嚢腫の牛のオブシンク
最近場内で移植前の牛の黄体確認をする際に、卵胞嚢腫で移植を中止するケースがよくあります
GnRH等の排卵促進剤の注射一本で直ればいいのですが、それだけでは直らないケースも度々あるわけで、プロジェステロン除法剤を入れてみたり、様々な方法を試されている方も多いかと思います。
文献をあさってみたところ、比較的簡単な方法で成果が認められた報告がありましたので、一部をご紹介いたします。
タイトル:Comparison of Two Different Programmes of Ovulation Synchronization in the Treatment of Ovarian Cysts in Dairy Cows(和訳:乳牛の卵胞嚢腫の処置における2つの排卵同期化法の比較、要約を一部省略し参照)
ジャーナル:Reprod Domest Anim. [Epub ahead of print]
著者:N Gundling ら
目的:異なる二つの排卵同期化法の卵胞嚢腫の治癒および繁殖機能に対する効果の検証
材料および方法
実験群:下図参照
*処置後20-24時間後に授精
供試動物:ホルスタイン種経産牛(群1、群2ともに65頭)
結果:下表参照
表1.初回処置による嚢腫治癒率(%) | |
群1 | 66.2% |
群2 | 23.1 |
表2. 授精回数累積受胎率(%) | |||
1回目 | 2回目 | 3回目 | |
群1 | 66.2 | 76.9 | 83.1 |
群2 | 40 | 50.7 | 60.6 |
*群2と対照区では差はなし。群1と群2で有意差(P<0.05)
妊娠牛1頭におけるコスト(ユーロ) | |
群1 | 352.44 |
群2 | 484.59 |
対照区 | 333.77 |
以上の通り、嚢腫の治癒、それ以降の繁殖効率、さらにはコスト面においても良好な成績が得られています。試してみる価値はありそうです
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