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2014年9月

2014年9月30日 (火)

季節外れの大地の恵み

最近、朝晩がぐっと寒くなりましたね。
ここ1週間で本当に秋がやってきたように感じます。

そんな季節にもかかわらず、十勝の道を走ってると、意外な景色に出会うことがあります。


Image


↑西日に、季節外れのヒマワリが映えます!


ヒマワリといったら、夏の観賞用作物だと思い込んでいた私。


実は、このひまわりは作物ではありません。
かといって、観賞用でもありません。


このひまわりは、この後、畑の肥料になるのです。


畑で作っていた作物の収穫を終えた後、もう一度ひまわりの種をまいて育てます。
夏は終わったとはいえ、まだまだ十分な日光を浴びて成長したひまわりは、たくさんの栄養を作り出します。


そのひまわりを刈り取ったりせず、丸ごと畑の中にすき込み、来年作る作物の肥料としてしまうのです。


この方法を「緑肥」と言います。

観賞用の花も心を癒されますが、
こうして植えられた花も、自然を大切にする農業へとつながっているのですね。

2014年9月29日 (月)

梅のパワー

県立医科大の宇都宮准教授と和歌山高専の奥野准教授らの研究グループは、

和歌山特産の梅に含まれる成分が難治性不妊患者の

妊娠率向上に効果があるとの研究成果を発表したそうですflair

梅は昔から動脈硬化や胃潰瘍、糖尿病、免疫力向上に効果があるといわれ、

梅干の副産物の梅酢を混ぜたエサを与えた鶏とその卵のおいしさ、

栄養価もアップすることが分かり、

人気ブランド「紀州うめどり・うめたまご」が誕生したのだそうですchick

鶏の卵にいいのならヒトの卵子にもいいのでは・・・ということで、

梅の抗酸化作用に着目し、体外受精や顕微授精の

高度不妊治療を受ける女性を対象に臨床試験を行いましたvirgo

梅酢の研究に参加したのは、33~43歳の

DHEA(ステロイドホルモンのサプリメント)を服用しても効果が出なかった9人で、

引き続きDHEAを飲んでもらい、合わせて塩分を抜いた濃縮梅酢を服用してもらいましたbar

その結果、何も服用しなかった場合の妊娠率は5.6%だったのに対し、

DHEAと濃縮梅酢の併用により、妊娠率は55.6%にまでアップしたそうですup

また、DHEAを服用せず、梅酢のみによる研究も行った結果、

29~41歳の女性10人のうち、6人が妊娠に成功、4人が無事出産したそうですshine

研究グループはこの卵の質を高める梅酢の成分が

「3、4-DHBA」であることを発見しておりますeye

通常、加齢に伴い増加する酸化ストレスが卵を覆う顆粒膜細胞にダメージを与え、

細胞死を起こすのですが、「3、4-DHBA」は酸化ストレスから顆粒膜細胞を保護し、

良質な卵の形成に寄与することも確認したそうですsign03

梅パワーすごいですねhappy01

牛にも梅を食べさせると効果があったりするのでしょうか・・・think

2014年9月26日 (金)

鳥類の受精と多精子受精

ニュースでみたのですが、静岡大学などの研究グループが顕微授精にて受精させたウズラを孵化させることに成功したそうですshine
これは鳥類では世界初のことであり今後希少な鳥類の繁殖に寄与することが期待されていますhappy01

あんなに卵子が大きい鳥類で顕微授精の成功が初だなんて意外だなと記事を読んで思ったのですが、よく読むと鳥類は受精の際に卵子に1に対して複数の精子が侵入する必要があるそうで、これが顕微授精を難しくしていた要因らしいです。
哺乳類の場合は基本的に卵子へ侵入する精子は1つであり、それは1つ目の精子が卵子に進入する際に透明帯が変化することで2つ目以降の精子が侵入できなくなる仕組みがあるためです。むしろ多数の精子が卵子へ侵入する(多精子受精)はその後の胚の発育に影響しますので体外受精などでは問題になってしまいますdanger

個人的には鳥類が多精子受精であることを初めて知り驚きましたsweat02
何億もの精子が競い合い、たった1つの精子のみが受精できるという殺伐とした哺乳類の世界に対してみんなで仲良く受精するという戦略があったことはこれまでの固定概念を打ち消してくれました(哺乳類でも受精できなかった精子も役割はあると聞きますが)。
よく考えてみると鳥類の繁殖生理についてはあまり勉強してきませんでした。きっと鳥類のことも勉強すれば哺乳類についても新たな知見が得られそうですねcoldsweats01


2014年9月25日 (木)

お茶と繁殖和牛

生産者人口が減少の一途を辿り、耕作放棄地の増加が深刻化していますbearing

一方で、その耕作放棄地を草地に替え、繁殖和牛を飼い、元から行っていたお茶の生産との複合経営で成果を挙げた事例が新聞で紹介されておりました。

茶、繁殖和牛 放牧で両立を可能に 大分県豊後高田市 永松英治さん(日本農業新聞 2014.9.23)

