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2015年7月

2015年7月31日 (金)

上士幌を飛び出して!

上士幌にあるET研究所本場の業務は基本的に、受精卵を生産・販売するとともに、受胎性を向上させるための研究に取り組むことです。

そのために、日本全国を飛び回っている職員の方も多くいらっしゃいます。

私はというと基本的にラボにこもりっぱなしなので、いつかそんな日が来るのだろうかとワクワクしていました。

そしてついに!初めて訪れた出張のチャンス!!

行先は…

20150801_2_02_50じゃーん、博多でーすhappy02

初めて食べた本場の博多ラーメンに感動heart01

 

北海道も暑い日が続きますが、福岡の暑さはその比ではありません。

ヒートストレスによる不受胎が問題となっていますが、これだけ暑ければ当然だ…と妙に納得してしまいました。

 

一体何のための出張かって?それは秘密ですsmile

ただ、今回の仕事は近い将来、生産者の皆様の大きな助けになると信じています!乞うご期待!!

2015年7月30日 (木)

しつこい子宮内膜炎

昨日採卵していたところ、チューブ内の液に何やら汚いものが。

そのまま暫く洗っていると、フィルターが詰まってしまいました。

フィルター内には膿瘍物が浮遊しており、子宮内膜炎であると考えられます。

このような牛が今回2頭もでてしましました。

しかも2頭とも過剰排卵に対する反応は抜群。

結局一個も移植可能胚は取れておらず、痛恨の極みでしたcrying

調べたところ2頭とも前回・前々回の採卵の際も移植可能胚は回収されておりませんでした。

その時から子宮内膜に潜在的な問題があったのかもしれません。

採卵するということは、子宮を洗浄するということでもあり、当研究所では採卵後イソジン等の薬注も実施しているのですが、それでも直らないとは・・・。厄介です。

2015年7月29日 (水)

プロフェッショナル

ET研にはいま10名の獣医師がおりますが、臨床のプロはおらず・・・

困ったときには町内の獣医さんにお願いしています。
(簡単な症例なら自分たちで見ていますよ。good

今回も先生を呼んでみてもらうことになりました。

場内で重機を使ってウシの脚を吊り、腹部の開腹を行いました。

Dscf3185

写真は切開したところから手を入れ臓器がどんな状態になっているか探っています。
今回の診断では
創傷性第二胃炎からの第四胃食滞でした。
(釘などの異物が胃壁に刺さり第二胃に炎症が起き、胃が食べ物を後ろに送らなくなり、第四胃に食べ物が溜まった状態。)

小さな切開部から手をいれここまで診断できるのはすごいと改めて臨床医のすごさを感じたのでした。shine

2015年7月28日 (火)

iPS細胞から始原生殖細胞へ

昨今のニュースでiPS細胞の様々な医療分野への応用について報道されていますが、とうとう、iPS細胞もここまできたかflairというニュースが先週発表されました。


なんと、iPS細胞からヒトの卵子や精子のもととなる「始原生殖細胞」を誘導する方法論の開発に成功したのです!!


これを開発した京都大学の斉藤教授研究グループは、これまでマウスを用いて生殖細胞の発生機構を解明してきました。

それらの知見に基づき、マウスES細胞やマウスiPS細胞から始原生殖細胞をサイトカインにより誘導し、さらに精子、卵子を作製することに成功してきました。

今回の研究では、ヒトiPS細胞からヒト始原生殖細胞を効率よく誘導する方法の開発に成功しました。

ヒトのiPS細胞は生殖細胞への誘導は難しいと考えられてきました。

しかし、研究グループは、ヒトiPS細胞を特定のサイトカイン等で処理することにより、さらにそれらをマウス始原生殖細胞の誘導と同様の方法で誘導することで、ヒトの始原生殖細胞とよく似た遺伝子発現を示すヒト始原生殖細胞様細胞が、効率よく誘導されることを証明しました。

また、研究グループは、この方法を用いて、ヒト始原生殖細胞の形成にBLIMP1 が重要な役割を果たすこと、ヒトとマウスの生殖細胞形成機構に様々な違いが存在することを証明しました。

この研究により、ヒト生殖細胞発生メカニズム解明の基盤が形成され、これまで非常に困難であったヒト生殖細胞の発生機構の解明が大きく前進すると期待されます。

ヒト始原生殖細胞からヒト精子やヒト卵子の誘導が可能となれば、ヒトの遺伝情報継承機構の解明が進むのみならず、不妊症や遺伝病の発症機序解明に役立つと期待されますね。


2015年7月27日 (月)

秘密のレシピ?

