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2014年10月

2014年10月30日 (木)

eCGの使い道:その④(最終回)

 さて、本日は4週にわたりお送りしてきた「eCG(ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン)」の使途についての紹介の最終回ですweep

 本日は、より臨床での応用が期待できる、「eCGの定時人工授精プロトコルへの適応」についての適応についてご紹介していきますeye

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

・GnRH、PGF2α、E2等のホルモン剤を使用して、定時人工授精(FTAI)が行われているが、栄養状態が制限された状況や、分娩後早期、低BCS、暑熱ストレス、無発情牛においては、FTAIの成績は安定しないことが多い。

・一方、eCGのLHおよびFSH双方の作用により、上記のネガティブファクターがある中で、FTAI成績が向上した報告がある。

・Souza et al. (2009)・・・低BCS牛で大幅に受胎率向上

1・Gracia-Ispierto et al. (2013)・・・無発情牛を対象に試験

2_2

*: 有意差あり

・一方、BCSが低い牛の割合が少ない牛群では、eCGを用いたプロトコルにより成績が向上しなかったという報告もある (Ferreira et al. 2013)

・eCG投与でにより双胎が増え、プロジェステロン除法剤の留置により増える傾向があるが、5日間留置の場合は9日留置の場合よりも双胎を減らすことができる。

→結論として、eCG投与を組み込んだプロトコルは無発情や低栄養状態において良好な成績を発揮しうる。

・・・以上、暫くの間お付き合いいただきましたが、お役に立てそうな情報はありましたでしょうか?

なかなか牛の状態が良くならず、繁殖でもお困りな状況にある方は、活用されるのも一つの手かと思いますsmile

2014年10月29日 (水)

ふゆじたく

昨日、ET研では初雪が降りました。
もうそんな季節なんですね。

牛舎も冬支度。house
カーテンつけましたよ。

Image

2014年10月28日 (火)

徒然なるままに

とうとう、雪が降りましたねeye

昨日まで20度近くあったのが、まるで夢みたいです。

北海道の紅葉は、炎のように一瞬に色づき、そして枯れてゆきます。

Image_4

青と黄色と赤のコントラストが素敵です。


道を走ってると、たんちょうも見かけます。
最近は十勝でもタンチョウがよく見られるようになりました。

この日は通りがかった畑でタンチョウを見つけカメラを向けました。

刈り込みの終わった畑の落ち穂でも食べているのでしょうね。


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雪が降ったら、このたんちょう達はどこへ行くのでしょう?
このまま、十勝で冬越えするのでしょうか?


以上、北海道へ来て、感動したモノたちを徒然なるままに挙げてみました。

2014年10月27日 (月)

受精のチェック

受精卵を得るためには、成熟し受精能を獲得した精子と、

細胞質と核(染色体)がきちんと成熟している卵子が必要になってきますflair

成熟期に達した卵子に精子が侵入すると、

精子の核(雄性前核)と卵子の核(雌性前核)が形成されますtoilet

この2つの前核が卵子の中に確認することが出来れば正常な受精をしています。

Photo
少し写真が見づらいかもしれませんが、赤い丸で示した部分が前核になりますupwardleft

この受精卵の中には2つ確認できるので、正常に受精していることが分かります。

中には多前核形成(卵子内に3つ以上の前核が確認できる)のものもあります。

通常、受精の過程で1個の精子が卵子に侵入すると、

2個目以降の精子の侵入を防ぐ反応が起こるのですが、

卵子が未成熟であったり、老化により質が低下している場合に

2個以上の精子が侵入してしまう場合がありますwobbly

Photo_2
この写真の受精卵には4つの前核が確認できますupwardleft

異常な受精が起こっていることが分かります。

このように受精後の卵子を染色することによって受精率をチェックすることができます。

精子によって精子侵入率や多精子受精率などが違うので

精子の能力の評価なんかに使えますよ~note

2014年10月24日 (金)

牛の体温は?

