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生産 Feed

2015年2月 5日 (木)

世界のOPU事情

 先日のIETSにおいて、体外受精(IVF)により生産された受精卵が、屠場で採取した卵巣由来なのか、それとも生体から経膣採卵(OPU)により採取されたものなのかについて、2013年の世界の各大陸における成績についてまとめたデータを目にしました。

 IVFにより生産された受精卵は、全世界で55万個近くに上り、その94.7%がOPU由来である一方、アジア(ほとんどが日本、韓国)では、OPU由来の割合は13.9%であるとのことでしたeye他の大陸は全て90%を超えていました。

 OPU技術は、と場材料とは異なり、一頭から繰り返し採卵が行え、さらには6ヶ月程度の子牛からの採卵も行うことができるため、遺伝的な改良速度という観点から見ても強力なツールになりうると考えられます。

 受精卵生産効率、および凍結技術等、まだまだ課題はある技術ですが、今後世界がよりボーダレスになっていく中において、日本の畜産を世界に負けないものにしていくためには、より注目していく必要がある技術ではないかと感じましたthink

2014年12月 4日 (木)

優良ホルスタイン受精卵のご紹介

本日、優良ホルスタイン受精卵のリストを更新いたしましたので、

ぜひご一読をsign01

ET研究所のホームページはこちらから。

本日ご紹介させていただく受精卵は、

リコリスを祖母にもつ

”ダンケー リンデイー プロント ET”

アトウッド、そしてサンチエスを授精した2種類の受精卵、

エリザベスファミリー

”ダンケー ラデユツク エルメス ET”にアトウッド、

”ダンケー サンチエス フオーエバー”にアドベントRED、

プレツジを祖母にもつ

”ダンケー サンチエス ポリー ET”にアトウッド、

合計5種類の受精卵を紹介させていただいています。

使用した凍結精液は全て通常精液です。

祖母や娘、本牛などの写真は、リーフレット(PDF)に載っておりますので、

ET研ホームページか上記のリーフレットより閲覧をお願いいたします。

2014年11月13日 (木)

FTAIにおけるPGによる排卵誘起

 牛の繁殖に携わっている方なら、プロスタグランジンF2α(PG)はご存知かと思います。

 PGといば黄体退行を引き起こし、発情を引き起こすことを主目的に用いられていますが、近年、PGの投与により排卵が引き起こされることを示す報告がなされており、ET研ニュースでも紹介されております(2012年11月号)。この報告は春季発動前の未経産牛へのPG投与により、初回排卵が早まったというものであり、さらなる臨床応用はできないか興味深いところですが、今年PGによる排卵誘起を定時人工授精 (FTAI) に組み込めないか検討した報告が出ましたのでご紹介したしまeye

原著:The use of PGF2α as ovulatory stimulus for timed artificial insemination in cattle.

(和訳:牛の定時人工授精におけるPGF2αの排卵誘起剤としての使用)

出典:Theriogenology. 2014 Mar 15;81(5):689-95

著者:Pfeiferら

 この文献では、Day0安息香酸エストラジオール 1mg (EB)+ CIDR 9 Day + Day 9 PG 0.5 mg のプログラムにおいて、Day 10に排卵誘起剤としてEB 1mg を投与するか、PG 0.5 mgを投与するかによる比較を行っています。

 未経産牛の場合も経産牛の場合も、排卵率、受胎率ともに有意差はなく、エストロジェン製剤と同程度の成績を、PGでも見込めることが示唆されます(下表参照)。

1

有意差なし 

 PGの排卵誘起作用がFTAIでも有効であることが示されております。PGにより、下垂体に対するGnRHの作用が強まり、LHの放出が増強されるとともに、排卵前の卵胞にも直接作用している可能性があるとも考えられているようです。

 FTAIのコスト削減や、他剤との併用による効率向上など、さらなる応用が期待されますねbleah

2014年10月30日 (木)

eCGの使い道:その④(最終回)

 さて、本日は4週にわたりお送りしてきた「eCG(ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン)」の使途についての紹介の最終回ですweep

