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2014年10月

2014年10月15日 (水)

うしのふんから・・・

今年もノーベル賞の受賞者が決まりましたね。shine
日本人からは青色発行ダイオード(LED)の発明と実用化ということで3人の方がノーベル物理学賞を受賞されました。flair

みなさんはイグ・ノーベル賞というのをご存知でしょうか?eye

イグ・ノーベル(Ig Nobel)賞は「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられ、本物のノーベル賞受賞者を含むハーバード大やマサチューセッツ工科大の教授らが書類選考し「他の誰もやりそうにない、ユーモアと独自性を兼ね備えた研究や開発」に授与します。

おもしろい研究ばかりですが、ウシ関係の研究をみつけたので紹介します。

*2007年 イグ・ノーベル化学賞
ウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出した研究
山本麻由

 山本さんは国立国際医療センター研究所の研究員だった04年に今回受賞した抽出方法を開発しました。
牛糞1グラムに水4ミリリットルを加え200度で60分間加熱すると、1グラムあたり約50マイクログラム(マイクロは100万分の1)のバニリンが抽出できました。
 バニリンは樹木などの木質成分「リグニン」から生成するため、馬や山羊などの草食動物の排泄物も利用可能になるようです。
抽出コストはバニラ豆を原材料にする方法に比べ「およそ半分」になるようです。
シャンプーやロウソクの芳香添加物などの応用が考えられるそうです。(引用:毎日新聞)。


工業的には化学合成でさらに安く作ることができるようですが、牛糞の有効活用!
おもしろいdelicious


2014年10月14日 (火)

牛白血病の感染様式

地方病性牛白血病の原因ウイルスである、牛白血病ウイルス(BLV)は、ウイルスがリンパ球に感染し、リンパ腫を発症する疾病です。

感染様式は水平感染、垂直感染と感染様式が多様であることから、蔓延防止対策が困難であり、全国的に広がっています。

垂直感染(病原体が母から子へと感染する、いわゆる母子感染のこと)について一般的には感染率は数%と低いと言われていて、垂直感染に関する研究報告は少ないです。

平成25年に、BLVの垂直感染について調査した報告があったので、紹介させてください。


この報告内では、牛白血病に感染したホルスタイン種経産牛18頭の産子について調査を行っています。


検査方法として、抗体検査およびBLVウイルス遺伝子検査を実施。

結果、18頭中9頭の50%の産子で抗体及び遺伝子検査においてBLVの垂直感染が疑われました。
また、陽性初乳を給与した産子においてもBLVプロウイルス遺伝子を検出することにより垂直感染と診断。

また、感染母牛のプロウイルス量が、10,000/105 cell以上の場合は、感染母牛のプロウイルス量が100/105 cells 以下の産子と比べ垂直感染する可能性が考えられました。


以上のことから、牛白血病の清浄化対策として一般的な水平感染対策と合わせて、牛白血病の垂直感染対策として、プロウイルス量が多い感染母牛からの後継牛生産の中止及び陰性母牛からの陰性後継牛の確保などの交配計画の検討や、導入前の抗体検査等による陰性導入牛の確保などの対策が重要であることが、示唆されました。

引用元:日本獣医師会雑誌 Vol.67 No.10 2014「地方病性牛白血病における垂直感染状況の実態について」

2014年10月13日 (月)

最初が肝心

特殊なRNA(リボ核酸/時間が経つと分解して残らないため安全性が高いといわれています)を

使い、受精卵が細胞分裂する際の様子を3次元動画で観察し、

染色体異常の有無を見分ける方法を大阪大学の山縣特任准教授らが開発したそうですflair

特殊なRNAを受精卵に注入すると細胞内の染色体が光り、

細胞分裂時の染色体の動きを確認することができるようになりますeye

この技術を元に、不妊治療で余った受精卵を観察したところ、

70個の受精卵のうち、約26%が最初の分裂で染色体をうまく分けられませんでしたshock

特に36歳以上の女性患者の卵子にその比率が高く、

年齢と共に卵子が老化するという事実を裏付ける結果にもなったようですsign01

マウスでも同様の実験を行ったところ、最初の分裂で染色体異常を起こした受精卵は、

母体に移植しても流産していまうという結果になったそうですdown

ちなみにマウス受精卵にRNAを注入して子宮に戻したところ無事に出産したので、

RNA注入の影響ではないそうですねpaper

現在のところ、ヒトの受精卵に特殊なRNAを注入して

子宮に戻したという報告例はないそうですが、

この検査法でより流産しにくい受精卵を選び出すことができるのではと期待されていますshine

受精卵はかなり初期の段階でその後の運命が決められてしまっているのですねcoldsweats02

ET研ではと場由来の卵子を使って研究を行っておりますが、

卵巣がたくさんあるときは採取できた総卵子数が1000個以上になるときもありますfull

果たしてこの中で何%くらいの卵子が正常に卵割しているんでしょうかねthink

BSEが発生してからと殺場内に1日卵巣を保存しているのでその影響もありそうですねcoldsweats01

牛では、最初の卵割のときに割球が均等にきれいに分かれているかどうかで

染色体異常かどうか判断する方法も報告されておりますよ~taurus

効率よく受胎能の高い胚を選抜出来る可能性があるので

体外受精で移植を行う場合にはチェックをすると良いですねhappy01

2014年10月10日 (金)