大分県のお茶の生産者の永松さんは、高齢化に伴い生じた荒廃茶園や耕作放棄地に、牧草を植え、繁殖雌牛を導入したそうです。

施設は子牛の給餌のための給餌場、電気柵、給水場、岩塩のみであり、お茶の農閑期に耕作放棄地を切り開き、牧草を植え、放牧地に替えていったそうです。

粗飼料自給率は80%、子牛1頭生産するための飼料代は親子合計で約8万9000円で、全国平均約19万円(12年度農水省統計)の半分以下だそうですeye

分娩は放牧地での自然分娩、分娩後は子つきで飼っているそうですが、3月後には発情も来るとのことでした。2頭からはじめ現在は40頭程度まで増頭できているそうです。

耕作放棄地の転用については太陽光発電機への転用等様々な使途があるかとは思いますが、農地から農地への転用が実現した好例ですねhappy01

2014年9月22日 (月)

第21回日本胚移植研究会

ちょっと遅くなりましたが、9月11日~12日に第21回日本胚移植研究会が開催されましたshine

会場は岡山大学で、今年は去年より参加者が多かったように思いますeye

20140922_172034
シンポジウムでは「乳牛経産牛の繁殖性から見た課題とその対応策について」

研究発表では「成熟培地に添加したメラトニンがウシ体外受精胚の発育に及ぼす影響」

あとは実際に研究を行った韓国の先生が研究会に参加できなかったので、

「牛体外受精胚の非凍結低温(チルド)保存に関する研究」を

代理で発表させていただきましたsign03

20140922_171217

全ての発表において皆様から高い関心を寄せていただきましたhappy01

今回の研究会はOPU(経膣採卵)に関する報告が多かった気がしますthink

色々な研究報告を聞いてお勉強した後は、懇親会にも参加しましたwink

懇親会では岡山名物バラ寿司や蒜山やきそば(B級グルメだそうですよ)、

鰆のお刺身などなど岡山らしい食材もいただけましたrestaurant

畜産業界の方々と色々な話ができて良かったですnote

また機会があったら参加して、お勉強をしたいと思います~confident

2014年9月19日 (金)

流産

昨日、牛を見回りしている方から乳房が急に張ってきたとの報告があり、今朝牛の状態を確認しにいったところ牛床に流産した胎子が落ちていましたshock
牛の履歴をみると分娩予定日にはまだまだ早い様子。

流産の場合、期待された産子も得られず、牛乳を搾るにも早すぎ、それまでの苦労がすべて水の泡に…。生産の現場においてこれほど経営にマイナスなこともないように思いますdown

頻繁に流産が起きるようであれば伝染病などの疑いもあり、これも大問題ですが単発で起こる流産の場合には明らかな原因がわからず嫌な気分だけが残ってしまいます。

流産直後の母体におかしいところもなく、流産胎子の形状も問題なし。何らかの要因で急に胎子が死亡したのか、母牛に過度のストレスがかかったのか…。謎は深まるばかりです。

ちなみに以下は流産直後の子宮のエコー画像です。

Dsc_0119


さすがに子宮内には貯留物があり子宮壁も肥厚しています。
通常の分娩に比べれば早いと思いますがこの画像をみるとまだまだ回復には時間がかかりそうですsweat02


2014年9月18日 (木)

エコ畜産に向けての取り組み

近年の素牛や、輸入飼料価格の高騰により、生産者の方の経営状況は少なからず打撃を受けているかと思いますbearing

飼料用米により、輸入飼料の大体を図る取り組みについては、当ブログでも紹介してきましたが、

最近、廃棄食品を牛飼料に用いる取り組みを行っている牧場があるそうです。

(日本経済新聞 電子版 2014/9/17)

島根県の松永牧場では、肉牛や乳牛に対して、飲料メーカーや外食チェーンが排出するコーヒーや茶葉のカス、うどんの食べ残しなどについて、仕入れルートの拡大を行っているそうです。

コストダウンももちろんですが、本来ただのゴミになるようなものを有効に活用でき、非常にエコであると思われますhappy02

増大量等にどれほど影響するのか等、課題はあるかと思いますが、中々畜産農家に明るい材料がないこのご時勢、何かしら打って出る必要性は言わずもがなであり、非常に面白い取り組みであると感じましたconfident

2014年9月17日 (水)

ET研究所では日々の業務として採卵、胚の凍結や胚移植をしています。
ウシでの体外受精、胚の凍結などは他の動物と比べると研究が進んでいるなと思います。taurus


Animal Reproduction Scienceという雑誌にウサギに関する研究が載っていたので紹介したいと思います。flair
タイトル:A novel technique for oviduct occlusion to generate live births from cryopreserved rabbit oocytes after in vivo fertilisation

