潜在性子宮内膜炎
子宮内膜炎による受胎率低下にお悩みの方は多いと思います
ET研究所においても子宮内膜炎は散発するのですが,採卵性に及ぼす影響は大きく,なんとかできないものかと日々悩んでおります
そんな子宮内膜炎ですが,臨床型と潜在性の二つに分類されるのをご存知でしょうか?
膣からくさーい膿汁が排出されるなどの症状が認められるものは,臨床型の子宮内膜炎です。
一方,潜在性子宮内膜炎は特に目立った臨床症状がないものの,子宮内膜が炎症を起こしている状態です。
はっきりとした症状がある臨床型よりも潜在性のほうが厄介で,臨床症状がないため見落としがちですが,受胎率を低下させます
分娩後のフレッシュチェックでは子宮はきれいなのになぜか受胎しない…といったウシの場合,潜在性子宮内膜炎を疑う必要が
あるかもしれません。
臨床症状がないのにどうやって発見するのと不思議に思った方
あるんですよ,秘密兵器が
これはサイトブラシ(富士平工業で発売されているものは商品名メトリブラシ)といい,人工授精の要領で棒の先についたブラシを
子宮内に挿入し,細胞を掻きとります。
論文によりその定義は様々ですが,採取された細胞のうち好中球の割合が5-10%より多い場合,潜在性子宮内膜炎であると
診断されます。
実際の細胞の写真はこんな感じです。
好中球が発見されました!!
矢印で示したもの以外は,子宮内膜の細胞です。
このウシの場合,好中球の割合は3%程度でしたので,正常範囲内ですね。
サイトブラシという武器を手にした我々は,これからも潜在性子宮内膜炎による受胎率低下と戦っていきます
いつも、拝見させていただいております。
潜在性子宮内膜炎と診断した時に治療などはしていますか?
投稿: 匿名 | 2016年1月23日 (土) 20:09
コメントありがとうございます!
潜在性子宮内膜炎の治療をどうするかは,当研究所の今後の課題です。
採卵時の還流液に膿が認められる症例に関しては,洗浄後にアンピシリンを子宮内投与しています。
投稿: | 2016年1月25日 (月) 18:41
ありがとうございました!
投稿: 匿名 | 2016年1月26日 (火) 19:21