• Img_20230430_111704183
  • Img_20240713_120440540_hdr
  • Img_20240703_175932616
  • Img_20240627_161151842_hdr
  • Photo_4
  • Photo_3
  • Img_20240619_231026913
  • Img_20240531_134826829
  • Img_20240526_171614910
  • Img_20240523_000129956

研究 Feed

2019年8月27日 (火)

ダイエットのお薬

少し前の農業新聞に掲載されてました

大阪市立大のご発表

「実験方法」

○マウスに肥満患者(ヒト)の腸内細菌を植えつけます

○今回開発された肥満ワクチンを投与

○高カロリー食を与えます

「結果」

ワクチンを投与したマウスは

投与しなかったマウスと比較して

体重増加が12%抑制されました

ホー

体重が腸内細菌によって大きく影響することを再確認できたご発表でした

牛は体重増加の方に菌叢を整えたいところです

牛でも研究が進んでいるようですが、

菌叢って運動でもかなり変わってしまうらしいので

個体差をなくすのが大変かもしれません、、

たとえば、運動すると乳酸が蓄積して筋肉痛になりますが、

運動後は乳酸の分解を助ける腸内細菌数がドーンと増えてるらしいです

多分、ストレスなんかでも腸内菌叢って変わってくるんでしょうね

あと、血統間でも異なりそうな気がします。。

クローン牛を使えばある程度の個体差はなくなるかも?

2019年7月12日 (金)

着床遅延

私、チルド保存技術を開発当時は、

「冷蔵庫で1ヶ月保存してやるぜ!」

くらいの気持ちで研究に取り組んでました

結局のところ10日間成功したところで落ち着いてしまったんですが、

その当時は受精卵を冷蔵庫で保存した世界最長記録だったんですね

(今も?最近論文をフォローしてないのでよく分かりません、、)

で、よく読んでいた論文が、熊の着床遅延に関するものでした

熊は春先に交尾して、11月ごろ着床する動物なんですが、

受精卵の状態で半年位、卵管をウロウロしてるんですね

不思議な動物です

この機序が解明できれば1ヶ月なんて楽勝だろう!

と思ってましたがナカナカ核心をつかむことができず、、

ネット検索でいろいろ調べていると、

三毛別の熊害の話にヒットしたりします

暇つぶしに、読み進めると、

ブルブルするほど恐怖を感じ、眠れなくなりましたね

熊、ヤバイ、、

北海道に居るころ、朝方よく職場まで走ってましたが、

熊が出てきたらどうしようと、考えながら走ってました

今思うと、正気の沙汰とは思えない、、です

興味のある方は、

吉村昭さんの「羆嵐」、読んでみてください

話がだいぶ脱線しましたが、

着床遅延、

熊だけではなく、カンガルーやコウモリでもみられる現象です

着床遅延動物って、たいがい、未熟児で生まれてくるんですよね

しかし、冷蔵じゃなくて体温で胚発育がストップしているのが興味深い、、

私は体温で発育停止させるのは3日が限界でした

受胎はしませんでしたが、発育は再開したレベルです(未発表)

もう一回、勉強してみようかな、、

牛の受精卵を熊に移植したら成長を抑制するんでしょうか???

しかし、熊、怖いですね~

思い出すだけで、ブルブルしてしまいます

熊をフォローするわけではありませんが、

鹿児島にはかわいい熊がいますよ

Bear

ね?

オジサンが、これ注文したらかなり恥ずかしかったです

「写真撮らせてもらっていいですか~」

なんて、言われます

2019年6月10日 (月)

50年凍結された精液で妊娠

フレディさま!

1483


「写真はThe Guardianより」

仙人のような佇まい、ご立派です(笑)

1963年に生まれ

1968年に精液が凍結されました

このほど、

その約50年前に凍結された

フレディさまの凍結精液で子羊が生まれたと

海外で紹介されました

凍結精液って何年保存可能なんでしょうか?

すごいですね!

ちなみに56頭に授精して34頭が妊娠したみたいです

フレディさま、ベリーナイスな繁殖能

その記事には

Sir Freddieと書かれてました

ということは

フレディ卿

2019年5月31日 (金)

ネットがザワついておりますな

朝、娘が

「液体のり」で細胞が増えるらしい

と教えてくれました

おやじは

「ほえ?」

って感じで携帯をいじると

東大医科研がコンビニで売ってる液体のりで造血幹細胞を増やした

とネットには非常にわかりやすく要約されてます

まだ論文は手元にありませんが

nature読んでみよう

山崎さん!三大メジャージャーナル、コンプリートじゃないですか!

おめでとうございます!

しかし、わかりやすい内容だし、社会貢献度がすごい、、、

脱帽でございます、、、

さて、今から四国に向かいますよ

2019年5月25日 (土)

人工知能にIVF卵の受胎の可能性を計算させます

すなわち、この受精卵は何パーセントの確率で着床できますか?

って質問に回答してくれるくらいカシコイ人工知能があります

現在、日本卵子学会で展示中です

ソニーさんのブース

89f16debd6224f8bb903634e141a5530


観察装置

6f8d6019fe564f02ac9c1ffa0ec12aa5


一度に最大1000個の卵子を観察

A1eca2d92d8346ea83a6781115427dc3


明日まで広島国際会議場で展示してます

9193257b9b9e46a287f857477dcebc07


お近くの方は是非お立ち寄りください

今回、来場できない方にはカタログをお送りできます

ご希望の方はコメント欄にお名前と送り先をご記入ください

(公開されません)

2019年5月23日 (木)

培養肉のお値段は?