牛の硬さと栄養

今日、10月10日の日本農業新聞からの情報です。
牛の栄養状態を把握するのに果物用の硬度計を用いる方法が宮崎県の畜産試験場で開発されたそうですflair

方法も簡単で、牛の腰部に硬度計を押し当てるだけだそうで、硬い場合は皮下脂肪が少なくやせ気味、柔らかければ脂肪が多く過肥気味になるそうですgood

この硬さは繁殖性とも関連するそうで、我々も採卵のドナー牛に応用できるかもと思ってしまいます。

ちなみに果物用では先端が尖っており、牛が痛がるそうなので牛専用の硬度計が今後発売になるそうですshine

ちなみに果物用のお値段が2万円~のようなので少し高級品になりそうですね。

Denshi_0302


↑ちなみに果物用はこんなのです。

2014年10月 9日 (木)

eCGの使い道:その①

 eCGといえば、馬の子宮内膜胚(胎盤の一部)から生産され、馬でLH作用、他の動物ではFSH作用を強く示すホルモンとして、多くの方がご存知かと思います。

 過去には過剰排卵処理によく用いられていましたが、半減期が長いため、発情後も卵胞が発育し続け、受精および胚の発育・輸送を妨げてしまうため、現在はあまり使用されていません。

 学生時代に得たこういった知見から、個人的にはeCGにあまりよいイメージは無かったのですが、発情同期化関連の文献を見ていると、案外目にする機会が多いと感じていますeye

 これから木曜日に数回に渡り、先日出された総説を基に、eCGの使い道についてご紹介していきたいと思いますwink

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

序論:

eCGの歴史

 eCGは妊馬血清性腺刺激ホルモン(PMSG)とも呼ばれ。1936年に発見された。1938年に、eCG使用の国際基準が確立され、1941年には、eCGにより卵胞発育を促し、hCGにより排卵を誘起する「2段階プロトコール」がヒトで用いられた。このプロトコールは長期にわたり使用されてきたが、eCG投与により抗体が産生されることが問題視され、1972年にヒトでは用いられなくなった。対照的に、1934年に750IU投与が発情と排卵を引き起こすことが報告されて以来、牛では使用され続けている。

eCGの分子特性 

 eCGはLHやFSHと同じ糖タンパクホルモンのファミリーである。LHやFSHが全ての哺乳類の下垂体から分泌される一報、eCGは妊娠中の馬の子宮内膜胚(胎盤の一部)で生産される。eCGは二つのタンパク質の構成要素からなり、その一方のタンパク質の構造はLHと同一であるが、そのタンパク質に結合している糖鎖の違いにより、eCGのほうが肝臓での代謝や腎臓での濾過を受けにくいため、LHよりも半減期が長い。牛に1500IU投与すると、血中での生理活性は5日程度持続する。

  また、eCGは卵巣上のLHとFSH双方の受容体に対する親和性が高いため、双方の反応を引き起こす。よって牛では、繁殖をコントロールする動物用医薬品として用いられる。

 一般的には、単一の排卵を促進するためには200~1000IU、過剰排卵を引き起こすためには2500IUが必要であると考えらている。

  ・・・今回はeCGの基礎的な内容について書かせていただきました。次回はeCG投与の卵巣上の卵胞への反応についてご紹介します。

2014年10月 8日 (水)

Nanopurified!

新たな精子の精製方法により受胎率が良くなったという論文を紹介いたします。confident

原題:Increased Conception Rates in Beef Cattle Inseminated with Nanopurified Bull Semen.(ナノ粒子精製精液により肉牛の受胎率が向上した) Biol Reprod. 2014 Sep 17

ユビキチンとよばれる欠損した精子の細胞表面に付着するたんぱくと
Peanut agglutinin(PNA)と呼ばれる欠損したアクロソーム(精子頭部にある受精にかかわる部位)に独占的に付着するたんぱくの
それぞれに対する抗体をコートしたナノ粒子を精液と混ぜます。
磁石を用いて抗体に結合した精子を集めることで不良な精子を~30%取り除き、
ストローあたり1000万精子(10M)または2000万精子(20M)を封入し凍結します。
実験区は未処置の精液(10M CON)と(20M CON)、PNA(10M PNA)、ユビキチン(10M UBI)の4区です。

肉用牛にAIした受胎率の結果は下のようになりました。
(10M CON)53.7%
(20M CON)63.3%
(10M PNA)64.5%
(10M UBI)51.3%

未処置1000万精子とPNA2000万精子をもちいた受胎率に有意差はみられませんでした。
また、PNA区では精子を精製する際の回収率が68.5%でした。

このことからPNAナノ粒子精製をすれば未処置精子の半分で同じ受胎率が得られます。
さらに、作製できるストロー数も未処置精液より多くなることがわかりました。

あたらしい発想でおもしろいなと感じました!taurus
現場で実用化されるようになるのでしょうか?bud

2014年10月 6日 (月)

