そんなことができればいいですね
以前、「雄?雌?」でも紹介しましたが、ここ数年で2,000個近くの受精卵の性判別を担当しました。
2,000個もやれば「受精卵の顔つき」で性別が判断できるように・・・・・
はい、なりません
しかし、本日は「ある表情」のとき、雄の比率が多いように感じるというお話です。
(これからお示しすることは私見です。同調者はおりませんのでご注意ください。)
それは、受精卵が全体的に「黒い」時・・・。
それでは、受精卵の「黒さ」とは何でしょうか?
牛受精卵は<脂質>の量で黒さが異なります(多いほど黒くなる)。
脂質はエネルギーの源なので、卵子や受精卵には大切な物質です。
しかし、それが多すぎると受精卵の品質が低下したり、凍結に対する抵抗力が弱くなることが知られています。
さらに、この「黒さ」は動物種によっても異なります。
マウス卵子は透明に近く、顕微鏡下で染色体の場所が確認できるほど。
また、豚卵子は脂質が非常に多いため牛より「真っ黒け」。
従って、豚の卵子や受精卵の凍結保存は牛と比較して難しいのだと思います。
さて、性別の話に戻りましょう。
「黒い」と感じた受精卵の雌率を精査すると、何と25.3%・・・
なぜ、「黒い」受精卵は雄が多い傾向にあるのか?
?????
では、なぜ、「黒い」受精卵が生産されるのか?
それは、母親の体内環境によるものではないかと推察しています。
その要因としてエネルギーバランス、ホルモンバランス、餌、年齢、遺伝などが挙げられると思います。
これらのことから、予測できるトンデモ系仮説は・・・、
①黒い卵子を排卵するような体内環境の母親に授精された精子は、Y精子が選択的に活性化(あるいはX精子が不活化)。
②黒い卵子はY精子が入りやすい構造(あるいはX精子が入りにくい)。
③受精時の性比は普通に1:1であるが、初期の発育段階で雄側へ偏りが生じる。
また、この「黒さ」が、受精する精子(雄側)の要因である可能性も捨てきれません。
いずれにしても「なぜ、黒い受精卵は雄が多いのか?」を証明することは難しいようです。
これが真実であるかもわかりませんし。
性比コントロール・・・、やればやるほどドツボにはまりそうです。
念押しいたしますが、これは私見であり、「黒い」という判断もNile Red等で染色して黒さを測定したわけではありません。
「今日の受精卵は黒いから凍結に対する抵抗性が低いかなー」とノートに印をつけたものをまとめたものです。
今日は食肉処理場で採取した卵巣から卵子の採取方法を紹介します。
実験室に持ち帰った卵巣は生理食塩水でキレイに洗います
卵巣のドアップ写真載ってます↓
びっくりしないで下さい
卵巣の表面にプチプチとしたものが見えるかと思います
これが卵胞(らんぽう)というもので、中は卵胞液という液体で満たされていて、卵子が入っています
上の写真のように卵胞に注射針を刺して、卵胞液とともに卵子を注射器で吸引していきます
卵胞の多さにびっくりした方もいるかもしれませんが、これは未熟な卵胞です
排卵にいたる卵胞はこの中の1つのみで最終的には成熟してもっと大きくなります
他の卵胞は発育周期のどこかの段階で消失していってしまいます。
このため、ウシは基本的には1回の発情で排卵する卵子は1個になります
注射器での吸引は慣れると手早くたくさんの卵子を吸うことができますが、たまに勢いあまって針を手に刺してしまうことがあるのでご注意を
何度かブログでも取り上げていますが、生産者の庭先におじゃまして牛に発情
の同期化から移植までの一連の作業をおこなうのが新ETシステムです
基本的には十勝管内を4つに地区分けし、それぞれを週替わりでおこなっています。
上が十勝の地図になります。ちなみにET研究所は北方の上士幌町にあります。
ここから十勝のほぼ全域に向かって車を走らているわけです。
ちなみに十勝管内の総面積は1万831Km2
もし十勝を1つの県とした場合、その面積は全都道府県のなかで秋田県に次ぐ第7位になります
なんと東京都5つ分。大阪府なら7~8つ分です
これだけ広いと色々な風景、人、物そして食べ物があるわけですね
今回は時間に余裕があったので生産者の方オススメのレストランでお昼を食べました。
1日の走行距離も長く、忙しい日が多いですが、せっかく広い十勝をあっちこっち走っているので
