不思議な卵巣所見
みなさんのご意見をお聞かせください。
症例の概要:症例は未経産ホルスタイン種。プロジェステロン製剤とPGにて発情誘起後、6月10日に人工授精を実施。その際、直腸検査にて、左卵巣にゴルフボール大の腫瘤を触診。
6月16日、同牛への追い移殖のために直腸検査にて黄体確認をしようとすると、左卵巣に1週間前に触診したのと同様の腫瘤を触診。エコーで観察すると、下の写真のようなエコー像を得ました。
卵巣内に卵胞らしき無数の濾胞状のものと、20mmの主席卵胞らしきものが1個、その他10mmの卵胞が数個。中には卵巣実質が充実している部分もあります。
黄体は存在しません。
中に液体が入っているような、卵胞嚢腫のような触診です。
多胞性卵胞嚢腫か?顆粒膜細胞種か?・・・・
顆粒膜細胞種であれば、一般的な超音波検査の所見で、断層像が境界明瞭で充実感を示し、触診ももっと硬いはずなのですが、今回の症例では、大きい主席卵胞があり、さらには触診がやわらかい卵巣なのです。
我々は卵胞嚢腫を疑っていますが、過去にもこの牛は幾度のCIDR留置とPG投与を試みていますが、この変な卵巣所見は変わらずなのです。
相変わらずの頑固者なのです。
はて、この卵巣所見、皆様はどのような診断を下し、さらにはどのような治療法を試みますか?
ご意見をお聞かせください。
未経産ですか。発情はまったくないのでしょうか?既往歴などわかりませんが、反対側卵巣は委縮していますか?未経産なので、卵巣炎などは考えにくいですね。顆粒膜細胞腫を疑うのであれば、AMH(抗ミュラー管ホルモン)を測定してはいかがでしょうか。pubmedで、AMH,Granulosa-theca cell tumor,cattleで検索されたら文献はでてきます。GCTのバイオマーカーとして報告されています。
投稿: 福岡 オオカワ | 2015年6月17日 (水) 11:49
オオカワ さま
コメント、ありがとうございます。
論文、読ませて頂きました。GCTのバイオマーカーには、インヒビンや性ステロイドホルモンよりもAMHのほうが特異性が高いのですね!!勉強になります。今回の症例は、片側卵巣は萎縮しており、発情は周期通りに来ています。ので、GCTも卵胞嚢腫も除外診できないかなあ。。。と。AMHの測定も一つの方法で、いっそ摘出したほうが良いのかも知れませんね。
投稿: tomi | 2015年6月17日 (水) 18:30