牛泥棒

今日は何かおもしろい話題はないかと探していたところ、

びっくり仰天なニュースを見つけましたflair

ロシアの牛泥棒の映像らしいですtaurus

えぇsign02牛って盗まれることあるのsign02って感じですが、そんな国もありえるのですね・・・

牛を盗む
YouTube: 牛を盗む

いや~すごい手口でしたねcoldsweats01

1台の車がやってきて、牛を後部座席に無理やり押し込んで、

1分足らずで作業終了で走り去っていますcar

動画を見たユーザー達から信じられないというコメントが寄せられる中、

「ロシアならありえる」とコメントしている方もいたそうで・・・

えぇっsign02ロシアってそんな国なんですか?笑

この動画は本当の映像なのかどうかは明らかにはされていないらしいのですが、

車で牛を盗もうとする・・・

しかも後部座席に押し込む・・・

牛さんはどこに連れていかれてしまったのでしょうか~shock

びっくり仰天でしたぁ~coldsweats02

2014年10月 3日 (金)

十勝再発見

今回は1つの雑誌を紹介したいと思います。
それがnorthen style スロウ十勝という雑誌ですbook

Surou

北の暮らしを見つめなおし、楽しむための本というコンセプトの雑誌であるスロウの十勝板です。
内容は一般的な旅行雑誌などとは異なり、北海道の普段はスポットを浴びないようなところまで紹介しているため、より深く、より広く北海道のことを知ることができる情報雑誌です。
また北海道内の様々な風景も多く紹介されており、北海道に居ながらしてその魅力を認識させられますshine

なんと今回のスロウ十勝は十勝の酪農にスポットをあてていますtaurus
様々なスタイルの生産者の方がインタビューに答えており、各経営者の考えやポリシーなどが伺える内容でした。中には作業でお邪魔したことのある生産者の方もいたりで、色々なことを考えて農場を経営しているんだなと普段とは違う視点で考えることができます。
なかなか見る機会は少ないですがスロウは年4回、スロウ十勝は年1回、発行だそうでよくファーマーズレストランなんかに置いてあります。これからの時期、本州から視察などで北海道に来られるかたも多いと思います。よければこの雑誌を手にとって北海道をより一層楽しんでみてくださいhappy01

2014年10月 2日 (木)

高齢牛でのOPU-IVF

 牛の繁殖に取り組んでいらっしゃる方ならご存知かと思いますが、卵巣を超音波診断器で観察しながら、長い針を膣を介して卵巣に刺し、卵巣から卵子を吸入するOPU(Ovum pick up)という技術と、卵巣から吸引した卵子を受精可能な段階まで成熟培養し、その後体外で精子と共に培養し、受精させるIVF (In vitro fertilization)を組み合わせたOPU-IVFが、牛でも行われていますhappy01

 そんなOPU-IVFによって、高齢牛から採取した卵子から子牛の生産に成功した事例が新聞に取り上げられていました(高齢牛でも良質牛出産 読売オンライン 2014.10.1)

 和歌山県畜産試験場と近畿大学の協同研究により、親牛の遺伝能力を現す指標である「育種価」の高い高齢雌牛の後継牛を残すことを目的として、OPUの前段階のホルモン剤の処置を研究したそうです。

 その方法を用いて、13歳の雌牛から取り出し、培養した受精卵を2頭の若い牛にETしたところ、2頭とも出産ができたそうですsign03

 生産者の方々に取って、優秀な牛の子を残すことは切実な願いでしょう。そのニーズに答えるべく、我々も負けてはいられないなぁと感じましたup

2014年10月 1日 (水)

ドキュメンタリー映画

今日は映画の紹介です。movie
秋の夜長にどうぞ~sign01

「わすれない ふくしま」 監督・編集:四ノ宮浩

notesストーリーnotes
2011年3月11日東日本大地震、そして太平洋沿岸部500キロに渡る大津波により多くの人々が犠牲になった。また、その翌日の3月12日からの福島第一原発の爆発により大量の放射能が放出された。この映画は2011年5月福島第一原発北西に40キロの福島県飯舘村から始まり、そこから避難したある家族と、いまだ警戒区域で300頭の牛を飼い続けている畜産家の日常を追った記録です。その背景には、原発事故後、牛を殺処分させられた酪農家が自殺した事件、フィリピン人妻を持つ家庭の現実など様々な問題が存在した。 監督は「忘れられた子供たち スカベンジャー」で第44回マンハイム国際映画祭ベストドキュメンタリー賞を受賞した四ノ宮浩。震災直後の2011年4月下旬から福島に入り撮影を始め、2012年12月末までカメラを回し続けた。作品完成後も監督は福島を忘れないために現地に居続けている。

たくさん感じることが多い作品だと思います。今を知るってとても大事なことだと思いました。

映画HP : http://wasurenai-fukushima.com/#theater