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2014年8月

2014年8月 9日 (土)

そもそもETとは?

先日、少し現場を離れまして、全国に散らばる全農職員と研修を受ける機会がありましたpencil
我々も全農という組織の一員になるのですが、その業務は米などの主食から畑作、果樹をはじめ、それに関わる農業資材、燃料、などなど多岐に渡っています。
その中でET研究所にいるという話を皆にしましたが、あまりピンときていない様子。この用語を聞いた場合に、中指あたりを私に向けてきますsweat02
ただ畜産関係だとしても、ETが何の略かは知らない人も多かったですcoldsweats02

いまさらですがETはEmbryo(胚) Transfar(移植)の略ですflair
ですのでET研究所は胚移植研究所のことであり、胚移植の研究をしていますsign03(ほんとに今さらですが…)

ただ、獣医師でも何それ、と言われることもあり、当然のようにこのワードを使っていましたが実はそれほど一般的でないということに気付かされました…weep

まだまだ我々の普及活動が不十分なのでしょう。ET研ブログなどを駆使して、ET=胚移植が当たり前になるようにしたいですね。

ですがそれまではET、ET言っても伝わらないことも多いのでしばらくは【胚移植】と日本語を使っていこうと思った出来事でした。

2014年8月 7日 (木)

第45回 道東3地区家畜人工授精技術研修大会

 本日、中標津町にて道東3地区家畜人工授精師大会が開かれました!!

若手の技術者を中心に、現場での繁殖性を高めるための取り組みについてどのようなことを実践しているかという話を聞かせていただける学会です!

 まず、特別講演として、酪農学園大の樋口豪紀教授に、

「乳房炎と生殖器感染の関連性」~制圧に向けて、今、できることは何か?~

というお話を聞かせていただきました!

マイコプラズマは乳房炎や子牛の中耳炎のイメージが強いと思いますが、近年生殖器感染も引き起こすことが明らかとなっており、マイコプラズマ陽性個体は流産のリスクが高く、また子宮内膜炎の割合が高いという報告もあるそうですeyeまた、動物の体内でしか生存できないというのが今までの常識でしたが、近年環境中でも生存できることが明らかとなっており、AI師や獣医師などの技術者が伝播させるリスクもあるとのことでしたthink普段の衛生対策の重要性を改めて感じました・・・。

 その後の研究発表では、若手の技術者を中心に、計11題の発表が行われました。

そのうち何と4題が性選別精液に関する研究についてのもので、注目度の高さをひしひしと感じましたeye

ET研からも、「黒毛和種におけるIARS遺伝子多型が採卵成績や胚の成長に及ぼす影響」、「分娩後のホルスタイン種受胚牛における栄養状態と定時胚移植成績の関連性」の2題について発表させていただきました!!

 今大会でいただいた貴重な御助言を活かし、10月の全道大会に望む所存です!

 

2014年8月 6日 (水)

みぎ?ひだり?

明日は七夕ですね。北海道では8月7日が七夕です!heart01
北海道はすごく星がきれいに見えますが明日のお天気はどうなんでしょう?

七夕の夜に雨が降ると、織姫と彦星が会えたうれし涙だそうです。
雨が二日続くと、別れを惜しむ涙だそうです。
この話を聞くと七夕の夜が雨でも趣があっていいなと思いました。

さてさて、本題です。

肉牛の右と左の子宮角で子牛の二次性比が異なるという報告があります。
(受精時の性比を一次性比、生まれた時のものを二次性比と言います。)
これがホルスタインに当てはまるかという論文がありました。かなり簡単ですが紹介します。

Parallel distribution of sexes within left and right uterine horns in Holstein dairy cows: evidence that the effect of side of pregnancy on sex ratio could be breed-specific in cattle.
Anim Reprod Sci. 2013 Nov 30;142(3-4):101-5

調査の結果
〔左子宮角〕オス:52.9% メス:47.1%
〔右子宮角〕オス:53.2% メス:46.8%
統計処理しても有意差はないようです。sad

妊娠子宮角で子牛の性別が分かったらいいな~!と思いましたがそう簡単にはいかないようです。coldsweats01

今は受精後60~80日でエコーを使えば性別の判断ができます。up

2014年8月 5日 (火)

卵巣機能回復を促進させるには?

