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今回はウィリアムマイナー研究所にいる同期からくる、デイリィインフォの記事の一部を紹介させていただきます
約1年前の論文ですが、教科書が覆される報告がありました
Acrosome-reacted mouse spermatozoa recovered from the perivitelline space can fertilize other eggs
大阪大学とハワイ大学の共同研究です(PNASに掲載)
一般的に、精子は先体反応を起こし、卵子の透明帯を溶かしながら内部に侵入していくと考えられていました
また、精子が卵子に侵入するのは1回のみと教わった記憶があります
研究グループは、透明帯は通過するが卵子細胞質の中に入れないよう
(すなわち、透明帯と卵子細胞質の間の囲卵腔に精子がたまるよう)
遺伝子操作した精子と卵子を実験に供試しました
そして、囲卵腔にたまった精子(すでに先体反応が起こっている)を取り出し、
新しい卵子と共培養したところ、その精子は
再度透明帯を通過し、受精卵となり子供にまで成長することが明らかとなりました
ということで、少なくとも精子は2回卵子に侵入できることが証明されたのです
そこで、、、
透明帯は通過したが卵子細胞質内への侵入を他の精子に許してしまった場合、
受精をあきらめずに、透明帯を脱出し、また新しい卵子に入っていくくらい【タフな精子】
がいれば繁殖効率がかなり改善されますね(過排卵処置時のAIに限りますが)
すいません。。。
冗談です。。。
しかもこれだと透明帯を3回通過しないといけませんね
しかし、うまく活用できれば少ない精子数でも効率よく受精させることができるかもです
特に体外受精
こちらは冗談ではありません
あっ、メリークリスマース
今日はクリスマスイブですね
みなさんどう過ごされていますか?
クリスマスイブということで(?)、
遠く離れたロシアでは先日こんなびっくりニュースがありました
対向車に接触したトラックが横転してしまったようです
幸い、運転手とウシさん達にも大きな怪我はなかったようです
ウシさんびっくりしたでしょうね、かわいそうに・・・
こちら十勝は例年に比べて雪が多いような気がしますし、
会社帰りに道路から落ちてしまっている車を見ることもしばしば・・・
みなさんくれぐれも車の運転にはお気をつけ下さい。
また、インフルエンザも流行し始めたとのニュースもありましたので、
年の瀬に体調を崩すことのないよう注意しましょう
今年も残りわずかとなりました
年越しに向けて、今週も1週間がんばっていきましょう
今日は今年最後の新ETシステムの移植にいってきました
数えてみると今年平成24年はなんと826頭の牛に新ETシステムで移植をおこないました(北海道内ET研移植のみ)
昨年の平成23年は583頭、一昨年は450頭、新ET開始の3年前は10頭(12月のみのため)と年々移植頭数が増加していることがわかります。
つまり生産者の皆さまに新ETシステムが浸透してきたこと、また支持をしていただいたためだと思いますので非常にうれしいことですね
今後もさらなる移植頭数拡大のため、努力してまいりたいと思います
本州ではまだ新ETの移植はありますが、来年も新ETシステムをよろしくおねがいします
牛の妊娠期間は、ホルスタイン種や黒毛和種で280-290日前後と知られています。
最近めっきり寒くなりました。
寒くなると家の中に閉じこもりがちになりますよね。。
しかし男性の皆様
今年こんな論文が発表されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22234399
日ごろ座りがちの生活を送っている人は、
精子の運動性、形態の正常性に加え、ホルモン濃度まで
運動する人に比べ低いそうです
ある授精場の方がよく種雄牛の引き運動をされている
というのを聞いたことがありますし、
牛でも同様のことが言えるかもしれません。
12月4日の記事に引き続き、
国際受精卵移植学会(IETS)ネタです
いまいちスッキリしない結果ですが、
「子宮に何か入れる」ネタが好きなんです。。。
これもサンパウロ大学の報告(12月4日の記事と同じグループ)
INFLUENCE OF LOW-VOLUME UTERINE FLUSHING ON UTERINE VASCULAR PERFUSION AND ENDOMETRIAL THICKNESS DURING EARLY DIOESTRUS IN BEEF CATTLE
15頭の経産牛にAIを実施
AIと同じ発情周期の6日目に少量(20mL)のPBSを非黄体側子宮角へ入れて、
マッサージ後PBSを回収
そして、子宮の血流を観察すると、
非黄体側子宮角のみならず黄体側子宮角の血流が上昇するそうです
で肝心の受胎率がどうなるかというと。。。
書かれてない。。。
15頭じゃ何とも言えないという感じでしょう
彼らの予想は、この血流の上昇が受胎率にいい影響をもたらすのではというものです
手間がかかるため、ちょっと現場では応用できそうにない技術ですが、
知見としては面白いです
免疫系も大きく動きそうかな
突然クイズです
これは何をしているところでしょうか?
見たままシャーレにカッターで傷をつけている(線を引いている)で・す・が、
この線、採卵した受精卵を探すのに重要です
採卵後、受精卵が浮遊している子宮還流液をこのシャーレへ入れます
その中から受精卵のみをピックアップしているわけなのですが、
受精卵の大きさから考えたら、このシャーレいっぱいの還流液は大海原のようですね
(ちょっとおおげさですが・・・)
ですので、シャーレの裏側についている傷を目印に大捜索するのです
ちょっと写真が見づらくなってしまいましたが、
うっすらと見えている白い横線がカッターでつけた傷です
私は赤い線で示したように横に見るタイプですね
こうしてみんなスナイパーさながらの鋭い目つきで
「狙った獲物は1つたりとも逃しません」という感じで検卵しております
検卵の際にはシャーレ内を2回チェックして、
さらにもう1度取りこぼしがないかしっかりとチェックしていまーす