CIDRの再利用
当研究所でも利用しており、卵胞のう腫の治療や発情同期化薬としてもおなじみのCIDR。
黄体ホルモンであるプロジェステロンを含むT字型の膣内留置型製剤であり、人為的に黄体が持つ働きを牛に与えることができることは多くの方がご存知かと思います。
発情同期化薬としては5-8日程度の留置期間が一般的ですが、一方卵胞のう腫の治療には12日間程度留置するので、「1回同期化で使ってももう一回くらい使っていいんじゃね?」とお思いの方も多いと思われます。
過去ET研ニュースにおいても、再生CIDRで一定の血漿プロジェステロン濃度は維持されるという報告をご紹介しておりますが(全農ET研究所ニュース平成26年6月号)、この度定時人工授精において再生CIDRと未使用CIDRを比較した報告がありましたのでご紹介いたします
題「CIDR回使用と2回使用による肉用牛の定時人工授精受胎率の比較」
(原題:Comparison of pregnancy rates in beef cattle after a fixed-time AI with once- or twice-used controlled internal drug release devices.)
著者:Muth-Spurlock AM ら(ノースカロライナ州立大学、アメリカ)
出典:Theriogenology[Epub ahead of print]
著者らは未経牛99頭、経産牛43頭のオブシンクに7日間CIDR留置を組み合わせた定時人工授精において、CIDRの使用回数(1回目か2回目か)で比較を行いました。CIDR抜去時のプロジェステロン濃度は、1回目の方が2回目よりも高かったのですが(1回目3.4 ± 0.5 ng/mL 2回目1.4 ± 0.5 ng/mL)、受胎率には差は無かったそうです(1回目75.4 ± 6.0% 2回目71.7 ± 6.4%)
1回使用した後のCIDRでも、血中プロジェステロン濃度は低下するものの受胎率には影響は無いようです。
もちろん衛生面と洗浄・滅菌にかかる手間の問題は無視はできないのですが
血液数値参考になります。
インチキではなく使い出があると思いますよ。セコハンCIDR。
投稿: hourai | 2015年11月19日 (木) 20:06
houraiさま
コメント有難うございます。
高泌乳牛には複数本セコハンCIDRで対応!!なんてこともできそうですね笑
投稿: Matt | 2015年11月24日 (火) 12:24