新ETで農家さんを回っていると、分娩から60日以上経っているのに卵巣機能が回復していない牛に出くわすことがあります。

卵巣機能が回復するのを待っている時間がもったいないangry

そういった牛を、事前に、どうにかして卵巣を動きやすくする方法ってあるのかなあと調べていたら、こんな報告がありました。

「乳牛の分娩後早期におけるエストラジオール処置による卵巣機能回復促進効果」
日獣会誌 64, 865-869(2011)

緒言:Kawashimaらは分娩後3週間以内に最初の主席卵胞が排卵した牛では初回授精受胎率が高く、空胎日数が短くなることを示していて、その後の繁殖成績の向上に繋がると述べている。このことは、成熟卵胞からのエストロジェン分泌が増加し、視床下部にフィードバックしてGnRHパルスを誘起して、最終的にLHサージが起こり排卵すると考えられている。
本研究では、乳牛において、分娩後最初に出現する主席卵胞が成熟する時期である分娩後14~18日に安息香酸エストラジオール(EB)6mgを投与し、分娩後早期の卵巣機能回復及びその後の繁殖性の改善について検証した。


方法:正常分娩したホルスタイン種成熟雌牛314頭を無作為に2群に分け、試験区164頭にEB 6mgを投与。対照区150頭は無処置とした。分娩後60日以内の初回授精率、受胎率、100日以内の受胎率及び100日以上無発情を示す牛の割合を調査した。


結果:EB投与2日後に排卵し、7日後に黄体化したものは86.0%であり、対照区の38.9%より有意に高率であった。
さらに分娩後60日以内の授精率は試験区で68.9%と対照区の47.3%より高かった。
初回授精受胎率は試験区51.9%、対照区43.8%だった。
また、100日以内の受胎率は試験区の50.3%、対照区45.9%で受胎率に有意な差は無かった。しかし、100日以上無発情の牛は、試験区で11.9%で対照区の24.3%より有意に低減された。

考察:今回の方法では、EB投与で発情が誘起した際に授精するのではなく、排卵によって黄体形成を促し、卵巣機能回復を刺激して次回の発情のタイミングを容易に予知し、授精業務を補助することが可能であると考えられる。
EB投与により排卵と黄体形成を促進させるメカニズムとして、EB投与により血中エストラジオール濃度が増加し、視床下部へのフィードバックによりGnRHの放出を誘起し、LHサージを起こさせた可能性が推察される。
さらにEB投与により子宮平滑筋のオキシトシン受容体を増加させ、搾乳時のオキシトシン分泌刺激により子宮回復を促進したと考えられる。
したがって、今回の方法は牛群の繁殖管理や獣医師の検診・診療への労力軽減できると考えられた。


教科書では分娩後無発情の牛に対して、CIDRとGnRHを併用したりhCGを使用したりと、色々あの手この手で治療していきます。
そうなる前に、分娩後の初回授精を行う前に、分娩後14~18日目にエストラジオールを投与するのも一つの手かもしれませんねmemo

2014年8月 4日 (月)

宇宙で保存

夏休みシーズンに入りまして、なかなか暑い日が続いておりますsun

夏はなんだか子供の自由研究やら天体観測やらで

宇宙についての話題を多く耳にするような気がするのですが・・・

こんなニュースを見つけましたeye

国際宇宙ステーションで9ヶ月間冷凍保存したマウスの精子を使って

子供を誕生させることに成功したと山梨大学などの研究グループが発表しましたflair

地上より強い宇宙放射線を受ける国際宇宙ステーションで12匹のマウスの精子を

9ヶ月間冷凍保存したのち、地上で卵子と受精させ影響がないか調査したそうです。

その結果、30日までに生まれた合わせて57匹について、いずれも宇宙放射線による

遺伝子の大きな損傷はなく、地上で冷凍保存した精子を使った場合と比べても

出産率などに差がなかったそうです。

研究グループによると、宇宙で保存した精子から

哺乳類の子供を誕生させることに成功したのは世界で初めてだということで、

将来、宇宙空間で牛などの哺乳類を繁殖させることにつながる結果だとしていますtaurus

研究グループは、引き続き、国際宇宙ステーションで保存している精子を使って、

さらに長期間、宇宙放射線にさらされた場合の影響を調べるそうですwink

 

2014年8月 1日 (金)

短角牛の発情観察

先日も記事にしましたが、現在10数頭の日本短角種を育成していますtaurus
この子らは発情があればその1週間後にETをおこなう予定になっています。

がしかし、この子ら待てど暮らせど明確な発情を見せませんcrying
そこで生殖器の状態を直腸検査で確認してみると、半数はまだ発育が十分でないとわかったのですが、残りは明確な黄体が形成されており発情がきているようでした。
しかしどう見てもスタンディング発情のあったとは思えない状態…coldsweats02

日本短角は自然交配が一般的になっています。ということは圧倒的な割合の日本短角種が雄牛と同居し、繁殖の適期になれば勝手に交配してくれるわけです。
このことから推測するに、日本短角種は雌同士でスタンディングをする必要性(人による発情発見)がないためにその性質が失われているのではないでしょうか?

勝手な推測ではありますが、人工授精が主体の黒毛和種やホルスタイン種にくらべ圧倒的にわかりにくい発情の説明にはなるのではないかと考えています。

仕方ないのでこのこらは発情同期化プログラムと定時のETをおこなっています。
実施した際の受胎性はかなり高いと感じていますので繁殖性が悪いわけではなさそうです。

品種による違い、飼育方法による違いなどが様々なところに影響しているのでしょうか?
常識を覆してくれるこの子らからなにか新たな発見があるかもしれませんねflair

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