たまにはおいしいものを食べて午後への活力にしたいものです
ET研究所では日々,牛に採血をしたり,ホルモン剤を注射したり,
直腸検査を行ったりと,牛が嫌がることをしています
これも受精卵を作るためだったり,研究のためだったりと割り切ってやってはいるものの,
心が痛みます
なので,たまには牛に気持ちがいいことをしてあげようと思っておるので,
その一つを紹介します。
本当に気持ちがいいかは牛さん自身しかわかりませんが,
気持ちよさそうにしているので気持ちいいはず
①牛の後ろに立ちます。蹴られないように注意してください
②尻尾の付け根をこすってやります
すると・・・
だんだん・・・
あがっていきます。
大部分の牛がこれで尻尾を上げてじっとしてくれます。
採血で失敗したときや,牛にちょっとやさしくしたいときには,ぜひ試してみてください
(大学時代,友人に教わった技でした)。
また,発情観察で陰部を見たいときにも役立つので,人もうれしく一石二鳥
その歩く姿から緩歩(かんぽ)動物と言われるクマムシ。
うらやましいことにストレスに強いんです。
どれくらい強いかと言うと・・・・、
ハンパないですよ
「120年間、乾燥に耐える」
「6,000気圧の超高圧に耐える」
「真空状態に耐える」
「多量の放射線に耐える」
「-273℃の超低温に耐える」
「+151℃の高温に耐える」
耐えて耐えて耐えまくりです
すなわち、液体窒素に「ジュー」っと入れて、電子レンジで「チーン」しても生きてるわけですね。
(注:凍結および融解スピードが影響するかもしれませんが)
しかし、本当にそうなのか?
試してみたいところです
「最強戦士」はどこにでもいるそうなので、すぐに見つけられます(要顕微鏡)。
数年前から子供の夏休みの宿題のテーマにと仕向けていますが、未だ実行できず。
今年こそは
5分30秒で凍結とクマムシがわかります(ナレーション付き)。
YouTube: クマムシ / Water Bears 地上最強の生物
牛受精卵の凍結保存技術の進歩も著しく、近年ではかなり高い受胎率が得られるようになりました。
凍結受精卵と言えば・・・・、
6月7日、ET研の「受精凍結卵リスト」を更新!
今回は「隆之国」、「光平照」など人気の種雄牛の受精卵を取り揃えました。
でも、目玉は・・・・、
レーガンクレスト エルトン ダーハム ET × ハイロード ダンデイー エピソードの凍結受精卵
詳細は、本ブログ右上の「受精卵リスト」からご覧いただけます。
今週妊娠鑑定をしていると、おや?と思う超音波画像がありました。
左の画像は30日目の妊娠鑑定時の画像です。
一見すると子宮内に胎水が十分に貯留し、妊娠している画像にみえます。
しかし、いつもなら白く見える膜のなかにいる胎子が見当たりません…
右の画像は同じく30日目なのですが、まず子宮内の胎水が少ないように見えます。
そしてうっすらと、ひも状のものが浮いているのが確認できると思います
じつはこの2つの画像、どちらも胎子が死んでいる状態もしくはその前兆なのです
こちらもまた別のときに見つけたものですが、30日目にしては胎水が少なく、胎子らしき塊がみえますが形がいびつではっきりしません。この牛は翌週には子宮の中には、何もいなくなり、結局妊娠はマイナスでした
初めの2つの画像の牛も、翌週に胎水がなくなればはっきりとマイナスの診断ができると思いますが、時には60日ころまで残っているものもあります。このような牛では、しっかりとした妊娠鑑定をおこなわなければ見落としてしまう可能性もあるので注意が必要ですね。
ただ今回の鑑定結果、何かの間違いであって欲しいので結論は次週に先延ばししています
6月6日(水)、JA上士幌町 小椋淳一様 所有の「ハイロード ダンデイー エピソード 号」(写真)
の採卵を行いました(交配精液:レーガンクレスト エルトン ダーハム ET)。
「ハイロード ダンデイー エピソード 号」
検定成績:4-11, 305, 11,028Kg 457 4.1%
体型得点:93点
賞歴:2008年 北海道ナショナルショウ 3歳ジュニア 1位
2008年 インターミデイエイト チャンピオン
2009年 北海道ナショナルショウ 4歳 1位
詳細は全農ET研究所ホームページでご覧いただけます(7日~)。
今日は絶対に損はさせません!
