話が昨日出たことに感化されたので、今日はウシの体外で培養した卵子がどこまで若いステージまで活用されているかについてご紹介します
ウシの場合、原始卵胞どころか、原始卵胞から一次卵胞を経てさらに進んだ二次卵胞(卵子の周辺を取り巻いている細胞・顆粒層細胞が分裂・増殖して層状になった段階)由来の卵子から、胚盤胞を作り出すことに成功したという報告すらまだありません。
ウシにおいて卵子を取り出し体外培養を経て子牛を生ませることができた最も若い卵胞ステージは、二次卵胞のさらに次の段階であり、顆粒層細胞の中に卵胞液の腔が形成され始める大きさ1 mm未満の初期胞状卵胞です。
ウシの卵巣を薄く切り、顕微鏡で見ると、小さな初期胞状卵胞が明るく透けて見えます。この初期胞状卵胞をメスを使って切り出し、破ると中から直径約95 μmの卵子が出てきます。この卵子を特殊な培養液中で二週間程度培養すると、約115μmまで発育します(一般的な体外受精で使われる卵子は直径約120μm)。このようにして卵子を体外で発育させる技術は、In Vitro Growthの各単語の頭文字を取ってIVGと呼ばれています。
この卵子を成熟培養・体外受精してできた胚盤胞をETすることによって、子牛を産ませることは可能なわけなのですが、依然として胚盤胞が作れる割合は、一般的な体外受精と比べるとまだまだ低いのが現状です。ET研でも現在扱っている技術ではありません。
将来的にIVGが発達していけば、素晴らしい血統のウシが死んでしまい、どうしても子が取りたい時などに大いに役立つと思っています
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