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2014年5月

2014年5月16日 (金)

牛の模様 ~赤毛について~

最近ふと思ったことですが、ホルスタイン種で赤毛の牛が増えているような気がしますtaurus
農家さんによっては好んで赤毛のホルスタインを飼養しているかたもおり、珍しさもあってかかわいがられているようですheart04

Red


赤毛になる因子をもった種雄牛もいますので、こちらを用いることで赤毛ホルスタインの生産を計画されているかたも多いと思います。

ではどのように赤毛が遺伝するのでしょうか?
北海道ホルスタイン協会のHPに非常に詳しくのっていましたので参照させていただきながら紹介したいとおもいますshine
http://www.holstein.or.jp/hhac/kairyo/red.html

まず、ホルスタインの毛の色を決める遺伝子があります。黒毛がB、赤毛はrです。遺伝子は2対のペアなので、BB、Br、rrの3パターンの組み合わせになります。
遺伝子には優性と劣性があり、ホルスタインの毛色の場合は黒毛のほうが優性になりますので、BBとBrの組み合わせの牛は黒にrrの組み合わせのみが赤の牛になります。
なので赤毛の子を生ませるには赤毛の遺伝子をもつBrかrrを掛け合わせる必要があります。
母に赤毛の父を掛け合わせるとrrの遺伝子しかありませんので生まれてくる子は100%赤毛になるはずflair

と思ったら必ずしもそうはならないそうですshock
学生の頃学んだ法則によれば赤毛しか生まれないはずですが…coldsweats02

事をややこしくしている原因が実はありまして、毛の色を決める遺伝子のBとrとは全く異なる場所に毛の色を赤くする遺伝子があるそうですdanger
この遺伝子をバリアントレッドというそうですが、この遺伝子をもつ牛は必ず赤毛になるそうです。そのため先ほどの毛の色を決める遺伝子がBBやBrで本来は黒毛になるところバリアントレッド遺伝子を持つために赤毛になっている牛がいるそうです。

従いまして赤毛なのでrrと思ってもバリアントレッドのため遺伝子がBBであれば、rrの雄と交配してもその産子の遺伝子はBrになり、かつバリアントレッドが子に遺伝しなければ赤毛牛同士を掛け合わせても黒毛のホルスタインが生まれるそうですheart03

ほかにも生まれたときは赤かったのに黒くなったという牛もいます。この牛はブラックレッド(テルスターレッド)という遺伝子を持つそうですsweat02
これははじめのBやrと同じところにある遺伝子で、実はBとrとTの3種類から2対の組み合わせで毛の色が決まります。これらの優劣はB>T>rの順なので、BB、BT、Brが黒毛、Tr(TTも?)がブラックレッド、rrが赤毛になります。さらにこれとは別にバリアントレッドがあれば赤毛、というかたちで毛の色が決まっているそうです。

長年疑問だったのですがようやくその遺伝方法がはっきりしましたflair

ですので、もし赤毛の牛を増やしたい場合は赤毛の牛同士を交配するのが基本ですが、それでも黒毛が生まれる場合はどちらかがバリアントレッドなので注意danger
赤から黒になった場合は遺伝子がTrなので100%ではありませんがrrの赤毛やBrの赤毛遺伝子保因牛(毛色は黒)を掛け合わせれば効率的に赤毛を増やすことができるようです。

赤毛ホルスタインの静かなブームが来ている気がするので、赤毛を増やすと何かいいことがあるかもしれませんねsmile


2014年5月15日 (木)

世界最古の精子

世界最古の精子の精子が見つかったそうです!!

AFPBBニュース(2014.5.15 発信地:シドニー/オ-ストラリア)

Img_b2e6dc279745715533d8bc2acdb5dc1見つかったのは1700万年前の精子の化石で、古代種の甲殻類(カイムシ類)のものだそうです!