私に20秒間時間をください!
下はET研で生産された受精卵の「動画」です。
5分間隔で2日間、写真を撮り続けました
その大量の写真を20秒にまとめてみました。
受精卵の周りにある透明の殻(透明帯:鶏の卵の殻のようなもの)を割ってピヨッ
がんばれーって感じです。
細胞が盛んに動いており、何度見てもワクワクします
牛受精卵は孵化後、ビローン
こんな風に!(上の動画から1週間後の様子。全長25mm)
しかし、0.1mmと髪の毛の太さほどしかない受精卵が、1週間で自身の大きさを250倍成長させるとはすごい細胞増殖力です
一般的には、このビローン
己の存在を母親に知らせると考えられています。
これを「妊娠認識」と言いますが、
これまでの我々の研究結果では、「妊娠認識」はもう少し前に始まっているのではないかと予想しています。
この「妊娠認識」について語りだすと長くなるので、詳細は次の機会に。
そして、母親に己の存在を知らせた受精卵は着床を開始し妊娠が成立するのです
ちなみに、ヒト受精卵はビローンとは伸びず、透明帯から孵化するとすぐに着床します。
動物種によって受精卵の成長もいろいろです。
ET研究所のお母さん的な存在だった方が5月いっぱいで退職することとなりました。
ET研でも送別会はやったのですが、今までお世話になりっぱなしでしたので、お疲れ様と感謝の気持ちを込めて・・・
女性陣のみでナイタイ高原で一緒にお昼をいただきました
景色はすばらしくいいのですが、残念なことに天気はあまり良くなかったです
その日は東日本分場から研修生(女性が1名)が来ていたので、その方も一緒に行きました
研修生も入れて総勢7名のレディース軍団で仲良くランチタイムです
たまにこういうのも息抜きになっていいですね
レディース軍団のみなさん
おいしい空気を吸って、おいしいものを食べ、また仕事をがんばりましょう
今日も十勝管内の移植に車を走らせてきました
今回は研究所から南東方面の池田町と豊頃町にいってきました
毎回色々な地域へ足を運ぶと、様々な形態の農場をみることができます。
また、そこでは移植を依頼する理由も様々です。
ある農場は優良な後継牛を求めて、ある農場は和牛素牛の販売目的、ある農場は不受胎牛の対策…。
今日お邪魔した和牛繁殖農家さんの場合は後継牛と不受胎対策が目的になりますね。
ET研究所で使用している和牛受精卵は市場でも人気のある血統を用意していますので、きっと満足していただけると思います
↑の写真わかりにくいですが、十勝では珍しい軽種馬が飼育されていました
飼育されている動物も様々で面白いですね
ET研究所には茨城に東日本分場という分場があります。
以前ブログで紹介した、ブラウンスイスの生まれ故郷です
先日、東日本分場から研修生が来ました
これからも東日本分場での活躍、おねがいします
その方と話をしていたのですが、やはり受精卵の品質の判定が難しい、と話題になりました。
現在、熟練の目をもった方と、目合わせをしているのですが、なかなか難しいようです。
↑
↑
↑
採卵直後の7日齢胚です。凍結できない品質と判断されました。
それを48時間培養すると・・・
↓
↓
↓
4個中3個は発育しましたが、1個は成長が途中でとまってしまいました(真ん中の1個)。
僕は2個しか発育しないと思っていました。。。
もっとたくさん受精卵をみて、目を鍛えよう。
たまにテレビで8つ子を産んだ人の話が出ますが、
牛では一度に何頭の牛を産めるのか
今年の1月に鹿児島の市場で4つ子の牛が競りに出されたそうです
http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=37762
