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2016年4月

2016年4月29日 (金)

黒毛和牛にホルスタインの卵子をつくらせることに成功~異品種間で生殖細胞の置換技術を確立、牛での成功は世界初!~

JA全農(ET研究所、飼料畜産中央研究所、家畜衛生研究所の研究グループ)は、黒毛和牛の卵巣内に異品種であるホルスタインの卵子をつくらせることに成功しました。この技術は将来、高付加価値家畜の大量生産、さらに絶滅の危機に瀕している動物の精子や卵子を効率よく別の動物に作らせる技術に応用が期待されます。この研究成果は平成28年4月27日(日本時間)に英国のオンライン科学雑誌「SCIENTIFIC REPORTS」に掲載されました。

http://www.nature.com/articles/srep24983

背 景

近年、胚盤胞補完技術(注1)を利用してマウス体内にラットのすい臓が形成されることが報告されました。また、マウスではNANOS3遺伝子を欠損(ノックアウト、以下KO)させる(注2)と精巣や卵巣内に精子と卵子がつくられないことも報告されています。
NANOS3遺伝子をKOした動物の受精卵に、別の個体の受精卵やiPS細胞などを注入し、キメラ(注3)受精卵を作った場合、生まれた個体の精子や卵子はすべて注入された受精卵やiPS細胞の遺伝情報を受け継ぎます。このようにして作出された動物の雌と雄を交配させることで、増殖させたい動物を効率よく生産できる可能性があります。そこで本研究の基礎となる技術を構築するため、胚盤胞補完技術を用いて、黒毛和牛の卵巣内に異品種であるホルスタインの卵子形成が可能かどうかを試みました。

注1)遺伝子KOにより特定の細胞(臓器)を欠損させた受精卵に、別の受精卵細胞や多能性細胞を入れると欠損した細胞(臓器)が後から入れた細胞由来に完全に置換されること

注2)特定の遺伝子を欠損させること。遺伝子機能の解析や疾患モデル動物の作出に有効な技術
注3)同じ動物個体に別の遺伝情報をもつ2種類以上の細胞が混在している状態

研究の内容

(1)雌黒毛和牛の体細胞のNANOS3遺伝子をKOした体細胞クローン(SCNT;注4)の黒毛和牛受精卵を作り、それを仮腹牛に移植し胎仔の卵巣を観察した結果、黒毛和牛の卵子を完全に欠損させることが明らかとなりました(図1)。

注4)体細胞から未受精卵への核移植でコピー個体(クローン)を作製する方法

A_taisyo

Nanos3ko

図1.(a)NANOS3遺伝子をKOしていない牛の卵巣には卵子がみられます(矢印)。 (b)NANOS3遺伝子KO牛の卵巣では卵子が消失しています。

スケールバーは500μm。

 

(2)黒毛和牛のNANOS3遺伝子をKOしたSCNT受精卵にホルスタインの受精卵割球(7~10個)を注入してキメラ受精卵をつくりました。その胎仔の卵巣を観察すると、卵子形成が確認できたことから、黒毛和牛の卵巣内にホルスタイン種の卵子をつくり出すことに成功しました(図2)。

Zu2

図2. 胚盤胞補完法によってNANOS3遺伝子KO牛の卵巣内に補完された卵子(矢印)。

スケールバーは50μm。

今後の期待

(1)本技術で遺伝能力の高い和牛精子や卵子およびその受精卵の量産が比較的容易にできる可能性があります。
(2)繁殖能力が低く量産できないため割高な医療研究用ミニブタも、本技術の応用で量産の可能性が高まり、創薬や再生医療などの分野でも貢献が期待されます。
(3)希少野生動物や絶滅の危機に瀕している動物の増殖が比較的容易にできる可能性があります。

研究成果

  

昨日,ET研究所において研究開発キックオフ会議が開催されましたeye

 

我々は受精卵を生産するだけでなく,ウシ繁殖技術を向上させるためのあらゆる研究に日々取り組んでおりますrock

昨日の会議はそんな我々の血と汗と涙の結晶である,この半年間の研究成果を報告するという,とーっても重要なイベントでした。

他研究所の所長や全農本所の職員の方にも参加していただき,さらに岩手・茨城のET研分場とWEBで中継するという徹底っぷりcoldsweats02

 

