Nanopurified!
新たな精子の精製方法により受胎率が良くなったという論文を紹介いたします。
原題:Increased Conception Rates in Beef Cattle Inseminated with Nanopurified Bull Semen.(ナノ粒子精製精液により肉牛の受胎率が向上した) Biol Reprod. 2014 Sep 17
ユビキチンとよばれる欠損した精子の細胞表面に付着するたんぱくと
Peanut agglutinin(PNA)と呼ばれる欠損したアクロソーム(精子頭部にある受精にかかわる部位)に独占的に付着するたんぱくの
それぞれに対する抗体をコートしたナノ粒子を精液と混ぜます。
磁石を用いて抗体に結合した精子を集めることで不良な精子を~30%取り除き、
ストローあたり1000万精子(10M)または2000万精子(20M)を封入し凍結します。
実験区は未処置の精液(10M CON)と(20M CON)、PNA(10M PNA)、ユビキチン(10M UBI)の4区です。
肉用牛にAIした受胎率の結果は下のようになりました。
(10M CON)53.7%
(20M CON)63.3%
(10M PNA)64.5%
(10M UBI)51.3%
未処置1000万精子とPNA2000万精子をもちいた受胎率に有意差はみられませんでした。
また、PNA区では精子を精製する際の回収率が68.5%でした。
このことからPNAナノ粒子精製をすれば未処置精子の半分で同じ受胎率が得られます。
さらに、作製できるストロー数も未処置精液より多くなることがわかりました。
あたらしい発想でおもしろいなと感じました!
現場で実用化されるようになるのでしょうか?
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