自然排卵で受胎したのかどうかは不明ですが、、
よく無事産まれましたよね
今日妊娠鑑定に行った農家さんでは出産ラッシュでした
猫の
4つ子です
猫が元気な季節になりました
私たちも元気に頑張ってまいりたいと思います
トイストーリー(アメリカ)が、精液生産200万本を達成しました
これまでの記録はサニーボーイ(オランダ)の177万本。
大きく記録更新ですね
トイストーリーの精液は世界約50カ国で使用されています。
現在、11歳で精液性状も非常に良好
YouTube: TOYSTORY Bull Produces World Record Semen Units
2分程度の映像なので是非ご覧ください。
トイストーリーの精液採取、すごい迫力ですよー
本日は新ETシステムの黄体チェックに行ってきました
日差しが皮膚を突き刺す・・・。十勝の僕らが言うのもなんですが,非常に暑かったです
(ちなみに本日の帯広の最低気温は10度,来週月曜日の予想最低気温は6度・・・)
と,気になるのが明日のETと,今年の夏の気温。
最近寒暖の差が激しいので,ストレスになっていないのだろうか。
はたまた,今年は一昨年のような猛暑になってしまわないだろうか。
そんなことを思っていると,
気象庁から6-8月までの天候見通し,3ヶ月予報が発表されました。
http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/000_1_10.html
西日本地域が例年より気温が高くなるのかもしれません。
それ以外の地域は例年通りの予想のようです。
暑熱対策はお早めに
明日のETも,びしばし受胎してもらうぞー
全農ET研究所は北海道上士幌町の
ナイタイ高原牧場という公共牧場に隣接しております
その牧場の広さはなんと東京ドーム約360個分
(昨日のつづきみたいですが)
http://www.kamishihoro.info/spot/naitai
もうすぐこの広大な牧場の牧草収穫作業が始まります
またその様子もお伝えできればと思います
視察に来られたお客様からよくご質問いただきます。
それに対して教科書通りに
「髪の毛の太さと同じです」
とお答えしますが、実際に比較したことはありません。
今日は、あらゆる「物」の大きさを確認できるwebがあったのでご紹介。
http://htwins.net/scale2/?bordercolor=white
まずは、ここローディング終了後、矢印の「スタート」を押してください↑
あとは、矢印の灰色のボールをスクロールさせるだけです↑
まず、Giant Earthworm(巨大ミミズ)が3mということに驚きです。
左にスクロールすると、小さい「物」が色々と見えてきます。
Ant(アリ)を過ぎたころから、牛受精卵でないのが残念ですが、
Human Egg(ヒト卵子)が登場。
同じところにWidth of a Human Hair(髪の毛の太さ)とあり、
「なるほど」と納得です
さらに先に進むとSkin Cell(皮膚細胞)があらわれ、
卵子に注入したくなる衝動に駆られるのは完全なる職病業です。はい。
その後、ミッキーのような水分子を過ぎて、どんどん進むと宇宙船に乗っているような感じに。
それでは、逆にスクロールさせ宇宙旅行へ出かけましょう。
あっという間に太陽系を過ぎ、
最も大きな恒星VY Canis Majois(おおいぬ座VY星)にはビックリ仰天。
直径30億kmなので、太陽の約2,000倍・・・
もうよくわからない大きさです。
しかし、この恒星は西暦3200年ころに爆発を起こしブラックホールになることが予想されています。
なぜ、そのようなことが計算できるのでしょうか?
