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2015年3月17日 (火)

卵巣嚢腫の治療

文献紹介
卵巣嚢腫の治療法で、排卵同期化を利用した有効的な治療法を紹介します。

題:乳牛の卵巣嚢腫の治療における異なる2つの排卵同期化プログラムの比較


緒言:
卵巣嚢腫の治療には性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)やヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、P4製剤が用いられる。これらの治療では治療後に発情発見の必要性があるが、最近の排卵同期化および定時人工授精(TAI)が卵巣嚢腫の治療として用いられている。


 本研究では、卵巣嚢腫と診断された牛に、治療として2つの異なる排卵同期化プログラムを用い、その効果を比較した。

材料及び方法:
卵巣嚢腫の牛を無作為にA群とB群に分け、下図に示す処置を行った。

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非妊娠牛は、3回まで処置を行った。初回AI日数、空胎日数、初回AI受胎率、2回目のAI受胎率、受胎率(受胎したAI/全てのAI)、累積妊娠率(1~3回目までの治療で妊娠した牛の割合)、妊娠率(妊娠した牛の数/AIした牛の数)を算出。

結果:
 1回目の治療による治癒率は、A群(66.2%)がB群(23.1%)に比べ、有意に高かった。
 累積妊娠率は、A群(治療後の順に66.2%、76.9%、83.1%)がB群(40.0%、50.7%、60.0%)より有意に高かった。
 初回AI日数はB群がA群よりも有意に4日早かったが、空胎日数は有意な違いは見られなかった。1回目のAI受胎率は有意な違いが見られなかったが、2回目のAI受胎率はB群よりもA群が有意に高かった。


考察:
 排卵同期化において、改変されたプログラムの方が従来のプログラムよりも治癒率が高かった。A群はB群に比べ、最初のGnRHからPGF2αの投与に反応しうる黄体の形成が十分だったからだと考えられる。


 経済的な面を見ても、自然に嚢腫卵胞の退行を待つよりも、排卵同期化やP4製剤を用いた処置が経済的だと報告されている。本研究では、A群はB群よりも薬剤が多く、投与間隔も長いが、妊娠に至る経費を抑えられた。これは、不妊症により淘汰される牛の割合がA群ではB群に比べ、減少し、更新費用が減少したためと考えられる。


参考:臨床獣医 2014. Oct. Vol.32, No.10

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