報告された研究内容は生産現場で活用するための実用的なものから,遺伝子や分子メカニズムに関するものまで盛りだくさんですtaurus

私もドキドキしながら自分の研究について報告させていただき,多くのアドバイスやご提案をいただきました。

 

日々自分の研究に向き合っていると,ついのめりこみすぎたり,果たして自分は正しい方向に向かっているのかと悩むことがしばしばあります。

そんなとき,他者にわかりやすく伝えるために結果を整理し,議論を行うことで,新たな研究への意欲とアイデアが湧き上がってきますflair

 

とりあえずGWはゆっくり休んで(笑),また研究と採卵に全力で取り組んでいきますimpact

これからもET研究所の研究成果にご期待くださいsign03

2016年4月27日 (水)

GWにはいるよ!

今週末からゴールデンウィークですね。notes
お休みまであと少し・・・


わくわく浮かれている場合ではありません!!!!
研究グループでは長期休みがある場合、インキュベーター(培養器)のそうじを行います。thunder
インキュベーターは体外受精卵を育てるいわば「お母さんのおなか」。
とーっても綺麗に保つ必要があります。shine
頻繁にそうじを行いたいのですが、体外受精卵の培養期間は8日間くらいと長いため、インキュベーターが空いている長期休み前がそうじのねらい目です!

そして、このそうじなかなか大変なため気が重たいのです。wobbly
大型インキュベーター(150センチくらいの人なら入れるサイズです。)が3台あるため培養のスケジュールと被らないように順番に掃除していきます。

部品の取り外し、洗浄、組み立てを行い作業は終了です。
ふたりで作業して1時間くらいでしょうか。
採卵後の疲れた体には堪えます。crying

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綺麗になったので大満足heart残り2台も近日中にそうじします。good

2016年4月22日 (金)

「ひらしげみ18号」および「みやざわ7860号」の凍結受精卵を販売します。

 

超高育種価牛「ひらしげみ18号」と高育種価牛「みやざわ7860号」の凍結受精卵を販売します。

平成27年12月公表の育種価によると,脂肪交雑においてひらしげみ18号が全道25位,みやざわ7860号が全道280位と,大変優秀な成績をおさめています。

 

血統および交配精液等の詳細は,下記のチラシをご覧ください。

0422

 

0422_2

2016年4月20日 (水)

植氷

タイトルの漢字読めるでしょうか!?

「しょくひょう」と読みます。flair

採卵、検卵、品質チェックが終わった受精卵たち
ここから凍結の工程に入ります。
受精卵は凍結液とともにストロー入れられ、封入されます。
このストローを凍結機にいれ、植氷します。

植氷とは受精卵がゆっくり凍るのをアシストする作業です。
植氷により受精卵の入っている凍結液の水分が凍り、だんだん凍結液の浸透圧は上がります。
そうすると凍結液に水分を奪われるため、受精卵の水分が抜け・・・

凍結液の水分が凍る→凍結液の浸透圧が上がる→受精卵の水分が抜ける

さらにさらに

凍結液の水分が凍る→凍結液の浸透圧が上がる→受精卵の水分が抜ける

最後には凍る!

こうやって受精卵細胞から水分を抜いて凍結することで、水が凍って細胞を傷害する(水は凍るとトゲトゲしているのです。)ことが低減されるのです。

この説明を聞くとゆっくり凍らせることがとても重要ということが分かると思います!

実際の作業は
液体窒素につけたピンセットで植氷箇所をつまみます。
やさしく触れるようにつまむことでゆっくり凍っていきます。

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植氷した箇所から少しずつ白く凍っていきます。(黄色矢印)

1

2016年4月19日 (火)

牛はキレイ好き?