ヒトのiPS細胞から精子や卵子の元となる「始原生殖細胞」を、従来の手法より数十倍も効率良く作製する方法を開発したと、京都大学の研究チームが発表しましたhappy01

この論文は、米科学誌Cell Stem Cell 電子版に掲載されておりますmemo

この研究チームは、ヒトのiPS細胞に2種類の試薬を加えて2日間培養し、血液や筋肉の元になる細胞を作製しましたsign01

その後、この細胞に別の4種類の試薬をかけ、8日間培養した結果、最大で約60%が始原生殖細胞に変化したのだそうですcoldsweats02

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/photonews/article.html?id=20150717-OYO1I50001

なんだか料理のレシピみたいですねconfident

たまに自分も研究を行っていてお料理に通ずるものがあるな・・・なんて思っていましたがrestaurant

ヒトのiPS細胞から始原生殖細胞を作製した報告例は国内外でありますが、多くの場合、作製効率は1%未満と低かったのですdown

このチームでは、これまでにマウスのiPS細胞から始原生殖細胞を作製し、マウスに移植し、精子や卵子に変化させ、子マウスを誕生させる実験に成功していますshine

今後は、ヒトの精子や卵子が作製できるかどうかが研究の焦点になりますtyphoon

国の指針では、ヒトのiPS細胞から始原生殖細胞や精子、卵子を作るのは生命倫理に触れるため規制されていますが、研究機関の倫理委員会の承認などを条件に認められているそうですgood

ただ、作製された精子や卵子を受精させることは禁止されていますban

ヒトの生殖細胞が出来る仕組みの解明や、不妊症の原因解明などの研究に活かされそうですflair

ヒトの研究はなかなか研究材料を手に入れることが難しいでしょうから、今後の研究に大いに役立ちそうな成果ですね~wink

2015年7月24日 (金)

第二弾♪♪

先週の記事で、ET研究所に千葉県の全農家畜衛生研究所の若手の方々が研修に来るというお話を紹介させていただきました。

 

そして今週は、第二弾!ということで二人目の研修生を迎えました。

今週いらっしゃったのは、私の大好きな同期であるCさん!

本日の研修は採卵の見学から始まり、受精卵移植に妊娠鑑定、卵胞嚢腫治療など盛りだくさんだったようです。

普段直検をする機会は全くないとのことでしたが、今回の研修でET研の業務をたっぷり体験していただけたことと思いますconfident

 

ランチは恒例の(!?)ナイタイ高原牧場レストハウスで♪

20150724_122612あいにくどんよりと曇り空でしたが、牛を眺めながらおしゃべりに花を咲かせました。

テレビの取材も来てましたよ~smile

20150724_122739いったい何の番組なのかは不明です…。

 

普段はET研究所にこもりっぱなしの私ですが、こうして他の組織の方々と交流することで様々な刺激を受け、もっと頑張らなきゃ!と思いました。

またいつでも来てくださいね~shine

2015年7月23日 (木)

We must change to remain the same

 昨年度の北海道全体の受精卵移植の受胎率は、体内生産胚で50.8%、体内生産胚で42.3%だったそうです(平成26年度 北海道 乳・肉用牛人工授精、受精卵移植実施成績:一般社団法人 北海道家畜人工授精師協会)。昭和62年から平成24年までの間、全国の受精卵移植の受胎率はおおよそ体内胚で50%、体外胚で40%程度で推移しており、ほとんど変化しておりません(牛受精卵移植実施状況(平成24年度):農林水産省)。

 一方受精卵移植による産子数は、昭和62年は2291頭でしたが、平成20年に約10倍の23917頭となった以降減少し、平成24年には17520頭となりました。平成22年の口蹄疫や、飼料価格の高騰などによる農家戸数の減少等が原因であると推察されます。

 全国的な受胎率こそ横ばいですが、チルド受精卵の開発・普及やYTガンの取扱など、ここ数年を取ってみても、全農の受精卵移植技術は変化してきました。むしろこの横ばいの受胎率こそが、全国の受精卵移植に関わる人間の汗と知恵の成果なのかもしれません。

 日本の畜産・酪農の現状は、手をこまねいていられるほど安穏としたものではなく、牛が日本からいなくなる日が来ないとは言い切れません。牛と共に生きる生産者の方々の日常を維持、発展させることができるよう、日進月歩で頑張りますrock

2015年7月22日 (水)

海のなかにも・・・

青い牧草の中にいる牛。
なにも陸にだけいるとはかぎりません!

海の中にも「うし」はいますよ。
ご存知でしょうか?

