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2013年5月25日 (土)

「追い移植」、単純?奥深い?

例えば酪農で歴史年表を作ってみると、

「1年1産させるためには!」幕府時代

は終わりを告げ、

現在は、
「何とか、もう1産させましょう!」幕府時代

へと「あっ!」という間に移り変わってしまったような気がします。

これも近年の人工授精(AI)による受胎率低下がその要因となっているのではないでしょうか?

ニュースでは、夏季のフロリダのAI後の受胎率が5~10%と大きく落ち込んでいるようです。

また、九州や本州の酷暑期は、それに近い状況であるなどの話もお聞きします。

このようなAI後の極端な低受胎率を改善するために

発情期のAIに続き、その7~8日後に受精卵移植(ET)を行う

「追い移植」が有効であると我々は考えています。

(注:「追い移植」は双子分娩の可能性があるため、細やかな分娩管理が必要となります)

ところで、この「追い移植」、英語ではどのような表現をするのでしょう?

「ET after AI」でググってもそれほどヒットしません。

ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

さてさて、

今日は「追い移植」が有効である理由を考えてみたいと思います。

まず単純に

①AI由来胚とET由来胚の2胚が子宮内に存在するので、どちらかが受胎すればよい

ですね。

しかしながら、「追い移植」は2胚ETより受胎性が高いとの報告もあるようなので、

胚数だけの単純な理由ではないかもしれません。

そこで、

②発情期のAI行為が子宮内環境に影響を与え、その後のETの成功率を改善する

などは考えられないでしょうか?

例えば、

AI時の直腸検査(子宮や卵巣の触診)が刺激になったり、

AIガンを子宮内に挿入することが刺激になったり、

子宮内に精子が存在することが刺激になったり、

凍結精液中に少しだけ含まれる精漿成分が刺激になったり、

精子の凍結保護物質の成分が刺激になったり、

さらには、受精卵が発情後1~2日目と早い段階で子宮に存在することが刺激になったり、、、

などなど考え始めるとキリがありません。

と言うのも、以前の我々の研究において、

AI行為が、

子宮内免疫細胞の分布を変化させ「良い影響」を及ぼしている可能性を示しました。

しかしながら、この「追い移植」、ET由来産子ではなく、

発情期のAI由来産子が生まれてくるケースも多々あるため、

一概に②が正しいとも言えません。。。

「追い移植」は奥が深い?

コメント

追い移植。たしか、ホルスタインに血統の違う卵を2卵移植した場合は、登録ができないと思っています。ホルスタインなりF1と和牛受精卵の双子の場合も、ひょっとすると、和牛は無登録となるかもしれません。

多治見さま

いつもコメントありがとうございます。追い移植、確かに登録の問題がありますね。そのことから、弊社が推奨する追い移植はAIとETの血統を揃えたものです。血統を揃えることで登録の問題も解消されます。今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

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