受精卵とデキサメサゾン
日々の生活に適度なストレスは必要と言いますが、過度のストレスは体調不良の原因となります
ストレスを感じたとき、体のなかではストレスに対抗するためのホルモンが分泌されます。
それが副腎から分泌されるコルチゾールなどの糖質コルチコイドです。
このホルモンは代謝の活性化や免疫抑制の作用によって身体の危機から身を守る働きがあります。
一般的にステロイドと呼ばれる薬も、この糖質コルチコイドが成分でありアレルギーなど様々な場面で活用されます
その中にデキサメサゾンという薬があるのですが、牛でも炎症がある場合に投与されたりしています。
最近発表された論文によると、このデキサメサゾンを培養液に加えると胚の発育が良くなるということが発表されました【Effect of dexamethasone on development of in vitro–produced bovine embryos(Priscila P.B. Santana etal., Theriogenology vol.82)】
デキサメサゾンを培養液に加えると体細胞では種類によっては細胞死を引きおこしたり抑制したりするそうで、受精卵ではどうか試してみたようです。
結果は、細胞死への影響はなかったようですが、胚の発育速度と細胞数が向上したそうです
詳しい作用機序はわからないようですが、身近な薬で胚の発育が良くなるのは面白いですね
デキサメサゾンが代謝を促進するのか、成長ホルモンの活性を高めるのか、いずれにせよステロイドの作用の多様さに驚かされますね。
ストレスは不妊の原因にもなり得ますが、上手に使えば受胎性を向上させる?このままではややこしいのでメカニズムの解明に期待したいですね
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