精子を守る蛋白質の盾
ヒトにおいて、細菌から精子細胞を守る蛋白質に着目した研究が発表されました
病原菌に対し保護作用を持つデフェンシンという蛋白質のなかでも、
ヒトβデフェンシン1という蛋白質は、体の各種組織でみられるが、
男性の生殖器官での役割は不明でした
不妊男性325人、生殖能のある男性190人の精子を対象に
精子細胞内のヒトβデフェンシン1の濃度を調べたところ、
精子無力症または生殖器官内の感染症による膿精子症の男性では、
不妊の問題のない男性よりもこの蛋白質の濃度が低かったそうです
また、精子細胞内のこの蛋白質の濃度を高めると、精子がより効率的に運動し、
病原菌と戦う力が大きくなり、より効率的に卵子に貫通することができたそうです
精子には、女性の生殖器官内に存在する病原菌に対する抗菌力が必要であり、
次は蛋白質レベルを高めることの安全性の解明が研究課題だそうです
ヒトβデフェンシン1という蛋白質は病原菌に対する抗菌力の他に
精子の運動性や受精にも関与している可能性がありそうですね
この研究論文は「Science Translational Medicine」で発表されております
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