世の中には想像を遥かに超えた分野の研究者がいらっしゃいますね。
ET研にお越しの際は、ピンクのドアの実験室にもお立ち寄りいただき、顕微鏡下の小宇宙をご覧ください
今日は金環日食だったそうで、みなさま観察できましたか?
北海道は部分日食となりましたが、ET研究所でも観察できました
さて、先日実験のためウシの卵管を取って来ました
にょろにょろとした管のような部分が卵管です
卵巣は切り取ってしまっているのでありません
子宮側と書かれた方の太くなっている部分は子宮の一部です。
卵管の周りの膜や脂肪を切ってのばしてみると・・・
けっこう長いです
排卵した卵子はこの卵管で精子と出会って受精し、受精後は卵管を通って子宮へと移動します。
ウシは1回の射精で膣内に50~100億もの精子が射出されますが、
実際に受精の場に到達する精子は500以下だそうです
厳しい旅路なんですね
より元気でコンディションの良い精子を受精させることが受胎率アップには重要だと改めて感じました
ET研究所では自前の牛や生産者の方からお預かりした牛への移植を日々の業務として行っています。
移植を行った牛はその後、妊娠鑑定を行い市場に出荷もしくは生産者のもとへ帰っていきます
昨年度は研究所 本場内で、のべ2000頭弱の牛に移植を行いましたので妊娠鑑定もそれと同程度の頭数行いました(残念ながら発情回帰する牛もいるので少し減りますが)
ET研究所では移植から約23日(前の発情から30日)、53日後(発情から60日)そして出荷の直前に妊娠鑑定を行っていますので、その回数は合計すると…。なかなかの仕事量です
ちなみに30日の鑑定はすべての牛で超音波画像診断装置(エコー)を用いています。
上の画像はエコーでの妊娠鑑定画像です。中央の黒い部分に浮かんだ白い物体が牛の胎子になります。まだ胎齢30日ですので牛の形ではありませんが、頭が下にあって胴体があって。移植は大成功だったようです
しかし油断はできません。60日、出荷前の鑑定で胎子がいなくなっていることも実はあります
30日の鑑定のときに胎子がいなくなることが予想できることもありますので、そのうち胎子がいなくなる予兆の画像も紹介したいと思います。
先月、京都大学の研究チームが
長期保存したラットのフリーズドライ精子を人工的に卵子と受精させ、
子を誕生させることに成功したというニュースを見ました
フリーズドライとは、カップめんなどのインスタント食品に用いられている方法で、
急速冷凍して真空状態で乾燥させる技術です
これまでもフリーズドライ精子の報告はありましたが、
今回の報告ですと室温で3ヶ月、冷蔵庫だと5年間保存可能とのことで、
この技術が牛精液で実用化されれば液体窒素の補充といった作業が無くなるし
運搬も楽になって非常にいいなと思います
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0035043
写真はET研究所の供卵牛たちです
先週から放牧が始まりました
青草食べて、また受精卵をたくさん生産してください
最近、酪農家さんより受精卵の雌雄判別(性判別)のご依頼を多数いただきます。
誠にありがとうございます!