先日、

「人工サイコロステーキ」

という記事で

最近はいくらで作れるんだろうとつぶやいてましたが、

nature

培養肉が熱いぜ!

って記事がありました

そこには、

2013年当時、人工肉でつくったハンバーガーは

3100万円

のコストがかかったそうです

1個ですよ!

で、最近は、、、

6万3000円で作れるようになったそうです

お!

劇的に安くなった!

とは言っても絶対買えない

もっと安くなって、最初に店頭に並ぶ人工肉は高級なものではなく、

ファストフードの肉に似たものになるらしいです

しかし、たった6年でコストが1/500になったのは素晴らしいですね

2019年5月18日 (土)

ゲノミック評価が開発されて10年

ゲノム育種価で繁殖性を評価できると便利ですよね

乳牛の場合、ゲノム育種価で

daughter pregnancy rate(DPR)やheifer conception rate(HCR)

の値が出てくるわけですが、

この遺伝子配列による予測が本牛の繁殖性にちゃんと反映されてるの?

っていう論文がありました

Genomic merit for reproductive traits. I: Estrous characteristics and fertility in Holstein heifers.

Genomic merit for reproductive traits. II: Physiological responses of Holstein heifers.

の2報が一気にフロリダ大から発表されました

2か月齢で子牛(1005頭)のゲノム育種価を評価して、

それらが10〜11か月齢になったところで、

PGを投与した後の血中のホルモンバランス、発情兆候、卵胞の大きさ

排卵するタイミング、およびAIやET後の成績などを検証

結果は、

「DPRやHCRが高い数値の牛は

繁殖能力は高いであろう」

でした

ゲノミック評価が開発されて

10年が経過しますが、

だんだんその信頼度も高まってきているように思います

抗病性なども計算できればパーフェクト!

ET前の子宮内環境をチェンジ!

Maternal immune modulation prior to embryo arrival in the uterus is important for establishment of pregnancy in cattle.

J Anim Sci. 2019 May 13. pii: skz160. doi: 10.1093/jas/skz160.

Giffordさんらの報告

個人的にそそられるタイトルでした

「妊娠を成立させるためにはET前のレシピエントの免疫状態って大事だぜい」

って感じなんですが

読み進めると

今までのいろいろな研究

特に私が尊敬する藤原先生のグループ

のご発表をまとめたレビュー的な内容

で、

自己免疫細胞をETの数日前に子宮角に入れるとアンガス経産牛で

受胎率が上がったよ

と一文だけ結果らしき文章が

もっと詳細書いてよってツッコミどころ満載の論文でしたが、

我々も以前、未経産牛ではいい結果が出ていて

経産牛には手が出せず仕舞いだったので

経産牛でも効果があるということがわかっただけでもよかったんでしょうか

我々もなぜ受胎率が改善できたのか

サイエンスな検証ができていなかったのは反省です

その当時流行りの遺伝子発現を調べるだけで終わってしまって、

結局、免疫細胞の代替品を開発して商品化することは挫折してしまいました。。

しかし、あの実験、10年前か〜

30代のころは一生懸命やってたなぁ

と懐かしくなりました

2019年5月16日 (木)

ET後のCIDRって効果ありますか?

この手のお仕事がよく紹介されてますが、

私は

「効果ないでしょ」派

です

特に未経産牛に対しては

Effects of supplemental progesterone using a CIDR insert on pregnancy per embryo transfer of dairy heifer recipients of embryos produced in vitro.

Anim Reprod Sci. 2019 Apr;203:45-51.

Steichenさんの最近のご発表では、

452頭の未経産牛を使って試験されました

IVF胚を移植した直後にCIDRを入れます

留置期間は12日間(すなわちday19日にCIDR抜去)

結果は

血中P値は上がるけど受胎性には影響を及ぼさない

ということです

AIではたまにいいよって言う報告とかはあったりするんですが

超初期の胚発育には効果的なんでしょうか

2019年5月12日 (日)

インターフェロンタウだけじゃないらしい

妊娠認識物質、

(この言い方も古いかもしれません、、)

牛ではインターフェロンタウが有名です

胚の栄養膜細胞から産生されており、

妊娠認識の増強を狙って

数十年前から

胚と別個体の栄養膜細胞を共移植するなど行われてましたが、

なかなかいい報告はありませんでした

最近はタウの他に、

ISG、MX1、MX2及びOAS1なども

妊娠関連タンパクとして頭角をあらわしてきました

超最新の研究

Interferon tau-dependent and independent effects of the bovine conceptus on the endometrial transcriptome

BOR 2019 Feb 1;100(2):365-380. doi: 10.1093/biolre/ioy199

Mathew et al.,

では、

「牛の妊娠成立はシンプルな機構ではない」

そして

「インターフェロンタウ以外のファクターも大事ですよ!」

と結ばれています

牛の受精卵はヒトやマウスと違って伸長するし、

それによって、ET後の着床のタイミングもかなり異なる(遅い)動物です

移植から妊娠成立まで3週間程度かかります

したがって、移植時、

外因性の物質添加で妊娠率を改善することは容易ではないかもしれません

ちなみに現在、ヒトやマウスの着床の研究では

forkhead box

いわゆる

FOX

と言う遺伝子が熱いです