突然ですが、牛の体温がどの程度か皆さんご存知でしょうか?
教科書的には正常な成牛の体温(直腸温)は37.8~39.2℃とされています(獣医内科学 大動物偏より)taurus
これは牛によって常に一定なのでしょうか。いえそんなことはありません。
過去の報告ですが、牛の体温に影響する環境要因を調べています(柏村文郎 1995 http://gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/gakui/cgi-bin/gazo.cgi?no=212326)。
報告によると牛の体温は朝8時がもっとも低くなるそうで、その後は寝たり立ったりで体温が上昇、下降を繰り返すそうですrecycle
ほかにも飲水などによって体温は一時的に下がるそうですが、牛くらいの体の大きさになると立っているだけでどんどん体から熱が逃げていくそうですwobbly

最近は気温もマイナスを記録し始めていますので牛にコールドストレスを与えないためにも長時間牛を立たせたまま捕獲しないようにする、よく牛が寝れるように床の状態をよくするなどの工夫が必要なんですねflair

Photo

寒いときは縮こまって寝るのが一番ですcat

2014年10月23日 (木)

eCGの使い道:その③

「eCG(ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン)」の使途についての紹介の③回目ですsun

本日は「eCG処置の卵胞と黄体における性ステロイドホルモン合成に及ぼす影響」について紹介いたしますeye

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

・eCGは顆粒層細胞と卵胞膜細胞におけるエストロジェン (E2) およびプロジェステロン(P4) 分泌を促進する。

 ・卵胞期では、E2産生促進による正のフィードバックにより、排卵前のLHサージに作用する。

 ・分娩後14日目の乳牛においても、eCG 750 IU投与により、無投与よりE2産生が促進される。

 ・発情から7日目の黄体期に投与すると、黄体の成長が促進され、血中P4濃度の上昇が、無投与の場合より2日程度早まる。一方、黄体の大きさ自体には影響しないことから、機能性の黄体細胞の比率および機能の増加が生じるのだと考えられる。

・排卵前のeCG投与もP4濃度を増加させる。これは、eCGが顆粒層細胞・卵胞膜細胞の双方に働き、卵胞を増大させ、黄体も増大させることによると考えられる。

 →結論として、eCG投与は黄体に直接働きP4産生を促進するのみならず、排卵前の卵胞に働き、卵胞機能およびサイズを増大させることで、黄体発育を促進し、P4産生を促進する。

 ・・・排卵前および、黄体形成後もP4分泌を向上させる、とういことは即ちAIでもETでも応用できる可能性があるなぁと感じましたhappy01

 次回はいよいよ最終回!!「eCGの定時人工授精プロトコルへの適応」についてですup

2014年10月22日 (水)

去勢

本日は論文の紹介をしたいと思います。moon3
肉牛には避けて通れない去勢に関する論文です。hairsalon
 
原題:Intratesticular hypertonic sodium chloride solution treatment as a method of chemical castration in cattle.
Olmiro Andrade Neto
Theriogenology 82(2014) 1007‐1011
(高張塩化ナトリウム溶液を精巣内に注入する化学去勢の方法)

去勢の方法にはメジャーなものとして精巣をゴムリングで締め付け自然脱落させる方法や、器具で精巣ごと精管をはさんで挫滅させるバルザック法、切開し睾丸を摘出する方法などなります。
しかし、感染を引き起こし経済的な損失につながる、ウシのトラウマになったりするようです。weep
今回の論文では高張塩化ナトリウム溶液(20%)を精巣内に注入する(ITI)化学去勢方法の有効性を調べています。

40頭のオス子牛を用いて5区に分けて実験を行いました。
・生まれてすぐ外科的に去勢した牛(NC)
・なにもしてない牛(PC)
・生後1日から5日にITIした牛(G1)
・生後15日から20日にITIした牛(G2)
・生後25日から30日にITIした牛(G3)

結果として、
G1とG2では生後12ヶ月のテストステロンの分泌と精巣の発達を著しく損ないました。
繁殖健常性を評価している間精巣構造と精子細胞は観察されませんでした。
結論として、
生後20日までに20%塩化ナトリウム溶液を精巣内に注入する化学去勢方法により不妊となり、テストステロンの分泌も抑制されることが分かりました。

簡単で安価な方法なので現場への応用が期待されます!sagittarius


2014年10月20日 (月)

なんだこれは!