 本日は、より臨床での応用が期待できる、「eCGの定時人工授精プロトコルへの適応」についての適応についてご紹介していきますeye

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

・GnRH、PGF2α、E2等のホルモン剤を使用して、定時人工授精(FTAI)が行われているが、栄養状態が制限された状況や、分娩後早期、低BCS、暑熱ストレス、無発情牛においては、FTAIの成績は安定しないことが多い。

・一方、eCGのLHおよびFSH双方の作用により、上記のネガティブファクターがある中で、FTAI成績が向上した報告がある。

・Souza et al. (2009)・・・低BCS牛で大幅に受胎率向上

1・Gracia-Ispierto et al. (2013)・・・無発情牛を対象に試験

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*: 有意差あり

・一方、BCSが低い牛の割合が少ない牛群では、eCGを用いたプロトコルにより成績が向上しなかったという報告もある (Ferreira et al. 2013)

・eCG投与でにより双胎が増え、プロジェステロン除法剤の留置により増える傾向があるが、5日間留置の場合は9日留置の場合よりも双胎を減らすことができる。

→結論として、eCG投与を組み込んだプロトコルは無発情や低栄養状態において良好な成績を発揮しうる。

・・・以上、暫くの間お付き合いいただきましたが、お役に立てそうな情報はありましたでしょうか?

なかなか牛の状態が良くならず、繁殖でもお困りな状況にある方は、活用されるのも一つの手かと思いますsmile

2014年10月23日 (木)

eCGの使い道:その③

「eCG(ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン)」の使途についての紹介の③回目ですsun

本日は「eCG処置の卵胞と黄体における性ステロイドホルモン合成に及ぼす影響」について紹介いたしますeye

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

・eCGは顆粒層細胞と卵胞膜細胞におけるエストロジェン (E2) およびプロジェステロン(P4) 分泌を促進する。

 ・卵胞期では、E2産生促進による正のフィードバックにより、排卵前のLHサージに作用する。

 ・分娩後14日目の乳牛においても、eCG 750 IU投与により、無投与よりE2産生が促進される。

 ・発情から7日目の黄体期に投与すると、黄体の成長が促進され、血中P4濃度の上昇が、無投与の場合より2日程度早まる。一方、黄体の大きさ自体には影響しないことから、機能性の黄体細胞の比率および機能の増加が生じるのだと考えられる。

・排卵前のeCG投与もP4濃度を増加させる。これは、eCGが顆粒層細胞・卵胞膜細胞の双方に働き、卵胞を増大させ、黄体も増大させることによると考えられる。

 →結論として、eCG投与は黄体に直接働きP4産生を促進するのみならず、排卵前の卵胞に働き、卵胞機能およびサイズを増大させることで、黄体発育を促進し、P4産生を促進する。

 ・・・排卵前および、黄体形成後もP4分泌を向上させる、とういことは即ちAIでもETでも応用できる可能性があるなぁと感じましたhappy01

 次回はいよいよ最終回!!「eCGの定時人工授精プロトコルへの適応」についてですup

2014年10月17日 (金)

マウイファミリーのご紹介

昨日、優良ホルスタイン受精卵のリストを更新いたしましたので、

ぜひご一読をsign01

ET研ホームページは → こちらより

本日ご紹介させていただく受精卵は、

あのミス マーク マウイを曾祖母に持つ

「セジス ビユーテイ エルトン ダンデイー マウイ」に、

「アトウッド(7HO10506)」

を掛け合わせた受精卵です。通常の精液で作成しています。

本牛は、未経産ミドルクラス、経産牛シニアクラスでオールニッポンに選ばれております。

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 他にも娘の写真などもリーフレットに載っておりますので、

ちょっとでも興味のあるかたはぜひご覧になってください。

(リーフレットは、こちらより。PDFです。)

 

 

 

 

 

