ついに王手!?
ヒトES細胞はヒト胚から作り出すため、生命倫理上の問題がありました
そこにヒト胚を使わないiPS細胞が登場しましたが、ここで懸念されたのが、
「ヒトiPSから精子や卵子が作成され、試験管の中で体細胞から胚が作成されること」でした
ケンブリッジ大学スラニ研究室からの論文は、ついにヒト多機能性幹細胞から
卵子や精子の基となる始原生殖細胞を作り出す方法を開発できたことを報告しています
「Sox17 is a critical specifier of human primodiall germ cell fate.」
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674%2814%2901583-9
この研究では、始原生殖細胞で活発になる「Nanos」と呼ばれる遺伝子を目印にして
始原生殖細胞の出現を見ているのですが、
まずES細胞から始原生殖細胞を作り出すことを試みたがうまく作成できませんでした
しかし、ある培養方法を使って培養した多機能性細胞を使うと4~5日目をピークに
Nanosが活発化する細胞を作り出すことに成功しました
この試験で作り出されたものが始原生殖細胞なのか?ということで、
胎児の生殖臓器にある生殖細胞や、精巣がんなどと比べたところ、
十分始原生殖細胞であると結論できそうなところまで至っているそうですよ~
難しいですが、この論文では以下の様々なことが明らかになっております
・始原生殖細胞になるプロセスで「CD38」と呼ばれる分子が細胞の表面に出てくる。
・受精卵は分裂して、「外胚葉」、「内胚葉」、「中胚葉」と分かれて、
このうち内胚葉は腸や各種の臓器、生殖細胞になる。
内胚葉を作り出す機能のある「Sox17」が多機能性細胞の段階から
始原生殖細胞を作り出すきっかけになっている。
・この分子が「BLIMP1」と呼ばれる生殖細胞を作り出す仕組みと関係している。
さぁ、とうとう王手ですかね
精子や卵子という生殖細胞をいかに作り出すのか・・・
わが国の「特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会」では、
議論の結果どのような方向性になるのでしょうか・・・
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