この化石は1988年に見つかったものですが、中には軟組織が含まれていることが分かり、さらなる研究によって化石の中に生殖器を含む内臓が残されていることが判明し、、生殖器内には大きな精子細胞がほぼ完全な形で保たれており、中からはかつてこの生物の染色体とDNAを含んでいた精核も発見されたそうです!

もちろん形態的に保存されているレベルで生殖可能という話ではないのですが、「1700万年の時を超えた精子」なんて何ともドラマチックですねconfident

2014年5月14日 (水)

和牛素牛市場

本日まで、十勝家畜市場で、和牛素牛市場が開催されました。

我々、全農ET研究所でも、将来のドナー候補牛を市場購買しており、

今回は8頭買うことができました。

さて、子牛の価格が高いですね。

最近以下のようなニュースもでております。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140511-00000012-mai-bus_all

特に肥育農家さんにとっては現状厳しいものがあります。

http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=56181

鹿児島の子牛生産が減少しているのも大きな要因のひとつかと思います。

状況が長期化することも推察されます。

我々も何とか和牛生産に貢献できるよう、さらなる受精卵の製造に取り組んでまいります。

 

 

 

 

2014年5月12日 (月)

隠岐の牛突き

島根の隠岐では「牛突き大会」が開幕したそうですmotorsports

春から秋にかけて4場所が開かれ、

体重680~900キロ、3~5歳の12頭が東西に分かれて土俵入りをし、

勝敗をつけない引き分け戦5番と、

どちらかが闘志を失うまで戦う勝敗戦1番が行われたそうですtaurus

勝負戦は20分を超える大一番となり、大盛り上がりだったそうですよsign03

牛突きの動画を見つけましたが牛の横にいる人すごいですねdownwardleft

隠岐牛突き春場所迫力のスロー1番
YouTube: 隠岐牛突き春場所迫力のスロー1番

確実にコワイですよねshock

闘牛を調べてみると色々な地域で行われているそうで、

岩手県久慈市、新潟県小千谷市・長岡市、愛媛宇和島市、

鹿児島県(徳之島)徳之島町・天城町・伊仙町、沖縄県うるま市

そして島根県(隠岐)隠岐の島町ですshine

南の方で盛んな行事かと思いきや、岩手や新潟でも行われているのですねcoldsweats02

機会があればいつか見に行ってみたいと思いますconfident

2014年5月 9日 (金)

アイスクリームの日

本日5月9日はアイスクリームの日snow
その理由は連休の終わる5月9日からアイスのシーズンが始まるからだそうで、これから次第に暑さが拡大していきますね。
気づけば、暑さに牛がやられないように十分な対策が必要になっていきますangry

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↑はいつぞやも紹介しました(http://etken-blog.lekumo.biz/et/2012/07/post-d06e.html)THIメーターです。
最近は様々な農場で見かけるようになりました。
このような機器を駆使しながら暑熱対策をとっていきたいですね。
一方、アイスクリームの日で思ったのですが牛に氷を食べさせたり、氷のうを使ったりも効果がありそうですが、どうなのでしょうか?
氷であればどこの家庭でも入手できますし、動物園のシロクマもよく氷を与えられている絵をみます。例えば採卵のように、なんとしても成功させたい牛がいれば試す価値があるようにも…。
話によると夜間の気温が十分に下がれば日中気温が高くとも牛はなんとか持ちこたえるそうです。
つまり熱帯夜に氷のうを使えばストレスを緩和できるのではないかflair
やりすぎると牛が風邪を引きそうですが、暑くてどうしようもないときはちょっと試してみたくなりますねcatface

2014年5月 8日 (木)

トキの現状

ネットで繁殖関係のニュースがないか漁っていたら、こんなものを発見しました。

3世代目・野生トキ、初の誕生 佐渡の繁殖活動、軌道に

(msn産経ニュース2014年5月6日)

 トキといえばニッポニア・ニッポンの学名を持ち、日本を象徴する鳥とも言われていますが、現在は環境省のレッドリストにおいては野生絶滅種として登録されています。国内初の人工繁殖に成功したところまではなんとなく記憶にあったのですが、ニュースによると野生で生まれた子からさらにその子が生まれるところまで来たそうです。