今朝、事務所近くの牛舎をのぞいてみると牛が全く見えませんsign02
あれ?と思って近づいていくとみんな奥のほうにギッシリ集まっておりました。

何かあるのかな?と思いましたが、原因はすぐにわかりました。

Photo


簡単ですね。牛床が奥側はキレイなのです。昨日、掃除をしたのでしょう(片側だけ)。
誰も汚れた床では寝たくありませんからね。にしてもぎゅうぎゅうにもかかわらずみんな奥側に集まるなんて。
牛さんもキレイ好きなのでしょう。
と同時に、汚れた牛床が牛には大きなストレスのように感じました。
冬場は特に体が冷えて生産性を損ねるとも言われますので、小まめな掃除や休憩スペースの設置も考えていきたいですね。

2016年4月15日 (金)

技術と倫理

 

ヒト受精卵の遺伝子を「ゲノム編集」という技術で改変したとする論文を,中国の広州医科大学のチームが

米国生殖医学会誌に発表したそうですeye

中国のチームによるヒト受精卵ゲノム編集の実施は,昨年4月に続きこれで2例目です。

 

ゲノム編集とは,遺伝情報の中から特定の遺伝子を指定して,その遺伝子の持つ情報を操作することで,畜産分野においては

すでに増体や疾病予防への応用が実用化の段階に入っていますpig

少し前に話題になった遺伝子組み換えも遺伝情報を編集する技術なのですが,遺伝子組み換えは狙った遺伝子をピンポイントで

編集できないため,ゲノム編集は従来の遺伝子組み換え法よりも,はるかに効率よく遺伝子を変えることができます。

 

今回の中国のチームは,エイズウイルスが感染するときに利用する細胞表面のたんぱく質を作る遺伝子を,ウイルスに感染しにくくなる

遺伝子と置き換えようとしたとのことflair

 

ヒト受精卵のゲノム編集に関しては,技術的には可能であっても倫理的な問題が多く,意見が分かれるところですthink

受精卵にゲノム編集を行った場合,改変した遺伝子が次世代に受け継がれる可能性があるからですsweat01

(ちなみに中国のチームは子宮に戻しても育たない異常な受精卵を使用し,培養した受精卵は全て破棄したそうです)

 

いつかこの技術が承認され,ヒトでも自由にゲノム編集が行われる日が来るのでしょうか…

私自身,研究にたずさわる身として,技術の進歩を詰めていきたい気持ちが理解できないわけではありません。

また畜産分野では,ゲノム編集は育種改良や生産性の向上において大きな期待がかかっている技術でもあります。

いずれにせよ,どんどん進歩していく技術に倫理の議論が置いて行かれぬよう,しっかりとアンテナを張り,自分の頭で考える

必要がありそうですねconfident

 

2016年4月13日 (水)

ソーラーパネル

電力自由化や再生可能エネルギー流行の影響でしょうか、
十勝では太陽光発電装置をよく見かけるようになりました。

晴れの日が多く、広大な土地がある十勝にはきっと太陽光発電は適しているのでしょう。confident

そんなある日のこと、太陽光発電設備の囲いの中にひつじが数頭いるのを目撃しました。aries

なんと子ひつじもいるではありませんかimpact

確かに、ひつじならソーラーパネルの下でも生活できる大きさflair

地面に生えた草も食べてくれるclub

きっとジンギスカンになるひつじ…?

すごい画期的!新しい発明だ!と感動しました。shine

ソーラーパネルとひつじのセットが当たり前になる日も近いかも!?

2016年4月 8日 (金)

超高育種価牛の凍結受精卵を販売します!

 

超高育種価牛「てつせん号」の凍結受精卵を販売します。

てつせん号は安福久号を父に持ち,本会供卵牛の最高得点である総合指数88.95点という素晴らしい成績を出しています。

なお,凍結受精卵の交配精液は百合茂です。

 

受精卵の詳細については以下のチラシをご覧ください。

Photo

 

2016年4月 6日 (水)

子宮がない!?

毎週水曜日は帯広屠場へホルスタイン卵巣の採取に行っています。
食肉処理のラインに入れてもらい、生殖器(子宮、卵巣、卵管)から卵巣を切り取り持ち帰ります。

ある日のこと・・・
不思議な子宮が流れてきました!
よく確認してみると、

片方の子宮がないcoldsweats02
卵巣は2つあるflair

という特徴から

「ホワイトヘイファー病」だと判断しました。
これはミューラー管の部分的形成不全により、卵管から膣に部分的形成不全が起こる生殖器の先天性異常です。ちなみに卵巣は正常(2つある)とされています。


学生時代勉強したことはあったのですが、実物を見たのははじめて!

本当に卵巣は2つある!!と大興奮でした。shine
今回の牛は経産として出荷されていました。
片側の子宮で妊娠、出産したということ。
存在している方の子宮は機能的に正常だということもよく分かりました。notes