2014年10月 9日 (木)

eCGの使い道:その①

 eCGといえば、馬の子宮内膜胚(胎盤の一部)から生産され、馬でLH作用、他の動物ではFSH作用を強く示すホルモンとして、多くの方がご存知かと思います。

 過去には過剰排卵処理によく用いられていましたが、半減期が長いため、発情後も卵胞が発育し続け、受精および胚の発育・輸送を妨げてしまうため、現在はあまり使用されていません。

 学生時代に得たこういった知見から、個人的にはeCGにあまりよいイメージは無かったのですが、発情同期化関連の文献を見ていると、案外目にする機会が多いと感じていますeye

 これから木曜日に数回に渡り、先日出された総説を基に、eCGの使い道についてご紹介していきたいと思いますwink

原著:Use of Equine Chorionic Gonadotropin to Control Reproduction of the Dairy Cow: A Review

著者:F De Rensis and F López-Gatius

出典 Reproduction in Domestic Animals Vol 49, 2,  177-182

序論:

eCGの歴史

 eCGは妊馬血清性腺刺激ホルモン(PMSG)とも呼ばれ。1936年に発見された。1938年に、eCG使用の国際基準が確立され、1941年には、eCGにより卵胞発育を促し、hCGにより排卵を誘起する「2段階プロトコール」がヒトで用いられた。このプロトコールは長期にわたり使用されてきたが、eCG投与により抗体が産生されることが問題視され、1972年にヒトでは用いられなくなった。対照的に、1934年に750IU投与が発情と排卵を引き起こすことが報告されて以来、牛では使用され続けている。

eCGの分子特性 

 eCGはLHやFSHと同じ糖タンパクホルモンのファミリーである。LHやFSHが全ての哺乳類の下垂体から分泌される一報、eCGは妊娠中の馬の子宮内膜胚(胎盤の一部)で生産される。eCGは二つのタンパク質の構成要素からなり、その一方のタンパク質の構造はLHと同一であるが、そのタンパク質に結合している糖鎖の違いにより、eCGのほうが肝臓での代謝や腎臓での濾過を受けにくいため、LHよりも半減期が長い。牛に1500IU投与すると、血中での生理活性は5日程度持続する。

  また、eCGは卵巣上のLHとFSH双方の受容体に対する親和性が高いため、双方の反応を引き起こす。よって牛では、繁殖をコントロールする動物用医薬品として用いられる。

 一般的には、単一の排卵を促進するためには200~1000IU、過剰排卵を引き起こすためには2500IUが必要であると考えらている。

  ・・・今回はeCGの基礎的な内容について書かせていただきました。次回はeCG投与の卵巣上の卵胞への反応についてご紹介します。

2014年9月18日 (木)

エコ畜産に向けての取り組み

近年の素牛や、輸入飼料価格の高騰により、生産者の方の経営状況は少なからず打撃を受けているかと思いますbearing

飼料用米により、輸入飼料の大体を図る取り組みについては、当ブログでも紹介してきましたが、

最近、廃棄食品を牛飼料に用いる取り組みを行っている牧場があるそうです。

(日本経済新聞 電子版 2014/9/17)

島根県の松永牧場では、肉牛や乳牛に対して、飲料メーカーや外食チェーンが排出するコーヒーや茶葉のカス、うどんの食べ残しなどについて、仕入れルートの拡大を行っているそうです。

コストダウンももちろんですが、本来ただのゴミになるようなものを有効に活用でき、非常にエコであると思われますhappy02

増大量等にどれほど影響するのか等、課題はあるかと思いますが、中々畜産農家に明るい材料がないこのご時勢、何かしら打って出る必要性は言わずもがなであり、非常に面白い取り組みであると感じましたconfident

2014年8月 5日 (火)

卵巣機能回復を促進させるには?

