去勢
本日は論文の紹介をしたいと思います。
肉牛には避けて通れない去勢に関する論文です。
原題:Intratesticular hypertonic sodium chloride solution treatment as a method of chemical castration in cattle.
Olmiro Andrade Neto
Theriogenology 82(2014) 1007‐1011
(高張塩化ナトリウム溶液を精巣内に注入する化学去勢の方法)
去勢の方法にはメジャーなものとして精巣をゴムリングで締め付け自然脱落させる方法や、器具で精巣ごと精管をはさんで挫滅させるバルザック法、切開し睾丸を摘出する方法などなります。
しかし、感染を引き起こし経済的な損失につながる、ウシのトラウマになったりするようです。
今回の論文では高張塩化ナトリウム溶液(20%)を精巣内に注入する(ITI)化学去勢方法の有効性を調べています。
40頭のオス子牛を用いて5区に分けて実験を行いました。
・生まれてすぐ外科的に去勢した牛(NC)
・なにもしてない牛(PC)
・生後1日から5日にITIした牛(G1)
・生後15日から20日にITIした牛(G2)
・生後25日から30日にITIした牛(G3)
結果として、
G1とG2では生後12ヶ月のテストステロンの分泌と精巣の発達を著しく損ないました。
繁殖健常性を評価している間精巣構造と精子細胞は観察されませんでした。
結論として、
生後20日までに20%塩化ナトリウム溶液を精巣内に注入する化学去勢方法により不妊となり、テストステロンの分泌も抑制されることが分かりました。
簡単で安価な方法なので現場への応用が期待されます!
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