1文字の違い
「ゲノムのたった1文字の違いで不妊になることを解明」
英国の科学雑誌『Scientific Reports』のオンライン版(11月7日付け:日本時間11月7日)に理化学研究所バイオリソースセンターの研究掲載されました。
ゲノム!遺伝子!というと目には見えないのでとっつきにくいイメージです
からだの設計図というイメージでしょうか。マウスの場合約25億の塩基対(文字)からできていますが、1文字の違いでこんな変化が!?
研究発表によると、マウスの全ゲノム情報のわずか1文字の違いによって、精子と卵子が正常でも不妊となるモデルマウスを発見しました。
生物の遺伝情報は、細胞内のDNAに塩基と呼ばれる4種類の文字、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)の組み合わせで成り立っています。
研究チームは、形態形成や発がんに重要な役割を果たしているβ(ベータ)カテニンと呼ばれるたんぱく質を作る遺伝子に注目しました。
このうち1文字が、通常のTではなくAに変わったマウスを作りました。その結果、精子や卵子は正常に作られましたが、オスは精液の成分を分泌する精のう、メスは子宮につながる膣の異常が確認されました。卵子や精子も含めその他の異常は認められず寿命を全うしました。すなわち、必須遺伝子の1塩基の置換によって、精囊や膣形成だけに影響が現れることが分かりました。
β-カテニンタンパク質のアミノ酸配列は、ヒトとマウスでは100%同じだそうです。
ということは、変異マウスの解析結果が、そのままヒトにもあてはまる可能性も高いと考えられます。
今後、ヒトを対象とした研究でβ-カテニン遺伝子についての研究がすすめば不妊の原因の1つを特定できる可能性があり、早期診断早期治療につながると期待できます。
ウシについても気になるところですね。
参考
理化学研究所プレスリリース: http://www.riken.jp/pr/press/2014/20141107_2/
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