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2014年2月

2014年2月15日 (土)

飼料米の途中経過は?

オリンピックで日本人の活躍が続く今日この頃、寝不足の方も多いのではないでしょうか?
そんななか、テレビをみてますと非常に体の大きな某有名人が北海道のお米をPRしているCMを目にしました。eye
北海道のお米は長年にわたる品種改良の末、最高評価をもらえるまでになったことは有名かと思いますshine
以前から話題になっていたものに飼料米があると思います。過剰な食用米の生産の一部を家畜の飼料用米へ転換しようという試みですrecycle
今月4日の日本農業新聞の記事ですが、肥育和牛に対して配合飼料の一部を飼料米に転換してもその後の肉質や発育に影響しなかったそうです。さらに30%を飼料米に転換した場合ではかかる費用も軽減できるとのことです。いつのまにか飼料用米の問題点である生産への影響と費用を解決することが可能となるまでに進んだようですflair
昔、飼料米の話を聞いたときは課題も多く、実用化までは時間がかかる(むしろ無理では?)と思っていましたが北海道の米同様、日々の改良と研究の進歩には驚かされましたcoldsweats02

様々な取り組みは農林水産省のHPにもあり、飼料米を給与する方法やその成果がまとめてあり、嗜好性、乳牛への給与なの取り組みがされているようです。
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_siryo/siryo_mai/pdf/all.pdf
まだ政策的な問題もあり、すぐ実用化とはいかないでしょうがいずれ日本の新しい畜産の姿になっていくのでしょうconfident

2014年2月13日 (木)

P4投与は小さな胚を救えるか?

最近読んだ論文を一部省略して紹介します。

題:Effect of bovine blastocyst size at embryo transfer on Day 7 on conceptus length on
Day 14: Can supplementary progesterone rescue small embryos?

(和訳:移植時7日目での胚の大きさの14日目での伸長胚への影響:プロジェステロン(以下P4)投与は小さな胚を救えるか?)

著者:O'Hara,ら

ジャーナル:Theriogenology article in press

緒言:妊娠1—2週間後のP4濃度の増加は胚の伸長を刺激し、受胎性を高めるという報告もある。また、AIやETの後のP4除放剤による外的なP4投与やhCGによる外的な黄体機能の増強により、母体のP4濃度が増加するとともに、胚の伸長が促進されるという報告がある。よって本研究ではレシピエントに対する外的なP4投与や黄体機能増強により、移植時に細胞数が少なくサイズが小さいため発育能が低いと考えられる胚の発性能を向上させるのではないかという仮説に基づき実験を行った。

材料と方法:

Photo_2・材料:交雑肉用種未経産牛33頭

・発情同期化し、発情が来た牛(27頭)にDay7でET(10卵/1頭)、発情Day14でと殺し胚回収

・PRID投与(Day3-5)、hCG投与(Day2)および移植した胚の大きさ(大 or 小)で実験群を設定

(無処置・大、無処置・小、PRID・小、PRID・大)

・胚の細胞数はストロー封入の前に判定。細胞数代表値は大:144.8、小:72.4

・母体血中P4濃度をDay0-14の間毎日測定

結果

・P4濃度:hCG投与区で無処置に対しDay8、PRID投与区で無処置に対しDay4-5で有意に高くなった。

・胚の長さは下表のとおり。

Photo_3†:無印に比べ大きい傾向あり(P>0.10)

*:無印に比べ有意に大きい(P>0.05)

考察:本研究ではhCGおよびPRIDにより小さな胚の伸長が促進された。PRIDによってかなり伸長が促進されたのは、hCGより急激にP4濃度が上昇したためだと考えられる。外的なプロジェステロンの添加は胚の伸長を促進させるものの、LHパルスを弱め黄体機能を低下させてしまう。一方hCGのような黄体刺激剤を共に投与する黄体機能が維持されるという報告がある。

・・・AIやETに際しP4除法剤・黄体刺激剤を投与するさまざまな方法がありますが、用量・タイミングはさまざまです。ただ単にプロジェステロンをあげてやればいいという単純な話ではなく、胚の発育・黄体機能の維持のバランスが大切であると本論文を読んで感じました。

2014年2月12日 (水)

受精卵(命)を扱うこと

採卵をしているとまれに黄体数どおり回収卵が採れないことがあります。

原因は

・技術的な問題

・生殖器の問題(卵管閉塞など)

の二つが考えられると思います。

私もこれまで1000頭以上の採卵を行っておりますが、

念入りに子宮内を洗っても採れなかった際には非常に悩みます。

牛自体を治療不可能な負傷などでレンダリング(廃用)に出すときは非常に心が痛みます。

個人的には採卵結果で回収できていなかった場合(受精卵を生かせなかった場合)、

それと同等ぐらいに落ち込みます。

 

