授精器の場所
10月に釧路で行われた人工授精師大会で、大変、気持ちが引き締められる内容の発表がありましたので、ここで簡単に紹介させて頂きます
人工授精受胎率に影響を及ぼす要因の一つとして、授精技術に関する要因が挙げられます。
全ての方は、授精を行う際に、授精器の先端がちゃんと子宮体部に入ったことを確認してから精液を注入されていると思います。しかし、精液注入直後、その授精器の先端がどの位置に来ているかを確認される方は少ないと思います
そこで、授精器の先端の位置がどのくらいずれるのかを、精液注入直前と直後にレントゲン撮影で確認を行った報告がありました。
以下にその結果を示します。
授精器の
先端の位置 注入直前 注入直後
授精師 自家授精 授精師 自家授精
子宮体 41% 37% 39% 29%
頸管 21% 29% 33% 40%
左子宮角 14% 12% 10% 11%
右子宮角 24% 22% 18% 20%
(Peters et al., J Anim Sci 1984, 59; 1671-1683)
授精師、自家授精ともに、精液注入直前と直後で授精器先端の位置がずれていることが分かります。さらに衝撃的だったのが、頸管にずれている割合が直前と比べて直後の方が約10% 前後増加しています。
このことから、体部へ注入しているつもりが、頸管内へ注入している可能性があることが伺えます。
この調査結果を見て、改めて授精時の授精器の先端位置確認をしっかりと行おうと気持を引き締められました。
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