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2014年2月25日 (火)

ウシの採卵成績および胚質を上げるには?

ウシの採卵成績および胚の質を上げるにはどうすればいいのか?
誰もが知りたい答えですよねtaurus
様々な研究が行われている中、なるほどねって思う論文があったので紹介させて頂きます。
(詳細はET研ニュースに載っていますflair

ルーメンバイパス多価不飽和脂肪酸を黒毛和種に与えると、過排卵処理への反応性及び胚移植後の受胎率が向上した
(原題:Improvement of Superovulatory Response and Pregnancy Rate after Transfer of Embryos Recovered from Japanese Black Cows Fed Rumen Bypass Polyunsaturated Fatty Acids. J. Vet. Med. Sci. 2013.)

緒言
脂肪の給与は、主席卵胞サイズの増大、分娩後の次回発情間隔の短縮、黄体期のプロジェステロン濃度の増加、子宮内でのプロスタグランジン産生を調節、卵母細胞や胚の質の改善といった、繁殖能力へ影響を与えている。本研究では黒毛和種供卵牛に過排卵処理を行っている間、リノール酸を給与することで、血液生化学、過排卵処理後の胚回収率、移植可能胚率、ET後の受胎率にどのような影響を与えるかを調査した。

材料および方法
過排卵処理を行う黒毛和種供卵牛を、非給与群(50頭)、PUFA(ルーメンバイパス多価不飽和脂肪酸)給与群(50頭)のうち過排卵処理を行っている間に10-14日間給与群(15頭)および15-19日間給与群(35頭)に分類し、計3群を設定。PUFA飼料は300g/day(うち、180gのCa塩に40%のリノール酸および75mg β-カロテンを含む)を、PUFA給与群に給与した。

結果
●血液生化学⇒T-Choで、15-19日給与群がControl群よりも有意に上昇(P<0.001)。
●胚回収数⇒胚回収数、移植可能胚数ともに、15-19日給与群の方がControl群と比べて有意に多かった。
●胚移植後の受胎率⇒新鮮卵、凍結卵ともに、給与群の方がControl群よりも移植後の受胎率は高かった。

考察
コレステロールは性ホルモンの前駆物質であり、血液中のT-Choの増加は卵胞期のエストラジオール産生の促進および卵胞の成長に寄与している。本研究で移植可能胚の回収が15-19日給与群の方が、10-14日給与群よりも有意に高く、また、15-19日給与群のT-Cho濃度が高いことから、多価不飽和脂肪酸の給与期間が影響しているのではないかと考えられる。
Staigmillerらは、多価不飽和脂肪酸を短期間or長期間与えすぎても過排卵処理を行った牛の回収胚数、胚質に悪影響を与えると報告した。回収胚数、胚質を向上させたいのであれば、PUFAをただ闇雲に多給するのではなく、給与期間を考慮し、また多価不飽和脂肪酸の中でもリノール酸を給与すると良いのかもしれない。

 以上、多価不飽和脂肪酸が牛の繁殖成績の改善に寄与していることを示した論文を紹介させて頂きました。最近ではバイパス油脂製剤として、大豆油脂肪酸Ca塩、パーム油脂肪酸Ca塩などが販売されています。しかし、この論文を読む限りでは、それらバイパス油脂製剤の中に含まれる多価不飽和脂肪酸の組成、給与期間をしっかりと理解していなければ、マイナス要因になりかねないということですねhappy01

コメント

Therioじゃないですヨ

大変申し訳ございません。

引用文献は「J. Vet. Med. Sci」です。

ご指摘ありがとうございました。

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