繁殖成績改善
「繁殖成績改善への近道」という記事が十勝NOSAI HPから観覧することができます。
経産牛の繁殖について紹介されています。
具体的にフローチャートやカレンダーをつかい分かりやすく書かれています。
涼しくなってくるこの時期に繁殖管理について改めて見直してみてはどうでしょう~
十勝NOSAI HP:http://www.tokachi-nosai.or.jp/gijutu/cn27/pg53.html
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「繁殖成績改善への近道」という記事が十勝NOSAI HPから観覧することができます。
経産牛の繁殖について紹介されています。
具体的にフローチャートやカレンダーをつかい分かりやすく書かれています。
涼しくなってくるこの時期に繁殖管理について改めて見直してみてはどうでしょう~
十勝NOSAI HP:http://www.tokachi-nosai.or.jp/gijutu/cn27/pg53.html
「繁殖技術」の今月号で、面白い記事があったので、ここで紹介させて頂きます。
原題「黒毛和種繁殖障害牛に対する子宮内薬液注入処置およびModified Fast Back Programの適用」記野聡史(日高地区農業共済組合)著
●目的:不妊の繁殖牛の受胎率向上のために診断的治療としてAI後に子宮内薬液注入処置やCIDRの挿入が実施されるが、その有効性については様々な報告があり、適用対象も定まっていない。
今回、2回以上のAIによっても受胎せず3回目以降のAIを実施した黒毛和種繁殖牛に対して、これらの処置を実施し、その有効性を検証した。
●材料及び方法以下の3群に分類した
・薬注群…AI翌日に子宮内にアンピシリン500mgを注入したもの(n=37)。
・Modified Fast Back Program(MFBP)群…AI後5日目に膣内にCIDRを挿入し、19日目まで留置(n=23)
・対照群…これらの処置を行わなかった群(n=49)。
以上の3群の受胎率を比較した。
また、それぞれの処置群を前回のAI日から処置前のAI日までの日数により正常周期(21±3日あるいは42±6日)群と、異常周期群に分けて比較した。
●結果
受胎率…薬注群67.6% 、MFBP群73.9%、対照群49%。
特にMFBP群は対照群よりも有意に高い受胎率(p< 0.05)であった。
正常周期の受胎率…薬注群71.4% 、MFBP群58.3%、対照群38.1%。
薬注群は対照群に比べて有意に高い受胎率(p< 0.05)であった。
異常周期の受胎率…薬注群55.6% 、MFBP群90.9%、対照群57.1%。
MFBP群は対照群に比べて有意に高い受胎率(p< 0.05)であった。
発情の異常周期は黄体形成不全や胚死滅等が挙げられます。
MFBP処置は黄体期早期に外因性のプロジェステロンを補充することで子宮内膜の増殖や子宮腺の発達を促進し、胚の発育や生存性を高め受胎率を向上させたと考えられます。
正常周期において、薬注処置により受胎率が向上した結果からは、正常で発情が回帰する個体では不受胎の原因が細菌性の子宮内膜炎である場合が多いと考えられます。
以上の結果から、正常周期で発情が回帰する場合には子宮内膜炎を疑い薬注処置を、発情周期の異常が認められる場合には黄体期のP4濃度を高める目的でMFBPを適用することが受胎率向上のために有効かもしれませんね
ヒトにおいて、細菌から精子細胞を守る蛋白質に着目した研究が発表されました
病原菌に対し保護作用を持つデフェンシンという蛋白質のなかでも、
ヒトβデフェンシン1という蛋白質は、体の各種組織でみられるが、
男性の生殖器官での役割は不明でした
不妊男性325人、生殖能のある男性190人の精子を対象に
精子細胞内のヒトβデフェンシン1の濃度を調べたところ、
精子無力症または生殖器官内の感染症による膿精子症の男性では、
不妊の問題のない男性よりもこの蛋白質の濃度が低かったそうです
また、精子細胞内のこの蛋白質の濃度を高めると、精子がより効率的に運動し、
病原菌と戦う力が大きくなり、より効率的に卵子に貫通することができたそうです
精子には、女性の生殖器官内に存在する病原菌に対する抗菌力が必要であり、
次は蛋白質レベルを高めることの安全性の解明が研究課題だそうです
ヒトβデフェンシン1という蛋白質は病原菌に対する抗菌力の他に
精子の運動性や受精にも関与している可能性がありそうですね
この研究論文は「Science Translational Medicine」で発表されております
