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2021年5月20日 (木)

精液と精子と精漿と

こんにちは。(自称)木曜日担当のTです。GWがあったり自分がバタバタしていて書きそびれていたりして、かなり久しぶりに更新します。


哺乳動物では、射精される精液やその液体部分である精漿が子宮の環境を変化させるということは以前から知られています。


ウシではリピートブリーダーの子宮頸に精漿を入れてあげることで受胎率が改善することが知られていますが、今日紹介するのは「精子」に子宮の環境を変える効果があるという論文です。


Schjenken JE, Sharkey DJ, Green ES, Chan HY, Matias RA, Moldenhauer LM, Robertson SA. Sperm modulate uterine immune parameters relevant to embryo implantation and reproductive success in mice. Commun Biol. 2021 May 14;4(1):572. doi: 10.1038/s42003-021-02038-9. PMID: 33990675; PMCID: PMC8121928.


これはマウスを用いた研究なのですが、マウスの研究ではよく「精管結紮マウス」というのを作ります。精巣から作られた精子が通る管を結紮することで、射出される液に精子が混ざらない雄マウスを作れます。

原理としては、哺乳動物の精漿は主に精嚢と前立腺に由来していますが、これらは精管よりも先にあるため、精管結紮マウスは精漿のみ射出できるのです。


どういったときにこのマウスを使うかというと、雌マウスはヒトやウシと違って交尾しないと機能黄体が維持されないため妊娠できません。
なので、マウスでETを行う場合は精管結紮マウスと交尾させてからETします。


話を戻すと、この論文の筆者は普通の雄マウスと精管結紮マウスにそれぞれ交尾させ、それらの雌マウスの子宮を比べれば「精子」と「精漿」の影響を区別できると考えたわけです。


研究の結論としては、精液によって子宮の免疫応答に関する遺伝子の発現が変化し、特に精子によってTLR4という遺伝子を介した経路が大きく変化したようです。また免疫応答の一つである好中球の子宮組織への浸潤が精子の存在により顕著になりました。


今までは精漿に着目して受胎率を改善する研究は多く行われてきましたが、精子にも着目してこのTLR4の経路を子宮で刺激できれば、より受胎率の向上につながるかもしれませんね。


TKH


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