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2015年4月 7日 (火)

性格のよい♀は繁殖が良い?

ET研究所内で飼養する供卵牛を取り扱っていると、性格が良く人懐こい牛ほど採卵成績が良い印象があります。

過去に実際に牛の性格で繁殖成績を比較した文献があったので紹介します。

題:「温厚な肉用経産牛は繁殖成績が良い」

緒言:牛の気質は人が動物を扱う際の反応性として定義される。
神経質な牛は人が扱う際に興奮し、温厚な牛は人が扱う際に従順である。
温厚な牛は神経質な牛に比べストレスが少なく、血中コルチゾール濃度が低い。

本研究では、通路での退去時の歩様をもとに気質を評価し、肉用経産牛の繁殖性を調べた。


方法:全ての牛においてボディコンディションスコア(BCS)を9段階で評価。
気質について通路の出口で歩様から、1:ゆっくり歩いて退出(温厚)、2:跳び跳ねたり走って退出(神経質)で評価した。

牛の取り扱い設備の影響を評価するため、半円形の通路、直線の長い通路、広い通路か急な曲がり角を伴った通路の3つに分類した。


結果:気質について、神経質な牛は全体の58.3%、温厚な牛は41.7%だった。BCSは両気質の間で有意差は無かった。
牛の取り扱い設備によって、半円形の通路で飼養されている牛は、直線の長い通路あるいは広い通路か急な曲がり角を伴った通路で飼養されている牛より、神経質な牛の割合が減少した。
温厚な牛は牛は神経質な牛に比べ、繁殖期における妊娠率が有意に高かった(94.1% vs 88.6%)。

考察:神経質なうしにおいて、繁殖成績が低下する理由はいくつかある。
この理由には、遺伝的要因や不適切な取り扱い設備が含まれる。神経質な牛では、コルチゾール濃度の上昇が見られ、このことが性腺刺激ホルモン放出ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌抑制などの繁殖機能への有害な影響を及ぼす。さらに卵巣動態にも影響を及ぼし、発情発現が抑制される。

 牛の取り扱い設備によっても、神経質な牛の割合は異なり、さらに人工授精の受胎率にも影響する。
しかし、ヒトが牛の取り扱いを改善することで神経質な牛の割合に変化は見られなかったが、繁殖成績は改善したと報告はある。
繁殖獣医 2015.Mar. Vol.33, No3

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