最近、人医領域の胚培養士を育てるコースが岡山大学で設置されたようです。

http://www.asahi.com/articles/ASG25633ZG25PPZB00Z.html

 

技術的な教育も大事ですし、加えて受精卵自体がやがて個体になるという

「命を扱うことの大切さ」

も是非学生さんに教えてほしいなぁと個人的に思います(全国の獣医学部でも)。

 

2014年2月11日 (火)

管理耳標と子牛中耳炎の関連

酪農大学の小岩先生が雑誌に書かれた面白い記事があったので、ここで紹介させていただきます。

題名「子牛中耳炎の発病要因としての管理耳標の関与と対策」


目的:子牛の中耳炎の発病要因の一つとして、管理耳標と耳毛の関与が確認されており、その対策について検討する。

①管理耳標と耳毛
中耳炎の多発牛群(ホルスタイン種雄肥育)で調査を行った。

結果、耳毛が多く、管理耳標が装着されていた左耳の罹患割合は70%と高く、また管理耳標が装着されている左外耳内の湿度と細菌コロニー数が右耳内に比べて増加していた。

このことから、耳毛と管理耳標の装着によって外耳道の通気性が阻害されて中耳炎のリスクが増加した。

②対策法
*耳剃毛
*管理耳標の10桁耳標へのテープ固定処置

これら二つの対策を行ったことで、中耳炎の発病率が有意に低下した。


③管理耳標の装着位置とサイズ
管理耳標による外耳道の通気性の妨げを少なくするためには、できるだけ小さなサイズの耳標を選んで1:耳介の中央よりやや下か、2:耳介の上部の根元にできるだけ近い位置に装着することである。

Image


↑適切な管理耳標位置。

以上、明日から私たちにもできそうな処置ですよねhappy02

これらのちょっとした作業で、難治性と言われている中耳炎が予防できるのであれば、万々歳ですよね!

2014年2月10日 (月)

冬のイベント

ET研のある上士幌町では2/8~2/9の間、

ウィンターバルーンミーティングという熱気球の大会が開催されていたようですflair

ET研へ向かう途中に熱気球達を見つけたので、ついパチリcameraimpact

Photo
これから膨らまそうとしているところでしたfull

土曜日は天気が良かったので青い空と白い雪、後ろには連なる山脈・・・雄大ですねfuji

そこにカラフルな熱気球が映えてとてもキレイでしたshine

この熱気球の大会は、地上に設置したターゲットめがけて砂袋を熱気球から落とし、

ターゲットからの距離を競う競技らしいですよpouch

北海道は冬真っ盛りで冬のイベントも次々開催されておりますnotes

札幌雪まつりは2/5から開始で、明日2/11が最終日ですsnow

北海道のイベントを紹介しているサイトで

アクセス数が高いイベントが層雲峡温泉の「氷瀑まつり」のようですsign01

http://www.sounkyo.net/image_data/NEWS/57_4.pdf

寒くて家にこもりがちな冬ですが、行ける機会があればこういったイベントで

うまく息抜きをして仕事に打ち込みたいと思いますヽ(´∀`*)ノ

2014年2月 7日 (金)

オリンピック

ついにソチオリンピックが開催しますね。既に始まった競技もあるようですが、あと数時間で開会式だそうですhappy01
冬のオリンピックは十勝出身の選手も多く出場するため、町へいくと選手を応援するのぼりを目にすることもあります。
また近所ではスケートをする未来のオリンピック選手たちを目にすることもあり、盛り上がりをみせています。
是非選手の方々にはメダルを目指してがんばっていただきたいですねshine

話は変わりますがロシアと北海道は位置的にも近いせいか、農業作物は似たところがあるようです。
主要な作物は小麦、テンサイ、じゃがいも、牛乳…、まんま十勝ですねtaurus
きっと気候も十勝に近いのでしょう。十勝出身の選手たちには有利かもしれませんgood

牛乳や牛肉の生産も盛んなようで、ロシアに牛がたくさんいるのは意外でした。
しかし、ビーフストロガノフはロシア料理の代表格ですので私が知らないだけでかなりの牛肉生産国のようですshine
ちなみにロシア語で牛は【Корова】だそうです。
読みは…わかりませんcoldsweats01

2014年2月 6日 (木)

寒さと栄養状態

 最近の寒さ関係の話題が多いですが、昨日に引き続き寒さ関係の話題です(キリッ)!