性判別は受精卵にダメージを与えないよう、できるだけ少ない細胞を切り取り、
その少量の細胞の遺伝子検査を行うことで雌雄を判定します。
今回、数年前から昨日までに性判別を行った受精卵の性比を調べてみました。
1,937個のうち・・・・・・・・・・・・・・雌が911個
すなわち、雌率47%です。
フィッシャーの原理で知られる通り、多くの生物の性比は1:1に安定しています。
不思議ですね。
もちろん、日によってどちらかに大きく偏る時もありますが、
トータルを計算するとご覧の通り約1:1。
(ヒトは男:女=105:100と言われています。個人的には牛も雄が少々多いと思います)
この性比をコントロールすることに世界中の多くの研究者が挑むわけです。
最もよく聞く膣内のpH(アルカリ性、酸性)にはじまり、女性の社会的順位、栄養、
疾病、ホルモンバランス、ストレス、年齢、季節などなど。
膣内pHの話は、ドイツのお医者様が性交前に女性の膣を薄い重曹溶液(アルカリ性)で洗浄したところ、
その後生まれた53例がすべて男の子だったというセンセーショナルな結果で大流行しました。
しかしながら、上述したいずれの説にも賛否両論あり、
性比コントロールに至っていないのが現状です。
もちろん我々ET研も性比コントロールにチャレンジしましたが・・・・・、非常に難しい。
その中でも、偶然得られた結果を今日はご紹介したいと思います。
ある実験で、過剰排卵処置後の排卵のタイミングを超音波装置を用いて3~4時間間隔で観察していました。
約2日間、観察を続けました。
観察時期は1~2月・・・・、観察場所はもちろん北海道・・・・。
それは地獄のような日々でした・・・・。
卵巣の観察を終え、数日後に受精卵を回収し採卵結果を記録。
ついでに性判別も行い雌率を確認すると、
「うん?」
卵巣観察を行っていない牛群の雌率より少々高い結果が。
例数を増やすため意を決して追試を行うことにしました。
待っていたのはあの地獄のような、いや、地獄の日々です・・・・。
何とか観察を終了し、データ整理すると対照群(発情期に卵巣観察を行っていない牛群)の雌率
51%(41/80)に対して、実験群(卵巣観察を行った群)は66%(61/92)と7割近くの受精卵が雌と判定されました。
「ここで実験群・対照群の説明」
実験群:卵巣を超音波で観察するため3~4時間毎に捕獲し、直腸検査を行います。
対照群:卵巣を観察しないため捕獲しない=直腸検査も行わない。
これらの結果と過去行われてきた研究を照らし合わせ、
雌牛に対する軽度のストレスが受精卵の性比に影響を与えるのではないかと推察し、
何とか簡易的な処置で卵巣観察を行った時と類似した体内環境を作り出すことに専念しましたが、
現在もその方法を見出すことはできていません。
海外でも本試験の追試が行われ、雌の受精卵が多くなりそうだということが報告されました。
大きく視点をかえる時期に差し掛かっているかもしれません(発情期の生殖器に対する連続刺激とか?)。
今後も我々は農家さんの生産効率を改善するための研究を行ってまいります。
どうぞよろしくお願いします
ET研ではチルド保存(4℃)した受精卵の配送も行っております
チルド保存した受精卵は液体窒素が必要ないので空輸が可能です
今日は九州から9胚注文がありましたが、空輸であれば今日中に福岡空港へひとっ飛びです
そして明日移植という感じになっております。
以前の記事(新ETシステム@徳島!)にも書きましたが、受胎率も良好です
ということで、今日はチルド受精卵の配送のため帯広空港まで行ってきました
今日はすごく天気が良かったですよぉ~
ふと温度計を見ると20℃でした
お昼に大好きなおそばをいただきました。
ごぼう天ざるです
ボリュームありすぎてお盆の意味がないんですけどぉー(笑)
コシの強いそばでとぉーってもおいしかったです
ET研ってどんなところなの
そんな疑問をお持ちの方に・・・今日はET研の実験室を紹介したいと思います
このかわいいピンクのドアが実験室でーす
ではさっそく・・・おじゃましま~す
なんだかちょっと物がいっぱいですが・・・
ここでは体外受精や核移植など精子や卵子、受精卵などを扱って実験を行っております
顕微鏡やクリーンベンチなどがあります
さて次は・・・調剤室
ここは実験に使うお薬を量るお部屋です
手前にある顕微鏡は受精卵の性判別を行うものです
体外受精?核移植?性判別?・・・気になるワードがたくさん出てきたかもしれませんが、
実験室でどんなことをしてるのか?については、おいおいアップしていきたいと思います~
こんにちは
JA全農ET研究所のブログが本日開設です
このブログでは、受精卵移植(ET)や人工授精(AI)技術についてわかりやすく情報を提供し、もっと全農ET研究所の「今」を知っていただくことを目的としています
お客様に楽しみにしていただけるような最新の情報を紹介していけるブログを職員一同で作り上げていきますので応援よろしくお願いいたします