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2012年5月15日 (火)

雄?雌?

最近、酪農家さんより受精卵の雌雄判別(性判別)のご依頼を多数いただきます。

誠にありがとうございます!

性判別は受精卵にダメージを与えないよう、できるだけ少ない細胞を切り取り、

その少量の細胞の遺伝子検査を行うことで雌雄を判定します。

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今回、数年前から昨日までに性判別を行った受精卵の性比を調べてみました。

1,937個のうち・・・・・・・・・・・・・・雌が911個

すなわち、雌率47%です。

フィッシャーの原理で知られる通り、多くの生物の性比は1:1に安定しています。

不思議ですね。

もちろん、日によってどちらかに大きく偏る時もありますが、

トータルを計算するとご覧の通り約1:1。

(ヒトは男:女=105:100と言われています。個人的には牛も雄が少々多いと思います)

この性比をコントロールすることに世界中の多くの研究者が挑むわけです。

最もよく聞く膣内のpH(アルカリ性、酸性)にはじまり、女性の社会的順位、栄養、

疾病、ホルモンバランス、ストレス、年齢、季節などなど。

膣内pHの話は、ドイツのお医者様が性交前に女性の膣を薄い重曹溶液(アルカリ性)で洗浄したところ、

その後生まれた53例がすべて男の子だったというセンセーショナルな結果で大流行しました。

しかしながら、上述したいずれの説にも賛否両論あり、

性比コントロールに至っていないのが現状です。

もちろん我々ET研も性比コントロールにチャレンジしましたが・・・・・、非常に難しい。

その中でも、偶然得られた結果を今日はご紹介したいと思います。

ある実験で、過剰排卵処置後の排卵のタイミングを超音波装置を用いて3~4時間間隔で観察していました。

約2日間、観察を続けました。

観察時期は1~2月・・・・、観察場所はもちろん北海道・・・・。

それは地獄のような日々でした・・・・。

卵巣の観察を終え、数日後に受精卵を回収し採卵結果を記録。

ついでに性判別も行い雌率を確認すると、

「うん?」

卵巣観察を行っていない牛群の雌率より少々高い結果が。

例数を増やすため意を決して追試を行うことにしました。

待っていたのはあの地獄のような、いや、地獄の日々です・・・・。

何とか観察を終了し、データ整理すると対照群(発情期に卵巣観察を行っていない牛群)の雌率

51%(41/80)に対して、実験群(卵巣観察を行った群)は66%(61/92)と7割近くの受精卵が雌と判定されました。

「ここで実験群・対照群の説明」

実験群:卵巣を超音波で観察するため3~4時間毎に捕獲し、直腸検査を行います。

対照群:卵巣を観察しないため捕獲しない=直腸検査も行わない。

これらの結果と過去行われてきた研究を照らし合わせ、

雌牛に対する軽度のストレスが受精卵の性比に影響を与えるのではないかと推察し、

何とか簡易的な処置で卵巣観察を行った時と類似した体内環境を作り出すことに専念しましたが、

現在もその方法を見出すことはできていません。

海外でも本試験の追試が行われ、雌の受精卵が多くなりそうだということが報告されました。

大きく視点をかえる時期に差し掛かっているかもしれません(発情期の生殖器に対する連続刺激とか?)。

今後も我々は農家さんの生産効率を改善するための研究を行ってまいります。

どうぞよろしくお願いしますhappy01

コメント

発情期の連続刺激で雌率がアップするというのはとても興味深い、と言うか神秘的ですね。人だと連続刺激=酸性の液体で雌率がアップするということになりましょうか。

T.Tさま

コメントありがとうございます。
非常に神秘的です。
体内で何が起こっているのでしょう?

基本的に酸性・アルカリ性の話には「?」なところが多いので、
今回ご紹介した事例には別の角度から取り組みなおす必要があると考えています。

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