GATC
今回は、人の生殖医療について、記事を書かせていただきます
みなさんは、1997年製作のSF映画「ガタカ」をご存知でしょうか?
「ガタカ」とはGとAとTとC。
DNAの基本塩基であるguanine(グアニン)、adenine(アデニン)、thymine(チミン)、cytosine(シトシン)の頭文字のことです。
内容は、出生前の遺伝子操作により、生まれながらに優れた知能と体力と外見を持った「適正者」と、「欠陥」のある遺伝子を持ちうる自然出産により産まれた「不適正者」との間で、厳格な社会的差別がある近未来を描いた映画です。
その「ガタカ」が、近い将来、現実になるかもしれません。
12月14日の新聞記事に、「来年度にも受精卵検査を拡大 流産減に期待 批判も」
という、見出しが。
以下、記事の内容です。
「日本産科婦人科学会(日産婦)が、体外受精した受精卵の染色体すべてを調べて異常がないものを子宮に戻す「着床前スクリーニング」を、臨床研究として実施することを承認した。
来年度にも始め、3年間で結果をまとめるという。
従来の受精卵検査は、重い遺伝病の子どもが生まれる可能性のある夫婦や、染色体の異常によって流産を繰り返している夫婦を対象に、原因となる染色体異常に限って調べていた。
新しい検査は、流産を減らすことや、妊娠率を高める効果を期待している。
調べる異常の範囲や、検査を受ける夫婦の対象が大幅に拡大する。ダウン症などの病気もわかり、「命の選別」につながるとの批判もある。
認められた臨床研究の実施計画によると、対象は体外受精で妊娠しなかったことが3回以上あったり、流産を2回以上繰り返したりした女性。新しい検査を受ける300人と、検査をせずに受精卵を子宮に戻す300人とで比較し、子どもを得る確率が増えるのかを調べる。
朝日新聞社」
命の選別については、過去にも、このような記事があります。
「妊婦の血液からダウン症など胎児の染色体異常を調べる新出生前診断について、診断した病院グループは2014年6月27日、昨年4月の開始からの1年間に7740人が利用し、「陽性」と判定された142人の妊婦のうち、羊水検査などで異常が確定したのは113人だったと発表した。
このうち97%にあたる110人が人工妊娠中絶をしていた。
7740人が診断を受けたのは昨年4月から今年3月。
受診者の平均年齢は38.3歳で、妊娠週数は13.3週だった。出産時に35歳以上が目安となる「高齢妊娠」を理由に診断を受けた人が9割以上を占めた。
受診者の1.8%に当たる142人が陽性と判定され、このうち126人が羊水検査などの確定診断を受けた。診断結果が「異常あり」だったのは113人。内訳はダウン症が70人、心臓疾患などを伴う異常は43人だった。
113人中、人工妊娠中絶した人は110人を占めた。このうちダウン症の異常が確定した人が69人で、その他が41人。異常が確定した後も妊娠を継続している人もいる。
日本経済新聞」
以上の記事より、出世前診断で97%の妊婦が中絶している事実を踏まえ、着床前診断で受精卵の遺伝子検査を行うことで、中絶という女性の体の負担は軽減されるものの、今まで出世前診断では分からなかった病気が判明し、さらに命の選別が助長されるのではないかと、私個人は思いました。
命の選別だけではなく、「ダカタ」のように、倫理の枠を越えて、オーダーメイドベイビーも、近い将来あるのかもしれませんね。
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