突然ですが、今日はET研の敷地内で変わったクモを見つけましたcoldsweats02

こんなクモを見たのは初めてでしたし、最初見たときは衝撃的でした・・・

画像載せてます↓

クモ嫌いの方はすいません・・・

20141020_181954
女性陣はこの毒々しいクモを見て「きゃぁきゃぁ」言っておりました(笑)

柄や色が奇抜な虫って気持ち悪いですよね~bearing

ちなみにこのクモはコガネグモ科のキバナオニグモというクモらしいです。

平地の草原や林縁に生息していて、北方系のクモだそうです。

本州には高地に生息するらしいのですが極めて稀なんだそうです。

(青森県、下北半島の一例のみだそうです)

腹部は鮮やかな黄白色に黒の奇妙な模様があるのが特徴で、

この模様は個体によって変異があり、

腹部後部中央に大きな黒斑をもつ「アトグロ型」と呼ばれるものも存在するようです。

ちなみにET研で見つけたクモはアトグロ型ではないみたいですねeye

調べていると、どうやらこのクモはメスっぽいですねvirgo

お腹がかなり大きいので産卵を控えているのかもしれません・・・

ところで、クモに異常に恐怖心を抱くクモ恐怖症のことを

「アラクノフォビア」と言うらしいです。

高所恐怖症、閉所恐怖症などは聞いたことがありますが、初耳ですear

クモがいそうな場所にいたり、目に見えるクモの存在(クモの巣など)を見ると

落ち着かなくなってクモを見るとパニックに陥ってしまうそうですね。

そしてこのアラクノフォビアという題の映画があるそうで、

製作総指揮をとったのは、あのスティーヴン・スピルバーグだそうですcatface

新種の毒グモに襲撃された町を舞台に、クモ恐怖症の医師達がそれに立ち向かう

という内容だそうですよwink

今日は何だか1匹のクモを調べていたら色々話が広がってしまいましたcoldsweats01

それではクモの話題はこの辺で・・・paper

2014年10月17日 (金)

マウイファミリーのご紹介

昨日、優良ホルスタイン受精卵のリストを更新いたしましたので、

ぜひご一読をsign01

ET研ホームページは → こちらより

本日ご紹介させていただく受精卵は、

あのミス マーク マウイを曾祖母に持つ

「セジス ビユーテイ エルトン ダンデイー マウイ」に、

「アトウッド(7HO10506)」

を掛け合わせた受精卵です。通常の精液で作成しています。

本牛は、未経産ミドルクラス、経産牛シニアクラスでオールニッポンに選ばれております。

10162

 他にも娘の写真などもリーフレットに載っておりますので、

ちょっとでも興味のあるかたはぜひご覧になってください。

(リーフレットは、こちらより。PDFです。)

 

 

 

 

 

2014年10月16日 (木)

eCGの使い道:その②

先週から、木曜日に最近出た総説を元に、FSH作用、LH作用双方の作用を持ち、ウマではLH作用が強く、ウマ以外の動物ではFSH作用が強いことでしられるホルモン「eCG(ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン)」の使途について紹介していますhappy01

今回はeCG投与の卵巣上の卵胞への反応についてご紹介します。

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

・eCGの投与により、5mm以下の小さな卵胞が動員され、発育率が増加するとともに、中~大サイズ(6-9mm)の卵胞発育も継続されることで、結果として退行する卵胞を減らすことができるという多数の報告がある一方、高用量を投与したとしても効果が無かったという報告もあり、これらより、eCGの投与効果は、投与量および投与する牛の発情周期に左右されると考えられる。

 ・一般的には高用量で卵胞発育が著しく促進されると考えられているが、発情周期の9-12(1st  wave退行期に当たる)に投与を開始すると、効果が無かったという報告がある。

 ・分娩後14日目に投与すると、無投与の場合妊娠角側の卵胞発育が妨げられ、反対角よりも小さくなるが、eCG 250 IUまたは750 IUを投与すると、卵胞発育が促進され、卵胞サイズが両角で変わらなくなる。

 ・分娩後6日目にeCG 500 IUを投与すると、初回排卵が早まるとともに、発情周期の回復も早まる。

 ・eCGの投与は、排卵を促進し、取り分け分娩後早期や、低BCS、長期の無発情やヒートストレス下など、ネガテイブファクターがある状況下で有効であると考えられる。

→結論として、eCG投与は排卵前と排卵時の内分泌機構に影響を与えるのではなく、一般的には主席卵胞の発育と排卵率を増加させると考えられる。

・・・激烈な反応がある印象が強いeCGですが、やはり卵胞発育ウェーブは無視することができないことを再認識いたしました。分娩後の卵巣機能回復や、種々のネガティブファクターがある状況下での効果等、臨床的な使用意義は色々とありそうだなぁと感じましたeye

次は「eCG処置の卵胞と黄体における性ステロイドホルモン合成に及ぼす影響」についてご紹介いたしますbleah