 我々全農ET研究所の事業は「受精卵」で成り立っており、受精卵が採れなければ何も始まりません。

 我々に受精卵を提供してくれる黒毛和種の雌牛たち。彼女らの生産限界温度は-10~30℃らしいのですが、にも関わらず今日の上士幌の気温は何と-8~13℃!!このような極寒状態の中で彼女たちの栄養状態はどのような状況なのかを把握するために血液検査を行ったところ、以下のような結果が得られました。

Table1
 タンパク質の代謝を表すBUNが低く、血糖値(Glu)が高くなっています。

 恐らく餌にタンパク質が十分含まれておらず、かつこの寒さによって、ストレスを受けると分泌されるホルモン(コルチゾール)の働きにより血糖値が上昇したものと推察しています。

 検査する前は、体温を増加させるために血糖を消費しまくってるだろうから血糖値が下がって、かつタンパク質もエネルギー源として使われているだろうからBUNは高くなっているんじゃないかと想像していたのですが、真逆の結果となりましたcoldsweats02

 摂取した栄養分と生産のために消費した栄養分のバランスを診断する方法として代謝プロファイルテストと呼ばれる方法があります。今回はかなり簡易的なものですが、その奥深さを感じるいい機会となりましたconfident

2014年2月 5日 (水)

寒冷ストレスと戦うには?

寒い日が続きます。

今日は-20℃を下回ったようです。

さて、牛も過度の低温下では強いストレスを受け、受胎率や採卵性が悪化します。

どういった対策を練ればよいのでしょうか?

下記のサイトを見たところ、

http://www.omafra.gov.on.ca/english/livestock/beef/facts/07-001.htm

 

・気温の低下に合わせた餌の増量

 

・風の侵入を防ぐ

 

・牛床を改善する

 

・牛体をきれいに、乾燥状態を保つ

 

・ヘイや配合の増量

 

・十分な水の給与(過度の冷水は避ける)

 

当然のことばかりですが、本当にできているのかどうか

見直す必要がありそうです。

 

 

2014年2月 4日 (火)

乳牛の生産寿命・受胎率向上セミナー

先月1月27~30日の4日間かけて、群馬、岩手、佐賀、鳥取の4ヶ所で開催されました
「乳牛の生産寿命・受胎率向上セミナー2014」。

今回の講師は全農ET研究所所長とCRI社のボブ ストラットさんでした。
酪農家さん、開業獣医師、飼料会社の方々等、多岐にわたる分野の方に参加していただき、誠にありがとうございましたtaurus

ET研からは、
・乳牛経産牛の受胎率向上のために効率的な同期化AI・ET、追い移植、チルド保存精子・胚の活用等の紹介

・夏季のヒートストレスから生じる負のスパイラルからの脱却方法として、交配時期の転換の提案(10-12月の受胎から1-6月の受胎にシフト、新ETシステムによる春生みキャンペーン)

・生産寿命の延長のために、健康形質を重視し、高い育種価をもつ乳牛精液の利用等の提案
といった内容の講演が行われました。

CRI社のボブ ストラットさんからは、
北米における乳牛改良の現状と将来について講演が行われました。

米国のゲノミック選抜による遺伝的進歩として、種雄牛の増加、種雄牛の若齢化、世代間隔の短縮、選抜バリエーションの増加等があげられます。

すでに米国では、ゲノミック精子の普及率が50%にまで達していることには驚きました。

また、大変うれしいことに、岩手会場に来ていただいた方が、このセミナーについてブログ記事を書いて下さっていました。

以下のURLはそのブログ記事です↓
http://kopimomo.blogspot.jp/


ET研究所の取り組みに興味を持っていただき、誠にありがとうございました。

今後とも、ET研究所をよろしくお願いいたしますhappy01

2014年2月 3日 (月)

Gの影響

先日、オランダの非営利団体が、2023年に火星へ移住を希望する人の募集を

正式に開始したとのニュースを聞きましたear

しかも1度火星へ行くと二度と地球の土は踏むことが出来ない

片道切符なのだそうですticket

地球を捨てて火星に行く勇気なんてありませんが・・・

ところで人類は宇宙で繁栄できるのでしょうか?

理化学研究所で微小重力環境を作れる装置を用いて、

微小重力がマウス胚の発生に与える影響について調査をしております。

その結果、微小重力下で体外受精を行うと胚盤胞への発育が遅延し、

栄養外胚葉(胎盤になる部分)への分化が抑制されることが明らかとなりました。

Cont

Photo_3

栄養外胚葉を青く、内部細胞塊(胎子になる部分)を赤く染色している。

(上)通常培養胚

(下)微小重力下で体外受精した胚

胚の極性や形は正常ですが、栄養外胚葉への分化は抑制されることが分かりました。

 

この微小重力下で体外受精後の受精率は対照区と変わらないそうですが、

多精子受精が増加し、単為発生が減少するなど、

精子の運動性を向上させることも示唆されました。

体外受精後の受精卵を培養してみると、2細胞期への発育に差は見られなかったが、

胚盤胞への発育は低下したそうです。

これらの胚を移植すると産仔率も対照区と比較して低下したそうですdown

微小重力下はどうやら胚の発育には悪影響のようですが、

何か胚の発育に良い影響を与えるものが見つからないものか・・・

ちなみに火星の重力は地球の40%程しかないそうですので、

我々人類が火星で繁栄するのも難しいかもしれませんねcoldsweats01