 また、日本産のトキ事態は絶滅し、現在は中国からの導入個体による繁殖が進んでいるのですが、凍結されている日本産のトキの組織を用いてiPS細胞を作り、日本産の遺伝子を受け継ぐ個体を復活させる取り組みを、既に国立環境研究所がスタートさせているそうです。

 野生で巣立ったトキは一昨年8羽、昨年4羽確認されているそうで、まだまだ数は少ないものの、このまま繁殖が軌道に乗れば、将来的には本格的な野生復帰も実現するのかもしれません。

 トキは19世紀までは普通にありふれた鳥で、20世紀前半から急激に個体数が減少しました。日本から牛がいなくなる日も、やってこないとは限りません。

 先日土佐あか牛のブログ記事がありましたが、生物種としての「牛」の保存に貢献できるよう、我々も努力しなければと思いますconfident

2014年5月 2日 (金)

牛の模様その2

先日とある農家さんのところで生まれた子牛です↓

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まあ普通の子牛なのですが、聞いてびっくり。
この子、黒毛和種とホルスタインの交雑(F1)らしいのですcoldsweats02
前の授精でとまったやつかなと思ったようですが、そんな履歴はないので間違いなくF1のようです。
お腹の下や足先が白いF1もよく見かけますが、その模様は完全にホルスタインのものでした。

赤毛牛が黒くなったなんて話もよく聞きますし、牛の模様は不思議なことが多いので驚きますね。

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上から見た写真ですが、頭が黒いわりに体が白いような少し違和感も感じますtaurus

2014年5月 1日 (木)

キスペプチンってどうなんよ?

 動物の繁殖に関わっている方ならGnRHを投与したことはおありかと思います。

 GnRHは排卵促進剤として主に用いられ、LHの一過性の過剰分泌を起こしたり、またFSH・LH双方の拍動性の分泌を引き起こす非常に大事なホルモンですが、このGnRHの分泌をさらに上位で支配しているのがキスペプチン(メタスチン)です。

 このキスペプチンが実際牛の繁殖で使えたりしないのかなぁと常々思っていたのですが、最近牛と同じ反芻動物で、一年を通して繁殖が可能であるシバヤギに、キスペプチンの治験薬を投与し、卵胞発育、黄体機能、生殖ホルモンの分泌に与える影響について検証した論文が出ました。

題:Ovarian and Hormonal Responses to Follicular Phase Administration
of Investigational Metastin/Kisspeptin Analog, TAK-683, in Goats

(和訳:メタスチン/キスペプチン作動性治験薬の卵胞期投与のヤギにおける卵巣と内分泌反応)

ジャーナル:Reprod Dom Anim 49, 338–342 (2014); doi: 10.1111/rda.12283

著者:Y.Goto et al.(東京農工大)

材料および方法:下図参照

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結果:

・投与6h後のLH・FSH濃度が試験区で増加した一方、E2濃度は投与12時間後以降対照区が高くなった。

・排卵時期は対照区平均に対し試験区2頭で遅延し、1頭で早まった(もう一頭はデータなし)。

・排卵数に差は見られなかったが(対照区:4.7個、試験区:3.3個)、試験区の方が対照区より排卵した卵胞の最大直径が小さくなった(対照区:5.4mm、試験区:3.8mm)

・排卵②以降のP4濃度が試験区で低下した。

 個人的にはGnRHより上位の中枢を叩くことにより、より鋭敏に排卵性の刺激が誘引できるのかなぁと考えていたのですが、そういった結果は得られていないようで、むしろ投与後のE2濃度低下、排卵以後のP4濃度低下といったネガティブエフェクトが目立つという印象を受けました。投与量等まだ検討課題はあるかもしれませんが、生殖内分泌は一筋縄ではいかないということを改めて痛感した論文でしたthink