Animal Reproduction Science 148(2014)197-204

卵母細胞の凍結は胚や精子の凍結とは非常に異なり難しいとされています。これまでにヒト、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ウマ、ネコ動物でのみ産子の誕生に成功しています。
今回の報告では凍結卵母細胞(卵子)を外科的に卵管へ移植後、人工授精をおこない産仔の誕生に成功しました。
これまでの筆者らの報告では3.3%の確率で移植した凍結卵母細胞から産仔が誕生していますが、今回の報告では13.2%にまで改善されました。shine
移植時の卵管のダメージを最小限に抑えることで改善されたようです。
shine

ウサギの体内胚と体外胚の写真が載っていましたが、大きさが10倍以上の違うんです。eye体外胚のほうが小さいようです。
ウシではそんな違いはありませんよ。taurus
不思議ですね。confident

2014年9月16日 (火)

東日本分場体験レポート

更新が遅くなり申し訳ありませんsweat01

さて、先日ですが所用で茨城県にあるET研究所の東日本分場へ行ってまいりました。
いつもは顔をだして終わりでしたが、今回は現場作業に少し同行させていただきました。

久々の出張、朝早くからの採卵もなくゆっくり寝れるshineと思ったら現実は甘くありませんdown
今回は千葉県の農場を回ったのですが、茨城からは2時間弱かかるとかで結局いつも通りの起床時間でしたshock
普段は茨城、栃木、そして千葉のあたりを回っているそうで、たまに静岡や愛知にまで行くとかsign02その移動距離にびっくりですcoldsweats02

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↑が分場の業務車両です。広い車内で荷物も沢山詰めて非常に便利そうです。

さて、この日は7~8軒の農場をまわったのですが、やはり北海道とはかなり異なる形態でした。
地域性もあるのでしょうがまず牛のサイズが少し小ぶりで作業がしやすい!
また一頭一頭に手をかけているのか大人しい牛が多いように感じました。

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一般的な繋ぎ牛舎ですが、1頭当たりのスペースが広く牛もゆったりしています。また通路幅がかなりある点も特徴でしょうか?

その他、こちらの農場に合わせた我々の作業スタイルもだいぶ異なり、持ち帰って試したいものもあり地域ごとに作業工程にも違いを感じます。

地域ごとの違い、そしてその土地に合わせた作業のスタイルがあることを同じET研究所の内部で感じることが出来ました。東日本でこれならば北日本(岩手県)や九州はどうなっているのでしょうか?
たまに顔を出すと地域に合わせた様々な進化を遂げているのかもしれませんねhappy01

2014年9月11日 (木)

妊娠診断はどこまで早められるか

生産効率を高めるためには、妊娠診断は早いに越したことはない一報、超音波診断器が普及した昨今においても、どれだけ早い時期に診断できるかは個々人の技量に拠るところが大きく、また、早ければ早いほど、誤診のリスクは高まりますdespair

早期の妊娠診断について、最近出た論文をご紹介します。

タイトル:肉用種経産牛における免疫細胞の遺伝子発現と超音波で評価した黄体機能に胚が引き起こす変化:妊娠診断はどこまで早められるか

(原題:Conceptus-induced Changes in the Gene Expression of Blood Immune Cells and the Ultrasoundaccessed Luteal Function in Beef Cattle: How Early Can We Detect Pregnancy?)

出典:Biolpogy of Reproduction in Press

著者:Pugliesi ら (サンパウロ大)

内容を簡潔にご紹介いたします。

免疫細胞である末梢血単核球(PBMC)中には胚が産生し、妊娠認識に関わるインターフェロンτにより発現が強まる遺伝子があります。著者らは発情から15-18日目において受胎牛と不受胎牛で発現量に際が見られた遺伝子(OAS1とMX2)の発現量、および超音波で経時的に観察した黄体の退行により、発情から20日目において妊娠診断が可能かを調査したところ、下表のような結果が得られました。

エンドポイント 超音波による黄体退行診断 遺伝子発現
(2遺伝子)
超音波
&遺伝子発現
面積のみ 血流のみ 両方
感度(%) 98 98 100 67 67
特異度(%) 88 86 86 88 95
受胎的中率(%) 84 80 81 76 88
不受胎的中率(%) 98 98 100 82 83
正確度(%) 92 90 91 80 84

感度:実際に受胎していたもののうち受胎と診断できたものの割合

特異度:実際に不受胎だったもののうち不受胎と診断できたものの割合

受胎的中率:受胎と診断したものが受胎していた割合

不受胎的中率:不受胎と診断したものが不受胎だった割合

正確度:診断したもののうち診断が的中していた割合

・・・遺伝子発現の定量で、8割程度の正確さでの診断が可能なようです。

まだまだ現場で使えるレベルではありませんが、今後も動向に注目していこうと思います。

黄体の退行については、面積の縮小および血流の減少を追いかけることでかなり正確に診断で切るようですね。