9月ですね。
今年は冷夏という記事もありましたが、十勝はさらに最近めっきり涼しくなってきました。
ヒートストレスは繁殖に悪影響を及ぼすのは皆さんご存知かと思います。
季節的に過ごしやすい秋口は牛の繁殖にうってつけのようにも思えますが、ヒートストレスからの回復はそう簡単ではないことを明らかにした論文をご紹介します(ちょっと古いのですが)
タイトル:Improvement of quality of oocytes collected in the autumn by enhanced removal of impaired follicles from previously heat-stressed cows
(和訳:ヒートストレス感作により傷害を受けた卵胞の積極的な吸引による秋季回収卵母細胞の品質の改善)
出典:Reproduction (2001) 122, 737–744
著者:Rothら(ヘブライ大学)
緒言:
乳牛の繁殖能力は夏季に低下するが、ヒートストレスが消失した秋季であっても低い状態が続く。
本研究は夏季のヒートストレスが遅延して秋季の卵母細胞の品質に及ぼす影響を明らかにするとともに、夏季にヒートストレスを受けた卵胞を積極的に除去することで卵母細胞の品質を改善させることを目的に行った。
材料及び方法:
供試動物:夏季にヒートストレスを受けたホルスタイン種経産牛 16頭
実験方法:秋季に4つの連続した発情周期において、試験区、対照区下記の日程で3-7 mmの卵胞を超音波ガイド下でOPUにより吸引した。発情19日目でPGF2αを投与し、発情21日目でGnRHを投与し、繁殖周期を維持させた。各周期のDay4で回収した卵母細胞を体外受精に供した。
表: 対照区と試験区における4つの連続した発情周期において卵胞を吸引した日程
対照区 |
Day 4 |
試験区 |
Day 4, 7, 11, 15 |
結果:
・高品質胚(グレード1)の割合の増加が試験区(周期2)の方が対照区(周期3)より早かった。
・卵割率は対照区で38-58%であったが、試験区では40-75%であり、周期3,4で有意に高かった (P < 0.05)
・胚盤胞発生率は、試験区では低いままであったが、対照区では周期3、4で有意に増加した(P < 0.05)
・・・というわけでヒートストレスの影響は涼しい秋になってもしぶとく残り続けるようです一方傷ついた卵胞を膿を取り除くように頻繁に吸引することで、卵母細胞の発生能は高まるようですね!
受精卵回収においてもプログラムに入る前段階での卵胞吸引が有効な気がします
日本の食料基地とかちではさまざまな作物が収穫を迎えています!
この時期にはじゃがいも、とうもろこしなどをよく頂きます。
とうもろこしにはたくさん種類があるって知っていましたか?粒の色をみてみてください
きいろいの
しろいの
しろときいろまじりの
それぞれ名前が
ゴールデンコーン
シルバーコーン
バイカラーコーン
という種類らしいです。
先日みかけた白いとうもろこしには「ショコラホワイト」という可愛らしい名前がついていました。
食べるのが楽しくなりますね。
いくつかの品種は生で食べられるそうですよ!
品種改良が進めば芯まで食べられるようになるかも!?と期待しています
十勝管内をあちこち回っていると、今の時期、畑の収穫だったり、牧草刈りだったり、早いとこだとデントコーンの刈り取りだったり、農家さんはあくせくと働いてらっしゃいます。
牛も放牧され、のほほんと草を食んでおります。
目に見えるのは、草の緑と、牛の白と黒と、空の青の4色しか目に映りません。
この景色を見ると、「北海道に来てホントに良かったなぁ」と心から思います。
ET研に隣接するナイタイ高原も広々とした斜面に牛が放牧されており、誠に気分が良い次第です。
長い冬がやって来る前に、この景観を目に焼き付けといてやろうと思います。
先日ブログで紹介いたしましたが、
第9回 国際反芻家畜生殖科学シンポジウムに参加して参りました
著名な方々の研究発表を聞かせていただきました
学会中には夜に懇親会が開かれ、そこにも参加してまいりました
このように、優れた研究者には賞が送られておりました
席は決められていないので自由に座ることができ、
世界各国の研究者達が熱く議論している様子も見られました
情報交換の場として良い機会ですよね
ディナーの一部です↑
かなり豪華でした
学会は1週間開催されておりましたが、
海外から来られていた方々は、研究についての有益な情報が得られたとともに
北海道、十勝を十分に満喫して帰られたのではないでしょうか~