和牛の双子生産④ ~双子受胎牛の分娩成績~
和牛の双子生産、第4回目の今回は、前回お示しした、双子受胎牛の妊娠末期の栄養管理ごとの分娩成績を紹介します。
試験区が混乱しないように、前回記事のリンク先も示しておきます(和牛の双子生産③)
↓↓↓
http://etken-blog.lekumo.biz/et/2016/08/post-5bc2.html
○試験区のおさらい
|
一定区 |
増給区 |
急増区 |
単子区 |
配合飼料給与量(充足率) 分娩2ヶ月前~ 分娩3週間前~ |
3kg(100%) 3kg(100%) |
3kg(100%) 6kg(130%) |
1kg(85%) 6kg(130%) |
1kg 3kg |
母牛試験頭数 |
8頭 |
8頭 |
8頭 |
19頭 |
○分娩成績 ~妊娠期間~
・単子と比較し、双子はすべての区で妊娠期間が5日前後短縮されました。
○分娩成績 ~産出子牛頭数~
・増給区は比較的安定した分娩成績が得られました(子牛16頭中15頭生産)。
・一定区は最も死産が多く、栄養摂取量が不足していた可能性があります(子牛16頭中10頭生産)。
・急増区も死産が多く、配合飼料を1kgから6kgに急激に増給させたことが母牛へ影響を及ぼしたと考えられます(子牛16頭中12頭生産)。
・なお、本試験では5~7産の母牛を試験に用いており、ほぼ自然分娩でした。
○分娩成績 ~子牛の生時体重~
・単子と比較し、双子はすべての区で生時体重が5kg前後小さくなりました。
・なお、血統による差を防ぐため、使用した受精卵の種雄牛は1種類(増体系)に統一しました。
以上の結果から、双子受胎牛の妊娠末期の栄養管理を調整することで、
・死産を少なくすることができる
・妊娠期間や子牛の生時体重は変わらない
ということが分かりました。
このことから、死産を少なくし、多くの子牛を生産するためには、【増給区】を基本とした栄養管理が理想的であると言えます。
次回は、分娩後に気をつけたいポイントをご紹介します。
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