実は倹約家
12月10日にスウェーデンでノーベル賞の授賞式が行われます
みなさんは今年の日本の受賞者をご存知でしょうか?
今年は、東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんがノーベル医学生理学賞を受賞されました
大隅さんは「オートファジー(自食作用)」という現象の研究に取り組み、その仕組みを明らかにした人物です
簡単に説明しますと、オートファジーとは自分の中のいらなくなったタンパク質を分解して新たなタンパク質の材料にしたりする現象のことで、タンパク質のリサイクル機構とも言われております
あらゆる生物(細菌から植物、昆虫、魚、人間などなど)に共通するシステムで、「生命現象の根源」といえるシステムです
この営みによって生命は維持されており、オートファジーが働かなくなると生物は死んでしまいます
体内でリサイクルをしているなんて、生物は実は倹約家なんですね
そしてこのオートファジー現象、受精卵でも起こっているのです
マウス、ゼブラフィッシュ受精卵でオートファジー活性を可視化したのがコチラ↓
青い方がオートファジーの働き具合(活性)が低く、赤い方が高いことを示しています(↑写真の下の色彩表参照)
マウス受精卵では発育が進むにしたがって活性が高くなっているのが分かります
このようにオートファジーの働き具合を簡単に測る方法は近年、東京大学の研究チームによって米科学誌「Molecular Cell」電子版に発表されました
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20161107.pdf
オートファジーが起こらないようにしたマウス卵を受精させると、受精後にオートファジーによるタンパク質分解が起こらず、結果として着床に至る前に発生が止まり、死んでしまいました
このような受精卵は新しいタンパク質の合成量が減少していたため、栄養不足状態であったと推察されております
受精卵の発育にもオートファジーは関与していることが明らかとなりました
すごいぞオートファジーすごいです、大隅教授
ウシにおいても早期胚死滅にオートファジーが関連しているケースがあるかもしれませんね
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