過剰排卵処置の負担を減らすには?
受精卵回収を効率よく行う上では、過剰排卵処理は欠かせないわけですが、その実態は、数日間にわたって朝夕注射を打ち続ける漸減投与と呼ばれる地道な作業です。
当研究所で昨年度行った受精卵回収は、3114頭であり、全ての牛に対して3日間×朝夕2回の投与を実施したとすると、年間投与するFSHの注射回数は実に18684本に上ります。
イチローのメジャー通産打席を一年で軽く越えてしまう勢いです
過去、当研究所でも
・ポリビニルピロリドン(粘稠性がある)に溶解する方法 (Takedomi et al. 1995 Theriogenology. 43: 1259-1268)
・尾椎硬膜外腔(ET時や胚回収時の麻酔薬の投与部位)への投与(小西ら、2009、東日本家畜受精卵移植技術研究会)
といった報告をしております。
他にも水酸化アルミニウムゲルに溶かした方法や、皮下注射などの報告がありますが、要は、
①ドロドロの液体に溶かし込む
②吸収速度が遅い部位に注射する
といった試みが成されて来た、ということです。
実際やってみると案外手間となる要素もあり、どの方法も中々漸減投与に取って変わっていないのが実情です。
ほっといてもブタ並みに排卵する牛がつくれないものだろうか?と妄想しつつ今日の筆を置かせていただきます
大量希釈ワンショットとかみると漸減必要なのかという疑問すら湧きます…
失活の問題もありますから毎日FSH希釈がある所と、一頭過排卵の所では結果違うと思いますよ。
投稿: hourai | 2015年8月30日 (日) 20:41
houraiさま
当研究所のようにルーチン化してしまえば漸減投与も当たり前のようになってしまうのですが、やはり一頭単位だと、「つい、うっかり」も起こりやすくなってしまうような気もします。
FSHの保存状態も間違いなく影響しますよね・・・。
One-Shotの場合、生体内でホルモンとして作用する前に代謝されるFSHの割合も気になるところです。
投稿: Matt | 2015年9月 3日 (木) 17:51