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2014年5月 1日 (木)

キスペプチンってどうなんよ?

 動物の繁殖に関わっている方ならGnRHを投与したことはおありかと思います。

 GnRHは排卵促進剤として主に用いられ、LHの一過性の過剰分泌を起こしたり、またFSH・LH双方の拍動性の分泌を引き起こす非常に大事なホルモンですが、このGnRHの分泌をさらに上位で支配しているのがキスペプチン(メタスチン)です。

 このキスペプチンが実際牛の繁殖で使えたりしないのかなぁと常々思っていたのですが、最近牛と同じ反芻動物で、一年を通して繁殖が可能であるシバヤギに、キスペプチンの治験薬を投与し、卵胞発育、黄体機能、生殖ホルモンの分泌に与える影響について検証した論文が出ました。

題:Ovarian and Hormonal Responses to Follicular Phase Administration
of Investigational Metastin/Kisspeptin Analog, TAK-683, in Goats

(和訳:メタスチン/キスペプチン作動性治験薬の卵胞期投与のヤギにおける卵巣と内分泌反応)

ジャーナル:Reprod Dom Anim 49, 338–342 (2014); doi: 10.1111/rda.12283

著者:Y.Goto et al.(東京農工大)

材料および方法:下図参照

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結果:

・投与6h後のLH・FSH濃度が試験区で増加した一方、E2濃度は投与12時間後以降対照区が高くなった。

・排卵時期は対照区平均に対し試験区2頭で遅延し、1頭で早まった(もう一頭はデータなし)。

・排卵数に差は見られなかったが(対照区:4.7個、試験区:3.3個)、試験区の方が対照区より排卵した卵胞の最大直径が小さくなった(対照区:5.4mm、試験区:3.8mm)

・排卵②以降のP4濃度が試験区で低下した。

 個人的にはGnRHより上位の中枢を叩くことにより、より鋭敏に排卵性の刺激が誘引できるのかなぁと考えていたのですが、そういった結果は得られていないようで、むしろ投与後のE2濃度低下、排卵以後のP4濃度低下といったネガティブエフェクトが目立つという印象を受けました。投与量等まだ検討課題はあるかもしれませんが、生殖内分泌は一筋縄ではいかないということを改めて痛感した論文でしたthink

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