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2014年9月 9日 (火)

薬液注入とMFBPの比較

「繁殖技術」の今月号で、面白い記事があったので、ここで紹介させて頂きます。


原題「黒毛和種繁殖障害牛に対する子宮内薬液注入処置およびModified Fast Back Programの適用」記野聡史(日高地区農業共済組合)著

●目的:不妊の繁殖牛の受胎率向上のために診断的治療としてAI後に子宮内薬液注入処置やCIDRの挿入が実施されるが、その有効性については様々な報告があり、適用対象も定まっていない。
今回、2回以上のAIによっても受胎せず3回目以降のAIを実施した黒毛和種繁殖牛に対して、これらの処置を実施し、その有効性を検証した。

●材料及び方法以下の3群に分類した
・薬注群…AI翌日に子宮内にアンピシリン500mgを注入したもの(n=37)。

・Modified Fast Back Program(MFBP)群…AI後5日目に膣内にCIDRを挿入し、19日目まで留置(n=23)

・対照群…これらの処置を行わなかった群(n=49)。

以上の3群の受胎率を比較した。

また、それぞれの処置群を前回のAI日から処置前のAI日までの日数により正常周期(21±3日あるいは42±6日)群と、異常周期群に分けて比較した。

●結果
受胎率…薬注群67.6% 、MFBP群73.9%、対照群49%。
特にMFBP群は対照群よりも有意に高い受胎率(p< 0.05)であった。


正常周期の受胎率…薬注群71.4% 、MFBP群58.3%、対照群38.1%。
薬注群は対照群に比べて有意に高い受胎率(p< 0.05)であった。


異常周期の受胎率…薬注群55.6% 、MFBP群90.9%、対照群57.1%。
MFBP群は対照群に比べて有意に高い受胎率(p< 0.05)であった。


発情の異常周期は黄体形成不全や胚死滅等が挙げられます。
MFBP処置は黄体期早期に外因性のプロジェステロンを補充することで子宮内膜の増殖や子宮腺の発達を促進し、胚の発育や生存性を高め受胎率を向上させたと考えられます。

正常周期において、薬注処置により受胎率が向上した結果からは、正常で発情が回帰する個体では不受胎の原因が細菌性の子宮内膜炎である場合が多いと考えられます。

以上の結果から、正常周期で発情が回帰する場合には子宮内膜炎を疑い薬注処置を、発情周期の異常が認められる場合には黄体期のP4濃度を高める目的でMFBPを適用することが受胎率向上のために有効かもしれませんねup

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