夏×暑熱ストレス=受胎率低下
とうとう夏本番という感じになってまいりましたね
こちら上士幌町でも本州に負けじと本日は最高気温30.7℃を記録したみたいです
そこで今日は「Reproduction」に掲載された論文を紹介いたします
夏と言えば暑熱ストレスに悩まされますね
夏場の高温環境は卵子の品質、受精、発生等に悪影響を及ぼし、
受胎率低下の原因となっております。
今回紹介する論文では、ウシ卵管内での初期胚の輸送に重要な役割を担っている
「プロスタグランジン(PG)」の高温環境下による分泌異常が夏場の受胎率低下の
原因の1つであるということが発表されておりました
受精後の初期胚は卵管平滑筋の蠕動運動によって子宮へ輸送されます。
「PGE2」は平滑筋の弛緩、「PGF2α」は収縮作用を示し、
蠕動運動はこの2種類のPGの働きにより引き起こされます。
今回の試験では、単離した卵管上皮細胞のPGE2分泌や、
PGE2合成酵素の発現、ならびにPGE2合成酵素を活性化する
「熱ショックタンパク質90」の発現が高温環境によって増加することを証明しました
その一方、PGF2αの分泌は高温の影響を受けなかったことから、
夏場の酷暑によって2種類のPG分泌バランスが崩れ、
卵管の弛緩と収縮が交互にバランス良く起こらないため、
初期胚の輸送に悪影響が及び、不妊となる可能性が示されました
さらに熱ショックタンパク質90は全身の細胞に発現するタンパク質で、
細胞内に存在する100以上のタンパク質活性に関与することが明らかとなっています。
そのため、卵管以外の器官でも夏場の酷暑が
熱ショックタンパク質90を通じて何らかの影響を与え、
ウシの健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとも報告しておりました
この発表から夏場の受胎率低下予防や改善のための新たな標的として
卵管内のPG分泌異常の改善が考えられますね
夕方になると少し涼しくなりましたが、これからが夏本番ですね
今週は暑くなるようですが体調に留意しつつ、がんばりましょう
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