ETってどれくらい行われているの?
今年も残すところあと1週間となり、ET研究所本場で日々行われている採卵業務も明日が年内最後となりました。そんな年の瀬にふと思ったことがありまして、それが「ETって私たち人間ではどのくらい行われているのだろう?」という疑問。
まず私たちET研になじみ深い、和牛の受精卵移植による産仔数は2018年で4万7080頭であり、和牛全体の産まれた頭数の8%(12頭に1頭くらい)にあたるそうです。
対して人間では2018年に体外受精からの受精卵移植によって生まれた子供の数は5万7000人に上り、16.7人に1人が体外受精によって生まれた計算になるそうです。つまり、今後クラスに2人くらいは体外受精で生まれた子供がいることになるんですね。
ただ、人と牛で最も違うところはその目的です。
人間では不妊治療の一つとして行われ、基本的に夫婦の精子と卵子から作られた受精卵を、その卵子を提供した女性に移植します。
一方で牛で受精卵移植を行う大きな目的の一つが、受胎させる牛とは遺伝的に異なる子牛を得ることです。砕けて言えばホルスタインの雌牛に和牛の子を産ませたり、和牛母体でも違う血統の子牛を産ませたりできる、ということです。
人間ではこれは「代理母」という考え方になり、日本では法規制はされていませんが、産科婦人科学会によって自主規制されているそうです。
実際に行うとすると海外しかないようですが、費用は国によって異なるものの600万から2000万円程度必要なようです。
人間では倫理的な面から規制されているドナーと異なる女性への移植ですが、牛ではこの仕組みによって子牛の生産基盤が支えられていると言ってもいいと思います。
少し堅い話になってしまいましたが、何を言いたいかというと受精卵を作ってくれる牛さん、そしてそれを受胎して元気な子牛を産んでくれる牛さん、2020年もありがとうございました、2021年もよろしくお願いします、ということです。
TKH
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