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2014年6月12日 (木)

もっと使おう!膣鏡!

 近年フリーストールの牛舎が増えてきたと言われておりますが、昔ながらのタイストール方式の繋ぎ外牛舎も多く見受けられます。人工授精にしろETにしろ、事前の発情観察はかなり重要であり、最も鋭敏な発情の指標は乗駕許容行動(ステンディング)の観察であるわけですが、繋ぎ飼いでは観察ができないため、その他の発情兆候からAI適期を見極める必要があります。

 繋ぎ飼いでもステンディング見たくバシっと分かる発情兆候の指標が知りたい!!そんなアナタのニーズにピシャリと答えるような論文が先日出されました!!

原題:Relationships Between the Appearances and Changes of Estrous Signs and the Estradiol-17β Peak, Luteinizing Hormone Surge and Ovulation During the Periovulatory Period in Lactating Dairy Cows Kept in Tie-stall

和訳:排卵前期におけるタイストール飼養乳用種経産牛の発情兆候の発現と変化およびE2ピークとLHサージおよび排卵の関連性

著者:Sumiyoshiら(東京農工大)

出典:Journal of Reproduction and Development Vol. 60 (2014) No. 2 April p. 106-114

材料および方法

供試動物:ホルスタイン種経産牛 10頭(平均3.8歳、2.3産、乳量約9.000 kg)

実験手順

・排卵から黄体退行開始まで2日置きに以下の項目を調査

・子宮卵巣の直腸検査および超音波検査

・血中E2濃度

黄体退行開始から次回排卵まで6時間おきに以下の項目などを調査

・子宮卵巣の直腸検査および超音波検査

・外陰部と膣の発情兆候(膣鏡)

・血中E2、LH、FSH濃度

外部兆候の強度について以下のようにスコア化した。

1_2

主な結果

・ほとんどの発情兆候が血中E2濃度増加に伴い強まり、低下するにつれて減弱したが、外陰部の充血、粘液漏出については有用な観察結果は見られなかった。

・目視、直検査で分かる発情兆候(外陰部の腫脹、子宮の状態)と膣鏡で分かる発情兆候(頚管外口の状態、粘液粘度)に分けて解析したところ、どちらもE2濃度と相関があった。

・子宮膣部の弛緩の最大値は全ての牛で排卵前6-18時間であり、他の指標よりも明瞭に観察することができた

考察より

 過去の報告では牛の授精適期は排卵前6-24時間であり、子宮膣部の弛緩は授精適期を見極める最も適切な発情兆候であると考えられる。

 子宮膣部の弛緩と聞くと「?」となる気もしますが、膣鏡を入れた際に見える外子宮口周辺を囲む層状のしわの緩みを指しており、論文中には分かりやすい写真が添付されています(フリーでPDF落とせるので見てみてください!!)。

 「直検なんて当てにならん!俺は発情は膣鏡で見るんだ!」とおっしゃっている先生もいらっしゃるのですが、改めて膣鏡の有用性を感じましたconfident

コメント

PDF はどの様に検索すればみれますか?

コメントいただきありがとうございます。Googleにて等で「J-STAGE」と検索していただきトップのウェブサイトをクリックしていただくと、文献検索システム「J-STAGE」に飛ぶことができます。「J-STAGE」上で本論分が記載されております「Journal of Reproduction and Development」を検索していただき、「Vol. 60 (2014) No. 2 April p. 106-114」の記事を探していただければダウンロードできるかと思われます。

追加です。もしPDFが見れないのなら、「Adobe Rearder」をインストールする必要があります。こちらにつきましても検索していただければ無料でインストールできます。
日頃の繁殖管理に記事の情報を役立てていただければ何より有難いです。分かりにくいところがあればまたご教授いただければとおもっております。

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