新ETで農家さんを回っていると、分娩から60日以上経っているのに卵巣機能が回復していない牛に出くわすことがあります。

卵巣機能が回復するのを待っている時間がもったいないangry

そういった牛を、事前に、どうにかして卵巣を動きやすくする方法ってあるのかなあと調べていたら、こんな報告がありました。

「乳牛の分娩後早期におけるエストラジオール処置による卵巣機能回復促進効果」
日獣会誌 64, 865-869(2011)

緒言:Kawashimaらは分娩後3週間以内に最初の主席卵胞が排卵した牛では初回授精受胎率が高く、空胎日数が短くなることを示していて、その後の繁殖成績の向上に繋がると述べている。このことは、成熟卵胞からのエストロジェン分泌が増加し、視床下部にフィードバックしてGnRHパルスを誘起して、最終的にLHサージが起こり排卵すると考えられている。
本研究では、乳牛において、分娩後最初に出現する主席卵胞が成熟する時期である分娩後14~18日に安息香酸エストラジオール(EB)6mgを投与し、分娩後早期の卵巣機能回復及びその後の繁殖性の改善について検証した。


方法:正常分娩したホルスタイン種成熟雌牛314頭を無作為に2群に分け、試験区164頭にEB 6mgを投与。対照区150頭は無処置とした。分娩後60日以内の初回授精率、受胎率、100日以内の受胎率及び100日以上無発情を示す牛の割合を調査した。


結果:EB投与2日後に排卵し、7日後に黄体化したものは86.0%であり、対照区の38.9%より有意に高率であった。
さらに分娩後60日以内の授精率は試験区で68.9%と対照区の47.3%より高かった。
初回授精受胎率は試験区51.9%、対照区43.8%だった。
また、100日以内の受胎率は試験区の50.3%、対照区45.9%で受胎率に有意な差は無かった。しかし、100日以上無発情の牛は、試験区で11.9%で対照区の24.3%より有意に低減された。

考察:今回の方法では、EB投与で発情が誘起した際に授精するのではなく、排卵によって黄体形成を促し、卵巣機能回復を刺激して次回の発情のタイミングを容易に予知し、授精業務を補助することが可能であると考えられる。
EB投与により排卵と黄体形成を促進させるメカニズムとして、EB投与により血中エストラジオール濃度が増加し、視床下部へのフィードバックによりGnRHの放出を誘起し、LHサージを起こさせた可能性が推察される。
さらにEB投与により子宮平滑筋のオキシトシン受容体を増加させ、搾乳時のオキシトシン分泌刺激により子宮回復を促進したと考えられる。
したがって、今回の方法は牛群の繁殖管理や獣医師の検診・診療への労力軽減できると考えられた。


教科書では分娩後無発情の牛に対して、CIDRとGnRHを併用したりhCGを使用したりと、色々あの手この手で治療していきます。
そうなる前に、分娩後の初回授精を行う前に、分娩後14~18日目にエストラジオールを投与するのも一つの手かもしれませんねmemo

2014年8月 1日 (金)

短角牛の発情観察

先日も記事にしましたが、現在10数頭の日本短角種を育成していますtaurus
この子らは発情があればその1週間後にETをおこなう予定になっています。

がしかし、この子ら待てど暮らせど明確な発情を見せませんcrying
そこで生殖器の状態を直腸検査で確認してみると、半数はまだ発育が十分でないとわかったのですが、残りは明確な黄体が形成されており発情がきているようでした。
しかしどう見てもスタンディング発情のあったとは思えない状態…coldsweats02

日本短角は自然交配が一般的になっています。ということは圧倒的な割合の日本短角種が雄牛と同居し、繁殖の適期になれば勝手に交配してくれるわけです。
このことから推測するに、日本短角種は雌同士でスタンディングをする必要性(人による発情発見)がないためにその性質が失われているのではないでしょうか?

勝手な推測ではありますが、人工授精が主体の黒毛和種やホルスタイン種にくらべ圧倒的にわかりにくい発情の説明にはなるのではないかと考えています。

仕方ないのでこのこらは発情同期化プログラムと定時のETをおこなっています。
実施した際の受胎性はかなり高いと感じていますので繁殖性が悪いわけではなさそうです。

品種による違い、飼育方法による違いなどが様々なところに影響しているのでしょうか?
常識を覆してくれるこの子らからなにか新たな発見があるかもしれませんねflair

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