良い卵は良い牛乳から
酪農の現場では常に乳房炎との闘いがあると思います。一方乳房炎が乳生産だけではなく繁殖性にも影響することはよく知られています
乳房炎がどのように繁殖性に影響するかはよくわかっていませんが、これに関する文献をみつけました。
【Effects of Escherichia coli- and Staphylococcus aureus-induced mastitis in lactating cows on oocyte developmental competence (大腸菌と黄色ブドウ球菌による乳房炎と卵子の発育能への影響)】
S Asaf etal, Reproduction 2014, 147 :33-43
上記文献によりますと、大腸菌および黄色ブドウ球菌由来のエンドトキシンを処置された牛からOPUにて卵子を回収し、IVFをおこなうと対照牛にくらべ胚の発育が悪かったそうです
またそれらの牛の卵子や胚での遺伝子発現は正常な牛のものとは異なっていたそうです。
以上より、乳房炎の牛では細菌が産生する毒素の影響によって卵子や胚の発育に関する遺伝子発現に影響することが不受胎の要因の1つになるそうです
乳房炎による直接的な生殖器への影響もあると思いますが、卵子の発育にも影響している点は面白い発見のように思います。
乳房炎であることが採卵性やOPU-IVFの生産性にも大きく影響することから、採卵に供する場合は乳房炎の管理も重要であると改めて認識させられますね
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