そうそう、ウミウシです。

顔もうしにそっくりなウミウシが紹介されていました。
それがこちら↓
http://www.gizmodo.jp/2015/07/post_17738.html
目がかわいい~heart04 
このテングモウミウシは光合成できるそう。

しかも、ウミウシって雌雄同体で別の個体とならこどもが作れるんです。
海で生きていくうしには不思議がいっぱい。

2015年7月21日 (火)

鹿追の生産者との交流会(^^)


隣町の鹿追町では、生産者の方々が受精卵に関する勉強会グループ、鹿追町エンブリオリサーチアソシエーションなるものが運営されております。


おもに、若い方々を中心に活動をされていますshine

その活動の中の一つ、毎年恒例のエンブリオBBQに、先週ですがET研究所の職員数名、参加させていただきましたtaurus

しかも、今年のBBQは、さらにもう一つの大イベント、全農敬道のF1牛の試食会が行われました!


全農敬道は、全農ET研究所から不受胎対策で出しているチルド精液で、鹿追町では頻繁に使用していただいておりますsun
最近、やっとF1の肥育牛の肉が出始めたということで、今回のエンブリオ会で振舞っていただきました!


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敬道のF1牛、写真でもお分かりになられると思うのですが、かなりきめ細かいサシが入ってます。

脂っこいのかなぁ、、、と思い、いざ焼いて食べてみると、なんとまぁ、口の中で脂は溶けていくんです。

全然しつこくない!
うん、うまい。
いや、うますぎる!
全然しつこくないから、何枚でもいけました!


敬道のF1試食会ももちろんですが、普段新ETでは行かない農家さんとも交流ができ、いろいろお話しが聞け勉強になり、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。


鹿追町の生産者の皆さま、いつもお世話になっております。
そして、今後ともET研究所の受精卵、チルド精液をよろしくお願いいたします。

2015年7月20日 (月)

黄体様~

本日のタイトル、「黄門様~」に見えて今日は水戸黄門の話かと思った方いるんじゃないですかぁsign02

・・・そんな人はいませんかね!笑

ET研では食肉処理場から卵巣をいただいてきて、卵子を吸引し、試験に利用したりしておりますが、卵巣に存在する主席卵胞や黄体、牛の発情周期等々で採取された卵子の品質や発育能に影響はないのかずーーーーっと気になっておりましたeye

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そこで、臨床獣医2014年11月号に

「Infuluence of corpus luteum and ovarian volume on the number and quality of bovine oocytes.」という論文の日本語訳が掲載されていたので紹介いたしますhappy01

この論文では、卵巣の大きさや黄体の存在と大きさが回収される卵子数と品質にどのように影響するかを調べていますflair

交雑種(ホルスタイン×コブウシ)の110個の卵巣を食肉センターから回収し、卵胞から卵子を吸引採取しましたtaurus

卵子の品質は次のように分類しました↓

グレード1:3層以上の凝集した卵丘細胞で卵子が囲まれ、卵細胞質が均質で、透明帯の内側が満たされており、茶色を呈している。

グレード2:3層未満の凝集した卵丘細胞で卵子が囲まれ、卵細胞質は顆粒が凝集し、その周囲は明るい、ただし細胞質は透明帯内に満たされている。

グレード3:卵子に卵丘細胞が付着するも膨化しており、卵細胞質は凝集し、透明帯と細胞質の間に隙間がある。

グレード4:卵子に卵丘細胞は付着しておらず、卵細胞質は凝集し、異常な色を呈している。

 

975個の卵子を回収することができ、黄体があった卵巣は黄体がなかった卵巣に比べ、卵巣1個当たりの回収した卵子数、グレード1および2の卵子数が有意に多かったそうです。

しかし、本研究で回収した全ての卵子でみた時に、卵子の品質別の割合は、黄体の有無で有意な違いはみられなかったそうです。

黄体がなかった卵巣に比べて黄体があった卵巣では、グレード1の卵子を1つ回収できる機会が2.5倍、グレード1と2の卵子を4つ回収できる機会が2.8倍だったそうです。

黄体の直径は、良質な卵子を得る可能性に影響しており、黄体が大きいほど、1つのグレード1の卵子および少なくとも2つのグレード1および2の卵子を得る可能性が高かったそうです。

今回の試験ではP4のレベルは調査しておりませんが、黄体の存在はP4の影響により卵子の品質を改善するかもしれないことが示唆されました。

他の研究において、黄体の存在下では卵巣から回収される卵子数が多いことや体外での胚生産の成績を改善するのに黄体が不可欠であることなどが報告されています。

黄体のある卵巣から回収した卵子は、卵割率が高く、移植可能胚が多く生産できたとの報告もありますが、黄体の有無で回収した卵子の数と品質に影響はなかったとの報告もあります。

この研究では、外因性のP4を用いたり、機能的な黄体を維持することは、胚生産の効率を向上させるかもしれないと考察されておりましたwink