移植時のPG産生にこの一本!
プロスタグランジンF2α(PG)といえば発情誘起薬として牛の繁殖に関わる方なら皆様後存知かと思われます。
一方、子宮内膜に炎症が起きると、COX2という酵素の働きによりPGがされます。イソジン注入により発情が誘引できるのはこの機序によります。もしETの際ににてこずってしまい、子宮内膜を傷つけてしまうと、炎症が起きてしまい、炎症性のPGによる早期の黄体退行を引き起こしてしまったりして、受胎性が低下してしまう可能性があります。
PGの産生はCOX2の働きを阻害するメロキシカム (MEL) の投与により抑制できるのですが、MELを移植操作に時間がかかった牛に投与することにより、飛躍的に受胎率が向上した論文がありますのでご紹介いたします。
メロキシカムが体外生産胚移植後の未経産受胚牛の受胎率に及ぼす影響
(原題:Effect of Meloxicam on Pregnancy Rate of Recipient Heifers Following Transfer of In Vitro Produced Embryos)
著者:TS Aguiarら
出典: Reproduction in Domestic Animals 48, 984–988 (2013); doi: 10.1111/rda.12197
材料および方法
供試動物:
肉用交雑種未経産牛 (Nellore種 × Caracu種、28ヶ月齢) 対照区:102頭 試験区:105頭
試験内容:
ETの所要時間を基準としてET難易度によりにレシピエントを2つに分類した (60秒>:容易、80秒<:困難)。試験区はET後すぐにMEL を投与した。妊娠鑑定は超音波診断器により発情後35日目で行った。
結果:
この試験の結果より、MEL投与は受胎率を向上させ、特に移植に時間がかかる困難な状況で有効であると考えられます
詳細は来週発行予定のET研ニュース8月号に記載予定ですのでぜひご一読ください
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