命をかけて
一部の有袋類の雄が交尾で死ぬ理由が解明され、
研究結果が米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されたらしいのですが、
私としては、・・・?という感じもするのですが、
動物生態学や行動学??などの観点からは非常に有意義な論文なのでしょうね
「けんかが原因」「子孫に食べ物をより多く残すため」といった推測がなされていましたが、
交尾に没頭するあまり男性ホルモンであるテストステロンのレベルが高くなり、
これが引き金でストレスホルモンが急激に増加し、
体内組織が破壊され、免疫系が崩壊することで死に至ることが明らかとなりました
哺乳類では非常にめずらしいですよね
つまりは雄達は自分の子孫をより多く残すために、
1度に多数の雌と力の限りを尽くして交尾するということですね
・・・この研究結果を読んで私が大学生の頃の事を思い出しました。。。
マウスの受精卵を観察するという授業があり、
実験に使うマウスを飼育・管理していたのが私達の研究室でした。
エサや水をあげたりゲージのお掃除はもちろん、雌には数日間過剰排卵処置の注射をして、
過剰排卵処置が完了すると雄1頭に雌数頭でゲージに入れ、交尾をさせました。
授業が何度もあったために注射と交尾のサイクルが混乱してしまうぐらい多忙でした
マウスの雄も毎晩毎晩違う雌が突然ゲージに入ってきてさぞかし忙しかったことでしょう・・・
そんなある日1頭の雄が原因不明の死を遂げたのです・・・
病気かな?具合悪かったのかな?その当時はそんなことも考えましたが、
この論文からきっとそのマウスの雄も子孫を残すために
死にもの狂いだったのではないかと思いました
このマウスだけではないですが、全てのマウスは命をかけて
私達に受精卵というものを教えてくれたのでした
こういう犠牲の上に私達の研究が成り立っているのだということを
いつまでも忘れてはいけませんね
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