ヒト受精卵,10日超え培養に成功!!
ヒトの受精卵を,受精後12~13日間にわたりシャーレ内で培養することに成功したと,
米英などの2研究グループがNature誌およびその姉妹紙にそれぞれ発表しました
従来の培養法では,受精卵は体外では10日間も生きられないと考えられていたため,この研究成果は世界中で波紋を呼んでします
ヒトの受精卵は受精した後分割を繰り返し,5日前後に胚盤胞(着床可能な胚)になって,胎児や胎盤などになる部分ができます。
不妊治療では,この段階までに子宮に戻します
実験では,子宮に着床する7日目前後から胚を観察。
胎児を包む膜(胎膜)および血液を供給する部分になる組織のもとができる過程や,遺伝子の働きを調べました。
その結果,母体からの信号がなくても,独自に成長する現象を確かめました
この技術により,着床障害の原因解明や不妊治療の改善,さらには再生医療の発展にも寄与することが期待されています
下の写真は受精後12日目の胚を染色した様子です。うっとりするほど美しいですね
異なる色は,それぞれ異なる機能を持った部分で,体外でも機能の分化が進んでいることを意味しています。
この研究成果は称賛される一方で,科学技術と倫理指針とを衝突させるという警告の声も上がっています
ヒト胚を2週間を超えて培養することを禁止する,「14日ルール」というものが存在しているからです。
今回の研究でも,この制限を超えないよう受精卵は意図的に破壊されました
ヒト受精卵の研究をめぐっては,技術と倫理が衝突することが多いですが,
もっと長期の培養が可能になった場合,一体どんなことがわかるんだろうとワクワクしてしまう私は,
やはり研究寄りの人間なのだと思います
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