「追い移植」、単純?奥深い?
例えば酪農で歴史年表を作ってみると、
「1年1産させるためには!」幕府時代
は終わりを告げ、
現在は、
「何とか、もう1産させましょう!」幕府時代
へと「あっ!」という間に移り変わってしまったような気がします。
これも近年の人工授精(AI)による受胎率低下がその要因となっているのではないでしょうか?
ニュースでは、夏季のフロリダのAI後の受胎率が5~10%と大きく落ち込んでいるようです。
また、九州や本州の酷暑期は、それに近い状況であるなどの話もお聞きします。
このようなAI後の極端な低受胎率を改善するために、
発情期のAIに続き、その7~8日後に受精卵移植(ET)を行う
「追い移植」が有効であると我々は考えています。
(注:「追い移植」は双子分娩の可能性があるため、細やかな分娩管理が必要となります)
ところで、この「追い移植」、英語ではどのような表現をするのでしょう?
「ET after AI」でググってもそれほどヒットしません。
ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
さてさて、
今日は「追い移植」が有効である理由を考えてみたいと思います。
まず単純に
①AI由来胚とET由来胚の2胚が子宮内に存在するので、どちらかが受胎すればよい
ですね。
しかしながら、「追い移植」は2胚ETより受胎性が高いとの報告もあるようなので、
胚数だけの単純な理由ではないかもしれません。
そこで、
②発情期のAI行為が子宮内環境に影響を与え、その後のETの成功率を改善する
などは考えられないでしょうか?
例えば、
AI時の直腸検査(子宮や卵巣の触診)が刺激になったり、
AIガンを子宮内に挿入することが刺激になったり、
子宮内に精子が存在することが刺激になったり、
凍結精液中に少しだけ含まれる精漿成分が刺激になったり、
精子の凍結保護物質の成分が刺激になったり、
さらには、受精卵が発情後1~2日目と早い段階で子宮に存在することが刺激になったり、、、
などなど考え始めるとキリがありません。
と言うのも、以前の我々の研究において、
AI行為が、
子宮内免疫細胞の分布を変化させ「良い影響」を及ぼしている可能性を示しました。
しかしながら、この「追い移植」、ET由来産子ではなく、
発情期のAI由来産子が生まれてくるケースも多々あるため、
一概に②が正しいとも言えません。。。
「追い移植」は奥が深い?
追い移植。たしか、ホルスタインに血統の違う卵を2卵移植した場合は、登録ができないと思っています。ホルスタインなりF1と和牛受精卵の双子の場合も、ひょっとすると、和牛は無登録となるかもしれません。
投稿: 多治見 | 2013年5月26日 (日) 17:58
多治見さま
いつもコメントありがとうございます。追い移植、確かに登録の問題がありますね。そのことから、弊社が推奨する追い移植はAIとETの血統を揃えたものです。血統を揃えることで登録の問題も解消されます。今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
投稿: zennoh | 2013年5月26日 (日) 21:18